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極限のアンダーライブに見た次なる希望 乃木坂46アンダーライブ3rdシーズン ライブレポート

kawago-blog150422川後陽菜のブログ「幕が閉じる!」より ©乃木坂46LLC

乃木坂46アンダーライブ3rdシーズンの千秋楽を見た。今回は有明コロシアムで行われたアンダーライブ2ndシーズンFINAL以来となった。前回の2ndシーズンは派手な演出に頼らず、魅せるパフォーマンスに注力した内容となっていたが、今回はそれをさらに極めた息つく暇のないノンストップライブに挑戦していた。

・アンダーライブは次なる局面へ

今回の11thアンダーメンバーが今までと大きく異なるのは、これまでのアンダーライブを引っ張ってきた伊藤万理華と齋藤飛鳥がいないことだ。「アンダーの概念の崩壊」という使命を果たした8th,9thアンダーセンターの伊藤万理華と、日に日に魅力と注目度を増す次世代エース候補の齋藤飛鳥。アンダーライブが進んでいくとともに成長していった2人はアンダーメンバーの中でも頭抜けた存在となり、新たなステージへと活躍の場を移した。

そんな彼女たちが抜けた後を託されたのは前作アンダーセンターの井上小百合と今回センターを務める中元日芽香の2人だった。グループ内で数少ないど真ん中アイドルを行く中元日芽香をセンターに推す声は以前から多く、今回は待望の選出となった。力強い歌唱やダンスについてはすでに知られているところだが、彼女の頑なに自分のアイドル像を貫こうとする姿勢が何よりの魅力なのではないかと今回のライブを通して改めて感じることができた。井上小百合は両脚を痛めながらの参加となったが、そのような表情を全く見せずに私たちの前でパフォーマンスをしてくれていた。千秋楽は出たり入ったりで特に苦しかったはずだが、弱音を吐くどころかメンバーとファンに土曜日の2公演の欠場を謝罪し周囲を驚かせた。その姿勢と朗読の際に見せた涙は、彼女の責任感の強さとこのライブにかける思いが伝わってきた。

実は、千秋楽でわかる限りで井上の他にテーピングを脚に巻きステージに立っていたメンバーが他にも2人いた。小さな身体で精一杯踊る渡辺みり愛と、OLとの兼任でハードな毎日を過ごす新内眞衣である。彼女たちの負傷の具合は定かではないが、強い責任感をもちステージに立つ先輩を見て奮い立った事は間違いないだろう。

・2期生の発見

前述した2名の他にも、個人的には2期生の発見というのが今回一番のトピックだった。昇格した6名の2期生にとってアンダーメンバーとして臨む初のアンダーライブとなった3rdシーズン。前回はまだ先輩の後ろについている素人感が拭えなかったが、今回はそれぞれのメンバーが1人のアイドルとして自信をもってパフォーマンスする姿を見ることができた。その中でも特に目をひいたのが伊藤純奈と寺田蘭世の2名だ。純奈は歌にダンスに優れ上背もあり、端にいても存在感を放っていた。蘭世はセンターを目標にしていることを公言しているが、「ボーダー」で堂々とセンターを務め、素人感の拭えなかった以前の印象から大いなる可能性を秘めた存在へと進化を遂げていた。彼女たち元研究生6名が歌う「ボーダー」のパフォーマンスは見る側を感傷的にさせるような素晴らしさだった、と同時にその生き生きとした表情に思わずこちらも笑顔になってしまった。

すでに昇格をしていた3名も、それぞれ頼もしい存在になっていた。北野日奈子はただの元気っ子から一皮向け、苦手としていたダンスも様になっていた。伊藤かりんは歌にダンスにMC、時に体をはって笑いを取りに行くなどオールラウンドにこなせてしまう貴重な存在だ。新内眞衣はポジションチェンジで前に出る回数も多く、今回2列目を任されるだけあって、主力としてしっかり定着しているようだ。

彼女たち2期生が乃木坂のメンバーになって2年が経ち、時間はかかったものの全ての2期生が素人からアイドルへと成長している。ファンにとって「2期生」という冠が、1期生との実力の差を暗示するものではなく、単純に乃木坂46に加入した時期の違いを示すものになっていることをここにきて気づかされた。

・文字通りの極限ライブ

ライブの中身の話をすると、前述した通り前回よりもさらにパフォーマンスに特化したノンストップライブとなっていた。
ステージもスクリーンはなく、美術も最小限に抑え、ムービングライト(ロボットのように動く照明)も派手な動きはせずステージ上下(かみしも)に別れるメンバーを追うことがメインとなっていた。

曲数は39曲(千秋楽ダブルアンコールの「ロマンスのスタート」を含む)と、グループの全楽曲中の半分をやってしまうというとてつもないボリューム。今回は2ndシーズンでほとんど披露されなかった「孤独兄弟」や「コウモリよ」といったユニット曲を交ぜたり、「シャキイズム」「転がった鐘を鳴らせ!」などライブであまり振り付け通り披露されていない曲を振り付け通り披露してくれた。

前回のアンダーライブでは1曲目から「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」に始まり、アンダー曲がなだれ込む形だったが、今回はアルバム曲の「自由の彼方」を除けばアンコールに全てのアンダー曲が並び、メドレー形式で披露された。実は今回11曲あるアンダー楽曲の中でセンターがいる曲は4th「春のメロディー」(中田花奈)、5th「13日の金曜日」(斉藤優里)、10th「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」(井上小百合)、11th「君は僕と会わない方がよかったのかな」(中元日芽香)の4曲しかなかった。よって一つ一つの楽曲をしっかりみせるというよりは、アンコールの勢いそのままにエンディングに向け畳み掛けるという意味合いもあったのかもしれない。

今回のノンストップライブは「パフォーマンスをみせる」という点において極端な形をとり、それ以外の時間を出来る限り削ぎ落とした内容となった。メンバーは6日間で全8公演(しかも土日は2回回し)という狂ったスケジュールの中、極限状態で本番に臨むことになる。その影響はやはり隠せず、特に千秋楽では顔は笑顔でも、脚が止まっていたり、肩で息をしていたり、暗転と同時に苦しそうな表情をするメンバーが見受けられた(ただ、「ダンケシェーン」が始まると同時に疲れた顔から一気にアイドルスマイルに切り替わった能條愛未には逆に感心したが)。また、負傷者を多く生んでしまったのも事実で、そのような状態でステージに上がる彼女たちには頭が上がらないのだが、負傷を押してステージに立つことが当たり前の感覚になってしまってはいけないと思う。今回のこのアンダーライブ3rdシーズンで「パフォーマンスをみせる」という点において、いけるところまでいってしまったわけだが、今後アンダーライブがどのように展開していくのかますます楽しみでならない。

・1年間の回答を出す夏

グループにとって次なる大きなライブは「真夏の全国ツアー2015」となる。この1年でアンダーライブが盛り上がり、初のドーム公演にも成功した乃木坂46。クリスマスライブやバースデーライブが特殊な内容の公演であったため、この1年間で培ってきたもの、突き詰めていたもの、全ての回答が出揃うのがこの全国ツアーとなるだろう。果たして彼女たちは次なるステージで私たちに何を見せてくれるのだろうか。

筆者プロフィール

ポップス
洋楽が好きで、「弁当少女」のOPがVampire Weekendで興奮していた類の人間です。
乃木坂46の物語や構造、楽曲について考察し、皆さんと乃木坂46をより深く楽しめたらと思っています。総合音楽情報サイト「Real Sound」にも乃木坂46のコラムを寄稿。

COMMENT

  • Comments ( 3 )
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  1. 遠征も出来ない地方民にとって、アンダーライブが成功しようがしまいが、蚊帳の外。(※アンダラに限った話ではないけど)
    まあ、せいぜい関東ローカルのアイドルグループとして頑張ってくれ、と皮肉の一つも言いたくなる。

  2. 「負傷を押してステージに立つことが当たり前の感覚になってしまってはいけないと思う」
    おっしゃる通りです。将来の可能性を閉ざしかねない爆弾を抱えたメンバーに無理をさせる事が、美談になってはいけない。
    しかし今が人生で一番花盛りの彼女達の覚悟を、決意を見届けたい。という気持ちも、同時にあるワケで。
    複雑です。

  3. 「負傷を押してステージに立つことが当たり前の感覚になってしまってはいけないと思う」その通りですね。そこは大人の運営が管理しないといけないでしょうね。甲子園球児じゃあるまいし、怪我を押して出場とか熱血、闘魂、根性とかはアイドルに期待してません。さゆにゃんが膝を壊したり他メンバーの疲労が予想できたのでアンダラは初日の元気なうちに行きました。ノンストップは最初で最後がいいと思います。伝説にもなりますし。

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