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[考察]星野みなみ×松村沙友理のペアPV「どちらかが“彼”を殺した」の犯人は?

 今回の記事は、先ほどアップされたOkabeさんの記事、乃木坂散歩道・第187回「『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾」を受けて、私個人の推理を坦々と綴っていくものです。同記事をまだお読みでない方はまずそちらを読んでいただいてからこの記事を読み進めて頂ければと思います。

 それでもこの記事を先に読むんだ!という方向けに今回の主旨を説明しますと、12thシングル「太陽ノック」Type-AのDVDに収録されている星野みなみさんと松村沙友理さんのペアPV「どちらかが“彼”を殺した」(山田篤宏監督)の犯人を推理し、議論しようというものです。大部分がネタバレになりますので、まだ本編を視聴していない方は必ず視聴した後で本記事をお読みください。

推理

 混乱を避けるために、本稿でも先の記事の設定を受けていきます。劇中に登場する容疑者「松村みなみ」「星野沙友理」と区別するために、演者であるところの松村沙友理さんを『さゆりん』、星野みなみさんを『みなみちゃん』と表しますので、どうか混乱されませんように。

 先の記事を読むにあたり取り急ぎPVを観たのですが、ミステリーの作法やセオリーを知らない私には初見ではさっぱり。かろうじて、幸将司さん演じる刑事の立ち位置から、さゆりんが犯人で、みなみちゃんが犯人を庇ったのではないか、と半ばこじつけの結論を得ましたが、これだけでは考察として不十分です。そこで、三人の台詞から位置関係から改めて見直してみると、ようやく少しは説得力を持つ結論を導けました。

 考察の前提として、今回の作品だけでは分からないもの、例えば実際の演者がどうであるかはミステリーはおろか作品としてフェアではないという考えから、これらの情報は考察に加えないものとします。


 まず、三人の立ち位置を確認しておきます。さゆりんの取り調べの際、刑事は画面向かって左側、さゆりんの右側に立っています。みなみちゃんの取り調べでは画面向かって右側、みなみちゃんの左側です。刑事は左右の立ち位置を保ったまま二人の正面付近まで移動しますが、反対側へ移動することはありません。このことから、刑事が最後に問いかけた「あなたは彼女をかばおうとしたんですね」「犯人はあなたですね」の台詞とその時の体の向きで犯人か否かを予想しました。しかし、先ほども述べたようにこれだけでは根拠として不十分。会話のように続く容疑者二人の供述の真相はおろか、どちらが「松村みなみ」でどちらが「星野沙友理」かさえ明らかにできていません。

 それを読み解く最初のキーは、取り調べ終盤、二人に視力について訊ねた後の刑事の台詞「ようやく解りました。どうして二人とも同じ供述を繰り返すのか」でした。自分が犯人だと主張する二人の供述。これを刑事の言うようにどちらか一方の台詞ではなく、ほぼ全てが両容疑者に共通する供述として考えてみると、三人のやり取りが違った様相を見せてきます。すぐに観られる方は、この発想を持ってもう一度見なおしてみてください。

 例外の一つは、被害者が見つかった部屋に関する供述です。PVではさゆりんとみなみちゃんが会話するように進んでいきますが、取り調べは個々に行われているわけですから、両者を独立したものとして見ると会話の流れが不自然ですね。そこで、みなみちゃんの取り調べでは、「だって、その人、私の部屋のクローゼットの中にいたんですよね。私が犯人です」という供述に続くさゆりんの「自分が犯人だったら、自分の部屋のクローゼットに置いたままにしないですよね」を刑事が発言したとすると、その後のみなみちゃんの反論「いや、そんなことないでしょ。計画的じゃなかったら、自分の部屋の可能性もあるんじゃない?」で容疑者と刑事の会話が成立します。続きや、逆もまた然り。(ただし、両容疑者の最初の発言は本人だけの発言。刑事はそれに似た発言をもう一方にぶつける)

■みなみちゃんの取り調べ
み「だって、その人、私の部屋のクローゼットの中にいたんですよね。私が犯人です。普通に考えて」
刑事「自分が犯人だったら、自分の部屋のクローゼットに置いたままにしないですよね」
み「いや、そんなことないでしょ。計画的じゃなかったら、自分の部屋の可能性もあるんじゃない?」
刑事「確かに。でも計画的じゃなかったら、そもそもストーカーを部屋に入れないのでは? それに、犯人があなたの部屋に入ったかもしれない」

■さゆりんの取り調べ
刑事「被害者がいたのは犯人の部屋だと考えられます」
さ「自分が犯人だったら、自分の部屋のクローゼットに置いたままにしないですよね。私が犯人です」
刑事「計画的じゃなかったら、自分の部屋の可能性もあるのでは?」
さ「うーん、確かに。でも計画的じゃなかったら、そもそも部屋に入れなくなくない? そんな人。それに、私がそっちの部屋に入ったかもしれないし」

さ=さゆりん
み=みなみちゃん

 こうした不自然な場面はこの後の凶器に関する供述でも見られます。刑事の取り調べを受けているにもかかわらず、まるで部屋の反対側にいるもう一人の容疑者に話しかけるように続く二人の供述。これは刑事が容疑者の前方に移動していることが後から分かります。二人の視線もしっかりと刑事を追っていますので、刑事に向けられた言葉でしょう。ただ、会話のように続くやり取りはどういったものか? これはさゆりんの「凶器は? 指紋が残ってるとか」と、みなみちゃんの「あの重たい花瓶でしょ?」の間に、刑事の言葉を適当に補完することで、納得がいくものになります。後半のやり取りはさっきまでのパターンを当てはめるだけでは不自然ですが、容疑者が一人二役で日常のやり取りを再現したのに対し刑事が咳払いして止めさせたと考えるとどうでしょう。その様子にも説明がつくのではないでしょうか。

容疑者「あ、凶器。凶器は? 指紋が残ってるとか」(さ)
(刑事「凶器は、リビングにあった花瓶でした」)
容疑者「ああ! あの重たい花瓶でしょ? みなみが実家から持って帰ってきた」(み)
(刑事「ただ、花瓶には二人の指紋がついていた」)
容疑者「あれかー! あれはいつも二人とも触ってるしねー」(さ)
(刑事「いつも?」)
容疑者「そうそう。お花の水交替で取り替えようってなってるし」(み)
容疑者「でも、この間取り替えなかったじゃん」(さ)
容疑者「ごめん、忘れてた」(み)
容疑者「もう、いつもそうやって私なんだからー」(さ)
容疑者「ふふ、ごめんごめん」(み)
刑事、咳払い。

さ=さゆりん
み=みなみちゃん
()内はPV中の発言者

 さて、二人の発言はだいたい共通するものとして見ていくと、終盤の「視力はいいほうですか?」に対する二人の発言にぶつかります。視力を聞かれた容疑者は、みなみちゃんだけが「悪いです」と答え、さゆりんは答えていません。ここは映像の通りかもしれません。直後に刑事が「松村さんの視力が悪いことは把握しています」と言った後、「星野さんは−−」の後を「私、ウソついてません」と、みなみちゃんに遮られます。

 PVを見ている前提で進めているため省略しましたが、先の現場に落ちていた眼鏡の話から、二人の視力について話した刑事は、おそらく二人に松村さんの視力を説明した後、「星野さんは視力が良いですね」と言おうとしたのです(あるいは「星野さんは」はみなみちゃんにだけ)。それはやはり少し前に見せた眼鏡の写真から、遠くで見せても判別できたみなみちゃんと、手渡してわかったようなさゆりんの様子から判断したのでしょう。
 刑事は「松村さんは視力が悪い」と言ったのですから、みなみちゃんが「松村さん」だった場合、これに対して「私、ウソついてません」と反論するのは不自然です。反論するのは「視力が良いのではないか」と言われかけ、それを察して遮った星野さんだからです。つまり、視力が良いだろう「星野沙友理」はみなみちゃん、視力が悪い「松村みなみ」はさゆりんではないかと推測できます。もし松村さんも視力が悪いと供述していてこの言葉を言ったとしたら、取り調べ全体に対して「何で信じてくれないんですか」という意味でしょう。

 ここまできてようやく、正直に供述していた犯人と嘘をついて庇っていたルームメートの真相にたどり着きました。遺体をルームメートの部屋に放置した犯人はさゆりん演じる「松村みなみ」、同じような供述を繰り返し犯人をかばっていたのは「星野沙友理」だったのです。もう一歩踏み込むと、刑事は「松村みなみ」の取り調べを先に行い、その後で「星野沙友理」の取り調べを行ったと推測できます。


 いかがでしたか? やや駆け足になりましたが、これが私の持論です。この推理が真相に近いかどうかはわかりませんが、自分では一つ納得のいく結論を導けたと思っています。とはいえ、楽しめた一方で、真相が気になるところ。誰が“彼”を殺したのか? ぜひ皆さんの推理も聞かせてください。

筆者プロフィール

管狐
乃木坂46に関する情報発信の場として、2012年に当サイトを開設・運営。ライターとしてはビジネス・エンタメ・スポーツを中心に寄稿も。ご依頼はコンタクトの専用フォームよりお問い合わせください。情報提供・取材案内もお待ちしております。

COMMENT

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  1. 最大のヒントは刑事が遠目に写真を見せたシーンだと思います。
    刑事が二人をテストし視力の善し悪しが判断出来たからです。

    遠目に写真がメガネと判断出来たみなみちゃんと
    近くにきて写真がメガネだと気付いたさゆりん
    犯人=近眼、松村さん=視力が悪いと把握=松村みなみが犯人=さゆりんが犯人
    だと単純にそう思いました。
    犯人が逆になるヒントは見当たりませんでした。
    考察力よりも観察力だったと思います。

  2. でもこれって「なんで殺したのか」とか
    「なんで隠したのか」とか
    「そもそも被害者はホントにストーカーだったのか」
    とか考え出すとモヤモヤしません?(笑)

    部屋に上がり込んでたストーカーを殴って
    殺してしまったとしても、普通に通報して
    正当防衛的なアレで一件落着!って
    感じで済む話だと思うんだけど…。

    なんか火曜サスペンス的なドロドロした
    愛憎劇を想像してしまうんだけど、そこまで考えて観るもんでもないのかなぁ

  3. このPVを遅ればせながら見ましたが、ストーカー被害者と犯人が異なると考えるのが最大のキーだと思います。

    みなみちゃんのメガネに関する発言(度無しでも視力の悪い人もいる=目が良いことを前提)と自分の視力に関する発言(自分は視力が悪い)の両方とも、罪を認める発言なのですから、メガネを贈られた人(ストーカー被害者)と犯人が異なっていないと、論理的に一貫しないためです。

    単純に考えると、目が良いさゆりんがストーカーの被害に遭っていて、目の悪いみなみちゃんがその加害者を自分の部屋に誘いこんで殺害したとするのが、両者が罪を被りたがっているという状況に合っていると思います。

  4. このPVについて、自分なりにいろいろ考察してみてどちらが犯人でも納得いく回答に行き着かず色々な方の意見を見させていただきました。
    こちらのブログ(http://blog.goo.ne.jp/kafka2002/e/dfd0d1621f45454f3093e791f7959740)の方もかなり細かく考察されていて、こちらの記事とは別の回答に行き着いているのですが、結果としてやはり自分はどちらが犯人でももやもやが晴れませんでした。
    ブログの方も書いていますが推理の前提となる情報に異論の入る余地がある事が問題だとは思うのですが、自分なりにモヤモヤする場所を書いてみたいと思います。

    まず、どちらかは自白してるはずなのに2人とも発言内容があいまい。殺害現場の発言にて「~可能性もあるんじゃない?」「~かもしれないし」等、これによりどちらかを犯人としてもう一度見返した際もやはり変な感じがします。

    次に視力については多くの方が言っている通り松村沙友理さんは視力が悪いことは確定だと思います。
    星野みなみさんはどっちなのか曖昧(コンタクトつけている可能性がある)ですが、このPVで犯人を解るようにしているのであれば、視力が良いという事でいいはずです。この視力の演出が逆であったならば上の方の書き込みの考え方や下記のような引っかかる発言がなくなりモヤモヤがなかったかもしれません。

    そして、松村沙友理さんが犯人で星野みなみさんがかばっているとしたら、警察がメガネの度の有無で犯人を特定しようとしている発言の後に星野さんが「度無しでも~」とまるで目が悪い人が犯人の可能性があると警察に言っている様に聞こえてかばっている様には聞こえない。
    逆に星野さんが犯人で松村さんがかばっているとしたら、星野さんは最初自白していたのにもかかわらず、急に嘘をつき始めた事となります。

    以上の事がありどちらが犯人だとしても自分には何かモヤモヤが残る結果となってしまいました。

  5. 単刀直入に言ってしまうと、みなみがコンタクトを付けている可能性はないんです。
    理由はごく単純なものなんですが、このPVの中にコンタクトについての描写や話がないからです。

    「推理することはどういうことか」ということを考え直す必要があると思います。
    辞書では「1つ,あるいは2つ以上の既知の判断 (前提) から新しい1つの判断 (結論) を導き出すこと」と書いてあります。

    PVを見る側にとって前提となるものは、このPVで描かれたこと、話されたこと全てです。この前提によって、現実世界から論理の世界へと導いてるとも言えます。

    なので、前提無しの現実世界では、コンタクトの可能性について考えを進めることはできても、前提のある論理の世界では、コンタクトの可能性について考えを進めることはできません。

    あと、みなみちゃんの「度無しでも~」のセリフは、「度入りであれば犯人は近眼、度無しであれば、犯人は近眼ではない」という、メガネと犯人の視力を結びつけた刑事さんの推理を崩そうとしてのものだと自分は思いました。しかし否定され、刑事さんの推理は確かなものとして、この時に定まったわけです。まっつんのことをかばうかばわないを理由にした発言ではないんじゃないかと思います。

    刑事さんは、①自分の推理、②2人への取調べ、③レンズの鑑定結果で犯人はどちらかを決定づけたという事実があります。これらは、PVを見る側にとっては考えるための前提です。ただし、レンズの鑑定結果の中身はPVを見る側はわかりません。

    ①の刑事さんの推理「度入りであれば犯人は近眼、度無しであれば、犯人は近眼ではない」と③のレンズの鑑定結果の2つから明らかになることは、犯人の視力という犯人像であって、犯人が誰かということではありません。
    つまり、刑事さんは②の2人の取調べで、「犯人像と結びつくのは2人のどちらなのか」いう問題を解決したことになります。

    まっつんは目が悪いと刑事さんが言っています。
    みなみは目が悪いと自ら言っています。

    ここで、刑事さんが2人に写真を見せる場面が問題になるわけです。
    ここはPV中で唯一、2人に対して、目による判断をさせている場面です。
    そして、同じ条件で写真を見せて、2人が違う反応を見せます。

    まっつんはなんだか答えられず、みなみはメガネと半疑問で答えます。
    PVを見る側が視力に対して出来る論理的な判断は「視力が良いか悪いか」ということだけです。
    つまり、2人とも本当に目が悪いのなら、同じ反応を示さなくてはいけません。
    しかし、みなみはメガネと答えた。
    これはみなみが言った「自分は目が悪い」ということと矛盾するので、つまり、みなみは嘘をついたので、みなみは犯人ではないということです。

    刑事さんは写真を見せる場面で鎌をかけたんだと思います。

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