Nogizaka Journal

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乃木坂散歩道・第196回「欅坂46お見立て会で、乃木坂46結成初期を追体験してみた」

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 懐古主義、懐古厨、どちらもあまりいい言葉ではありません。「昔は良かった」と過去に囚われ、『今』を閉ざす人達です。でも、僕からしたら羨ましい。「昔は良かった」の『昔』を僕は知りません。「◯◯新規」という言葉を使うなら、僕は「おいシャン新規」(「おいでシャンプー」からのファン)です。既に乃木坂46結成から一年が経とうとしていた頃で、デビュー前の乃木坂を僕は全く知りません。その当時、乃木坂46というグループが出来た事すら知りませんでした。

 僕は乃木坂ファンです。生活の多くの部分を乃木坂に捧げている乃木ヲタです。だから、『昔』の乃木坂がどんな感じだったのか? その当時のファンの皆さんの雰囲気も含めてどうだったのかな?って凄く気になります。
 でも、過去には戻れません。残念だけれども、その希望が叶う事はありません。

 ただ、今回乃木坂の後を追い掛けるグループが誕生しました。結成日が同じ、名前に坂、数字も46、マークも三角形、最初のイベントも『お見立て会』。何から何まで、乃木坂の初期を見ているかのようです。
 それならば、メンバーや環境は違えども、近い体験が出来るのではないだろうか? 動機としてはやや失礼かなと思いつつも、そんな想いで欅坂46のお見立て会に応募してみることにしました。

「緊張感」

 僕が参加したのは、11月14日の第2部でした。初回ではないので、多少緊張感がほぐれたメンバーもいたようですが、それでも、恐ろしいまでの緊張感が、ステージ上を覆っていました。あんなに緊張している人達を見たのは、人生初かもしれません。

 ただ、今から思えば、あれはただの緊張感では無かったと思います。例えば、甲子園とかインターハイとかの試合前、そういう緊張感とは違う印象でした。

「格差の審判と洗礼」

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 『お見立て会』はメンバーの自己紹介+握手会というシンプルな内容です。ただ、握手会は、僕たち参加者は一人のメンバーしか選べません。そして、1回きりです。『ループ』や『まとめ出し』といった、握手会特有のシステムも無いので、『人気の格差』が著明に表れてしまいます。

 彼女達の緊張感は、大勢を前にするという緊張感もあったでしょうが、審判の前の緊張感もあったのかもしれません。自分のグループ内での立ち位置を決める、最初の審判の緊張感です。

 握手会はステージ上で行われ、その光景を、順番が来ないファンはずっと見ていられるのですが、僕は途中、目を背けてしまいました。沢山ファンが並んでいるメンバーがいる一方で、あまり並んでいないメンバーもいる。かつて乃木坂46のお見立て会でもそういうことがあったと、いつか記事で読んだことがあります。それと同じ様なことが今、目の前で起こっている。でも、彼女達は決して下を向いたりしない。前を向いて笑顔で立っているのです。最年長でも20歳、ほぼ未成年の彼女達の最初のイベントがこれか……。絶句しました。

 厳しい現実を目の当たりにしましたが、背けた目をもう一度彼女達に戻しました。彼女達はその現実に向き合っています。僕が逃げてちゃいけないですよね。彼女達の覚悟を見せていただいて、ファンとしても身が引き締まるイベントでした。

「初心1」

 当たり前のことなのかもしれませんが、出来立てほやほやのアイドルグループの一番最初のイベント、そのイベントの前に所信表明のブログが全員分上がり、イベント終了後に報告のブログが全員分上がる。彼女達の視線の先に有るものは『ファン』です。ファンの心をつかもうとする姿があります。いざ『初心』を目の当たりにすると、正直心地良かったです。乃木坂3期生ではなく、新規グループの最大のメリットがここに有ると思います。

 ブログに関してもう少し言及すると、今のブログは本当に新鮮。ほとんど毎日のようにブログの更新があります。まだまだ『仕事』で書けることは多くはありません。ですから、たわいもない内容ですが、『始まりの雰囲気』が良く出ていると思います。

「初心2」

 ”初心忘るべからず”という諺があります。物事を始めた頃の謙虚な姿勢を忘れるなという意味で、現在は使われています。ところが、一説によると、この”初心”を説いた『世阿弥』は”初心”に色々な意味を込めていたようです。”新しさ”は、時にちやほやされます。その浮かれた状況を戒める言葉として使われたのが”初心”とする説です。”初心忘るべからず”は”初心者=未熟だった初期のころを忘れず、精進しなさい”という意味だとする説です。

 実はこの日、舞台「リボンの騎士」を観てから、「お見立て会」に参加しました。生田絵梨花さん、桜井玲香さんの圧倒的パフォーマンスに、カーテンコールでは涙があふれました。欅坂メンバーにとって、『初心(=謙虚さ)』は大事ですが、”初心(=未熟さ)”のままであってはいけない。

 『初心』は心地良かったけれども、いつまでも持ち続ける必要はないのであろう、そんな風に思います。謙虚さではなく、力でファンを魅了する、その時には『”初心”』はもう無くていいのです。

「初心3」

 自分自身の初心を振り返ります。乃木坂ファンになった当時は週1回の『乃木どこ』と、メンバーのブログ更新を楽しみにしていました。数少ないMVを何度も繰り返し見ていました。初めて握手会に参加した時、メンバーに会えただけで満足でした。ライブではその場にいられただけで幸せでした。
 今はどうでしょう? 週1回の番組では満足できていません。握手会では、例えば『認知が欲しい』とか、『特別な言葉をかけて欲しい』という+αの欲求があります。ライブでは『レス』が欲しかったり……。

 まさに「今の私はウザイ」です。

もしもやり直せるなら、どこまで巻き戻そうか? 
君と初めて出会った日、それとも好きになった日。

乃木坂46『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』より

 まだ、乃木坂を知らなかった頃の、握手会やライブに行ったことの無いあの頃に戻れるなら、自分をリセット出来るのなら……。
 まっさらな自分だったなら、今、スタートしたばかりの『欅坂46』の応援はとても素晴らしいんだろうな……。

 欅坂メンバーはまっさらです。でも、自分はまっさらではない。結局、追体験という試みは成功したけれど、自分がまっさらじゃなければ、本当の意味での一からの応援は難しいんだなって、気が付かされました。僕はもう『初心』の無い、『打算が混じった応援』しか出来ないファンなのです。

 欅坂46のファンの方で、なおかつ、乃木坂も含めて、他のアイドルのイベントに参加したことが無い方が、偶然この記事を読んだとしたら、お互いにまっさらな状態で始まる欅坂46の応援はとても貴重であることを、頭の隅に入れておいてください。きっとあなたの人生の宝になります。

「一人を選ぶという事」
keyakizaka46-selection3写真は今泉佑唯(注・筆者の選択とは関係ありません)

 そんな『初心』の無い僕でも、非常に新鮮な思いをさせて頂いた場面もありました。それは『一人を選ぶ』という事です。おいシャン新規の僕が乃木坂ファンになってから、『一人だけを選ぶ』という場面はあまりなかったように記憶しています。全国握手会でも、個別握手会でも、プリンシパル公演でも、一人だけを選ぶ必要は無かったし、例え有っても、大きな影響があるものはありませんでした。

 今回、『一人だけを選び、そのメンバーと1回だけ握手して帰る』というシステムに、大いに悩み、考えました。
 もしも、将来、個別握手会に行く位の『欅ヲタ』になった時に、その時に推しているメンバーと、ちゃんとお見立て会で握手出来ているか? 折角参加した『お見立て会』です。そこまで考えて、ガチで一人を選びました。

 『ただ一人を選ぶ』、こういう経験は、ヲタ人生で初めてです。実に刺激的な経験でした。

 『お見立て会』での『一人を選ぶ』は、『初心』に帰れる一つのツールになり得るのではないかと感じました。『打算』で汚れた応援の気持ちを浄化、リセットしてくれるのではないかという期待を僕は持ったのです。


「始まりはマグマ」

 少し話は変わります。

 今、欅坂46から発信されているのは、「欅って、書けない?」(テレビ東京)と公式ブログくらいなものです。発信したくても、発信する手段が少ない、発信するもの(楽曲、舞台等)が無い、発信できるだけの力が足りない。でも、だからこそ感じるのは、抑え込まれた爆発力です。

 今の欅坂46ブログにはコメント欄がありません。非常に良い戦略だと思いました。メンバーは自分のブログに対する『評価がわからない』。だから、自分で試行錯誤するしかないのです。試行錯誤はいずれ『力』になります。

「始まりを知る」

 人間は飽きる生き物です。故に、エンターテイメントにおいては、『新しさ』を常に投入し続けなければ飽きられてしまいます。今回の欅坂46の結成は、まさに『新しさ』の導入です。
 ただ、人間の欲望には際限がありません。初めは『会えただけ』で満足していたものが、『もっと沢山話したい』に変わるのは必然です。でも、そういう欲望にも限度があります。

 人気が高くなれば、ライブでは会場が大きくなり、握手会は参加しにくくなります。会いたくても会えなくなる、ファンとアイドルの距離は離れていきます。それでもなお、ファンの気持ちを惹きつけるために、アイドルは『力』を持つ必要が出て来ます。『力』とは歌唱力、演技力、発信力等、様々です。
 4年前に走りだした乃木坂46は、その『力』を着実に付けているように感じます。そして、乃木坂の初期を知っていた方が、その『力』をより楽しめる、僕はそう考えます。初期と現在との『差』が今の乃木坂を引き立たせると思うからです。

 始まりを知る方法としては、過去の記事、画像、動画を探すという方法もあります。今回僕がやった様に、『疑似体験』という方法もあります。いずれにしても、『始まりを知る』というのは、アイドルを楽しむ大事な要素です。

 「欅って、書けない?」は土田さん、澤部さんのイジりが実に面白く、一つのテレビ番組として、素直に楽しむことが出来ます。欅坂46のブログも初々しくて、実に微笑ましい。そして、欅坂46という『始まり』を見ることで、そのこと自体も楽しいし、乃木坂を見る目も変わってきます。
 欅坂に興味を持つことは、一石四鳥と言えるのではないかと思っています。

 
 乃木ヲタとして興味を持ち始めた僕が、今後、欅坂46にどこまではまっていくのか? ミイラになっても不思議ではない、それだけの潜在力があるグループ、メンバー、環境です。そして、姉妹グループである、乃木坂と欅坂、今後どんな絡みがあるのでしょう? 今の二つのグループはかなり離れています。一方は紅白出場、一方はまだ始まったばかり。この『差』が僕には実に興味深いのです。

 明日11月29日(日)24:35からの「欅って、書けない?」で今回の『お見立て会』の模様が放送されます。今までと少し視点を変えて見ていただくのも面白いかと思います。

筆者プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENT

  • Comments ( 7 )
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  1. どういうわけか、咄嗟のあの歌詞のくだりを読んで、涙が出ました。ライブで何度も聞いているんですが、そんなことはなかったので。何にシンクロしたのか、ちょっと自分でもわからなくて、不思議な気持ちです。

  2. アイドルファンなら新しいものに飛びつき結成当初から応援するというのは醍醐味の一つとしてあるのでしょう。
    筆者さんは「打算のあるファン」と書かれていますが、私は乃木坂の勢いが最高潮にあるのを見て応募してきたメンバー達にも、合格しさえすればメディアに出れて活躍できるという打算があるように思えてしまうのです。
    実際、結成から3、4か月でグラビアに登場し全国放送の歌番組にも出れるという事実があります。
    もちろん本人達の心情などわかりませんし本人達には何の問題もないので、ほんとに自分の勝手な偏見なのはわかってます。
    ただ同じ運営なのに乃木坂の2期生との扱いがこんなにも違うのかということも素直に応援できない理由かもしれません。

  3. いつも楽しく記事を拝見させてもらってます。
    自分もOkabeさんと同じころに乃木坂のファンになりました。
    当初はただ乃木どこを見たりブログを読んだりするだけのファンで実際にライブや握手会に参加するようになったのはガールズルールの頃です。
    乃木坂結成の頃からのファンを羨ましく思うことはやっぱりありますね。
    だけどOkabeさんが言うような結成当初からのファンになるためにはそれ以前に他のアイドルのファンであるか興味がある人でないとなれないと思います。
    だってデビュー曲も何もないアイドルに対して興味や応援をしようなんて普通の人では想像も付かないことだと思いますよ。
    他のアイドルに飽きたからなのかそれか今回Okabeさんが取った行動のように結成当初からのファンでありたいと思う気持ちからそのようなイベントに参加する経緯に至ったんではないでしょうか?
    自分は結成前から乃木坂のことは知ってたしデビュー曲のぐるぐるカーテンも知っていました。でも「また秋元康氏が何かやってるなぁ」ってことしか思わなかったです。だってアイドルのファンになるなんて夢にも思ってなかったんですから。
    乃木坂を意識するようになったのは生駒ちゃんがロンドンハーツだったか何かの番組でとてつもない運動神経を披露してたり、ネプリーグで生駒ちゃんがどんでもない変顔をしてて「自分が思ってたよりただの清楚なだけのグループではないな」って思ってからです。
    それからたまたま見た深夜の乃木どこで大好きなバナナマンがMCをやってて、その絡みが面白いのと彼女たちの一生懸命でひたむきで内に秘めたる何かを感じて次第にどっぷり乃木坂にはまってしまいました(^^;)
    自分も結成当初からの乃木坂ファンではないけど、誇りに思うことは他のどのグループにも興味がないまま乃木坂を知って好きになれたことです。
    自分は家族持ちで時間的に余裕がないし金銭的にも余裕がないのでいづれは乃木坂のイベントにも参加出来なくなると思います。だからってわけではないですが他のアイドルを応援したりする事は難しいです。
    自分にとって乃木坂は「最初で最後の恋」みたいなものです。
    そう思いながらこれからも乃木坂だけを応援していくつもりです。
    こんな風に思えるアイドルグループがいるなんて自分は幸せ者ですね。
    長々とすいませんでした。また次の記事も楽しみにしています。

  4. By 昭和のおじいさん64歳

    Okabeさん、素晴らしい記事を読ませていただき、大変心が満たされております。
    有難うございました。

    私が乃木坂と出会ったのは、Eテレ「Rの法則」でした。
    「夏のFree & Easy」の時で、当時62歳でした。
    まいやん への一目惚れでした。

    それから一年半、TV、雑誌、DVDなどで彼女たちの活躍と努力を見て、
    「乃木坂46」をグループとしても好きになりました。

    この年で「アイドルグループ」のファンというには、心身ともに力不足を感じていますが、
    彼女たちがエンターテインメント集団として成長するよう、応援し続けるつもりです。
    紅白出場を一つの踏み台として、ますます精進されることを祈っています。

    このところ、録画した「乃木どこ」や「NOGIBINGO」を週に2、3回は3歳の孫と見ています。
    たぶん、乃木坂が醸し出している何かアットホームな雰囲気を、
    3歳ながらも感じているのではないかと思います。

    私も乃木坂46の初期からは見れませんでしたが、
    欅坂46では、初期から彼女たちの成長を見させてもらおうと思っています。

    是非みなさん健康を上手に維持しながら、新時代のグループを作り上げてほしいと思います。

    • 私も奇しくも同じ年齢の自称「乃木ヲタジジイ」で、この歳でアイドルグループを好きなことにいささかのためらいを感じつつも、清楚さと気品で他のアイドルとは異なる乃木坂の魅力にどっぷりとつかっております。
      乃木坂は「ぐるぐるカーテン」の頃から「AKB48の公式ライバル」という触れ込みに興味を感じ、「君の名は希望」の頃にはすっかりファンとなって、以来ライブには毎年、個別握手会にも3回参加しております。
      欅坂については、正直言ってそこまでは面倒見れないという感じですが、いい意味でのライバルとして先輩を追いかけて行ってほしいと思います。
      同年代の乃木坂ファンがおられることに心強さを感じてコメントさせてもらいました。
      アイドルの応援は元気のもとと信じてこれからも自分なりに応援し続けていくつもりです。

  5. 欅坂お見立て会は、2日目のお昼の部に参加しました。

    私も、乃木坂のお見立て会を知らない、いわゆる「乃木坂46ファンの証」カードを持っていない者ですが、欅坂お見立て会は、乃木坂推しとして考えさせられることの多い、本当に有意義なイベントでした。

    選べるメンバーはたった1人、1回だけの握手、一番最初の審判の重み。
    最初に観客を煽るようなBGMも全くなく、静かにスタートしたのも良かったと思います。観客も、これは中途半端な気持ちでは臨めないと感じていたのか、心なしか観客席の雰囲気も固い印象がありました。

    2~3名の推しはいるけど、基本箱推し。ループやまとめ出しの習慣に慣れた自分には、舞台の上で観客の目に晒されながら、自分だけのために握手をしにくる人をひたすら笑顔で待ち続けるメンバーの姿はある意味衝撃的でした。なんて残酷な…とも思い、また、それを受け止める覚悟を持ってこの舞台に立っているのだと。

    自分としては、これからどのように欅坂と関わっていくか分かりません。でも、坂道グループが1つ増えたことは、乃木坂推しの1人として、これからどう向き合うか、考える良い契機となりました。

  6. 「欅って、書けない?」観ています。

    最終オーディションを受けていない1人をメンバーに追加。
    反則だよなあ、とも思うが、運営側としてはストーリーのあるメンバーが欲しいんだろうなあと思う。
    更にはメンバーの追加募集。
    何かちょっと冷める。
    結局今の数では、選抜、アンダーという構造が作れないってことなんだろうな。

    乃木坂の初期の頃をリアルタイムで観ていないので比べようもないが、やはり乃木坂の成功を見て応募してきているわけだがら、それなりに我は強いような気がする。
    地方出身者が少ないことも違いとしては表れるだろうな。

    乃木坂も応募者は結構な数いたわけだが、「AKBの公式ライバル」っていう文句をどう感じていたのだろうか?
    個人的には半信半疑、胡散臭いって感じだったんだけどね。

    それでも今はAKBとは別ものとして、立派なアイドルとして観れてるんだから不思議なもんだよね。

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