「バレッタ」タイプAのカップリング曲「私のために 誰かのために」を聴いて、一番最初に心に浮かんだのは、「君の名は希望」でした。もっと具体的に言うと、今年の3月20日に幕張メッセで行われた「東日本大震災チャリティーライブ」で、大和里菜さんの「皆さんの希望になりたい」という言葉からスタートした「君の名は希望」でした。あの曲はファンの前で初めて披露した、生田絵梨花さんのピアノ伴奏+生歌という、彼女達のメッセージがこもった、胸にしみる曲でした。

 「私のために 誰かのために」の冒頭の歌詞 ”胸にしみる あの日の歌” の部分が、僕にとっては「君の名は希望」と重なるのです。ここをスタート地点にして、「私のために 誰かのために」を解釈してみたいと思うのです。

 「君の名は希望」の「君」と「僕」の関係は当初、対極にあるものでした。「君」の名を希望とするならば、「僕」の名は絶望と言えるくらいです。でも、「君」が「僕」の存在に気付いてくれた時から、「僕」は変わっていきます。人とのかかわりをもち、孤独から解放されていきます。そして、「僕」は「君」に恋をします。その恋が実ることはなかったけれども、うつむいてばかりいた「僕」は明日を見つめて、まっすぐ歩き始めたのです。

 そんな「僕」が大人になって、自分の事を「私」と言うようになりました。その「私」のそばに、うつむいている「あなた」がいます。でも「私」にはわかっています。うつむいている時でも、耳をすませば、『あの歌』が聞こえてくることを。「私」は優しく見守っているのです、昔の自分に似ている「あなた」が『あの歌』を聞いて、そして、心が癒えて、また、立ち上がることを。
 「私」は微笑んでいます、そして、幸せを感じています。「私」には「誰かのために」生きる強さがあります。その強さの根源は“私のために歌ってくれた 胸にしみるあの日の歌”なのです。

 「私のために 誰かのために」が描く世界は、『人の強さ』です。そして、その世界を彩っているのが「あの日の歌」です。
 強さって何だろう? 優しさって何だろう? 幸せってなんだろう? その答えの一つが「誰かのために」です。
 「君の名は希望」で自我を確立し、「私のために 誰かのために」では『人の強さ』を知りました。この先に続くストーリー、何が待っているんでしょう? いつの日か聴いてみたい、僕の願いです。

 
 ラストのサビ前、突如として、流れが変わります。”名も知らない、顔も知らない、会ったこともない、誰かのために、みんなが歌い続ければ、誰もがきっと優しくなれる”。この部分だけ、急に対象が漠然とします。そして、”みんなが歌い続ければ”の「みんな」って誰でしょう? 乃木坂ファンの僕が解釈するなら、それは勿論『乃木坂メンバー』です。

 乃木坂メンバーが「君の名は希望」を歌い続けてくれれば、世の中の誰もが優しい心を持てる。第二、第三の「僕」(=「私」)が生まれるのです。これは、もう、解釈というより、ファンとしての願望でしかないかもしれませんが、僕にはそう思えて仕方がないのです。

 10月、代々木第一体育館「真夏の全国ツアーFINAL!」での「君の名は希望」は、生田さんのピアノ伴奏+ストリングスという演出で非常に感動的でした。でも、素晴らしすぎるが故に、1曲だけでは勿体無いという気持ちもありました。12月20日の武道館ライブでは、「君の名は希望」のそのすぐあと、やはりピアノ伴奏とストリングスの構成で「私のために 誰かのために」を聴いてみたい。きっと涙あふれる素晴らしい時間になると確信しています。

 
 色々書いてきましたが、「解釈」というものは、人それぞれです。正解も不正解もない、自由なものです。例えば、「私」を乃木坂メンバーと解釈すると、それはそれで別の素敵なストーリーが浮かびます。
 この曲を乃木坂メンバー視点で見た時、彼女達それぞれの“胸にしみる あの日の歌”は何だろう?って想像したくなります。そして、もしも、彼女達が「あの日の歌」を語ってくれたなら、ファンとしては、そこから、また新しいストーリーが始まると思うのです。

 あなたにとって「あの日の歌」は何ですか? それを考えただけで、この「私のために 誰かのために」という曲は、無限の広がりを見せるのです。

参考記事

乃木坂散歩道 第4回「君の名は希望、では、僕の名は?」
乃木坂散歩道 第13回「気持ちを伝えるために」

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Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会ワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(個人ブログ「タイムマシーン・プロジェクト」)