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乃木坂散歩道 第10回「少年少女飛行倶楽部」

hikouclub
「少年少女飛行倶楽部」(文藝春秋)

 前に乃木坂ジャーナルでベボベ小出祐介「乃木坂46の新曲『君の名は希望』は素晴らしい」という記事がありました。小出さんがツイッターで「君の名は希望」を褒めていたという記事です。このツイートリストを見てみたのですが、そこにこんなリツイートがあったんです。 

 「君の名は希望」の世界観は、東野圭吾の小説「容疑者Xの献身」の世界観に似ている と。

 こういう感性って素敵だなって思って、真似出来ないかなと思っていました。そんなことを意識しながら生活していたら、こんな本に出合うことが出来ました。加納朋子・著「少年少女飛行倶楽部」。
 この小説を読んでいると、どうしても「指望遠鏡」のフレーズが思い浮かんでしまうのです。

 
 「指望遠鏡」に関しては 乃木坂散歩道 第5回「指望遠鏡からのメッセージ」を御参考ください。素敵なフレーズが散りばめられています。「出来ない理由探すより やってみればいい」 何かを始めようとしている人へのメッセージソングです。

 
 さて、「少年少女飛行倶楽部」です。この小説は中学生が学校の部活で「飛行倶楽部」を立ち上げ、空を飛ぶまでの物語です。

 空を飛ぶにも条件があります。
1:あくまでも「自分自身」が飛行することを旨とする。
2:「落下」は「飛行」ではない。
3:航空機やヘリコプターでの飛行は除外。
4:究極的にはピーターパンの飛行がベスト。

 うーん……、冒頭からこのような条件が提示されるのですが、結局どんな「飛行」なんだろう? そう思いながら物語を読み進めていくことになります。

 登場人物は、クラゲ、ヒトデ、宝石、エンジェル、守護神、お餅、お月様……。個性的なメンバーなのですが、読み進めていくうちに、何故か乃木坂46のメンバーが思い出されて仕方がないんですね。高山一実さん、中元日芽香さん、星野みなみさん、橋本奈々未さん、若月佑美さん、井上小百合さん、西野七瀬さんなどなど。読む人によって色々変わるでしょうが、乃木坂ファンなら食い付いてしまうところがいくつもあります。一つだけネタばらししますと、主人公は「ひめたんびーむ」を練習します。初版が2009年なので、当時はもちろん乃木坂46は誕生しておらず、意識して書かれたわけではないのに、不思議なものです。

 結局「飛行」は何だか、えっ? って感じの他愛の無いものです。でも、この物語は、そこがメインじゃない。その結末に至るまでの、彼ら彼女らの歩み、さなぎから蝶になり羽ばたくまでの成長、そして、葛藤。
 「なぜ、空を飛びたいのか?」 最初一人で始めた活動が、やがて仲間が増え、「飛びたい」という目標に向かい始めた時、あらためて自問自答し、そして、答えが導き出されました。
 「空を飛ぶ」ということは、「自由」の象徴だったのです。色々な縛りから解放されること、親、姉、自分の名前、期待、束縛、劣等感、過去……。
 「凧のように飛んでいきたい、でも、糸を持ってくれる人がいなければ、飛んでいってはいけない」 実は一番自由だったのが主人公。「誰からも好かれている」と言われクラブの中心的な役割を担ったその実は、自分が飛ぶためには、自由である主人公に糸を持ってほしい、という自由になりたい彼等彼女等の願いがあったからなのです。

 足枷を外すこと、枠から外に出ること、「自由」になること、それが彼等彼女らの願い=「飛行」だったのです。つまり、空を飛びたいと願っていた少年少女達、彼等彼女等の本当の願いは、言葉通りの意味ではなく、自分自身の存在意義の確認であったり、自分に素直になることだったり、自分に自信を持つことだったのです。

 
 この本を読み終わって、感じたこと、それは「温かい視線」です。彼等彼女等の若さゆえのひたむきさに、共感ではなく、見守ってあげたい、応援してあげたい、そんな風に思える小説です。この「温かい視線」は指望遠鏡の歌詞の視線と重なるように感じませんか? ひたむきに頑張る人への「温かい視線」です。

 最後に素敵なフレーズを紹介して終わりにしたいと思います。他にもたくさんあるので、もしよろしければ、イベントの待ち時間にでも読んでみてください。

「ぼんやり空を見上げたり、本を読んだりしてるだけじゃ、いつまで経っても空なんて飛べませんよ。今すぐに動き出さなきゃ。飛行機だって、離陸のためには勢いつけて走り出すでしょう?」

 僕達乃木坂ファンは、飛び立とうとしているメンバーたちの糸を持ってあげられる存在になれるでしょうか? 「温かい視線」があれば大丈夫だと僕は思うのです。  

 
 P.S.いつもいつも突拍子もない記事を読んでいただき、ありがとうございます。この記事は読書感想文です。本日3月13日に発売される「君の名は希望」の個人PVの一つにも小説が盛り込まれていますね。次はその感想文を書いてみたい。その準備としてこの記事を書いてみました。こんな記事を掲載していただける乃木坂ジャーナルの懐の深さに感謝するとともに、読んでくれた皆さんの乃木坂46ライフがより一層充実することを願っています。

 

加納 朋子 文藝春秋 2009-04

筆者プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENT

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  1. あみあみはチャラ男、
    らりんはギャルっぽい女の子らしいでっせ。

  2. ひめたんビームわらた。

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