少し前からNogizaka Journalに表題の映画のバナーが掲載されているのを御存知でしたでしょうか? デスクトップ版とスマホ版のページ両方にあるので、目にした方も多いのではないかと思います。
こちらの映画は、乃木坂46の4thシングル『制服のマネキン』で桜井玲香さんの個人PVの監督も務められた、頃安祐良監督の作品です(編集注:9thシングル『夏のFree&Easy』では井上小百合のPVを監督)。「乃木坂46『君の名は希望』のMVを手がけた山下敦弘監督から推薦コメントが届いている」とのことだったので、公式サイトを覗いてみたところ、気になる推薦コメントがあったのです。
「アイドルファンだったら、一度は立ち止まってみて観るべき。自分が映ってるから」
映画監督の高橋栄樹監督による推薦コメントでした。高橋監督はAKB48のMVや映画を数多く手がけている方だそうで、乃木坂46でも『おいでシャンプー』のMV、生田絵梨花さんの個人PVを監督した方でした。
そんな訳で、世の中はAKB総選挙で盛り上がる中、乃木ヲタはプリンシパルで盛り上がる中、僕はプリンシパル観劇後の熱も冷めないまま、6月7日の「あの娘、早くババアになればいいのに」初日舞台挨拶に向かったのでした。
劇場はテアトル新宿。21時過ぎからのレイトショーにもかかわらず、218席あるシアターは満席。立見がでるほどの盛況ぶりでした。その初日に鑑賞できるだけでも幸運に恵まれているというのに、乃木坂46のイベントに慣れている分、かなりビックリの舞台挨拶でした。上映前に頃安監督以下キャストの皆さんが登壇するわけですが、客席からはプレスの他にもカメラのシャッター音が。『撮影、録画は固くお断りします』ではないんです。撮影自由!(確認済み)
左から、頃安祐良監督、尾本貴史さん、中村朝佳さん、結さん、切田亮介さん、尾崎愛さん、高橋卓郎さん、藤田健彦さん、脚本の寺嶋夏生さん。
そして、極めつけは映画鑑賞後です。舞台挨拶の後に上映となるのですが、約70分の上映後、「映画の感想を聞かせてください」と、監督とキャストの方々が劇場のロビーで待っていてくれるのです。今観たばかりの映画の感想を、その映画に携わった方々に直接言えるって凄いですね。サイン、握手、写真撮影にも気軽に応じてもらえます。
こんな世界もあるんですね。いわゆる「現場」というのを乃木坂46しか知らなかった自分にはとても新鮮でした。
ここから先はネタバレを含んだ感想になります、が、多少はネタバレしても大丈夫な映画だと思います。気にする人はご遠慮ください。
僕はこの映画を自分なりに解釈するならば「禁断の恋愛の解決法」としたいと思います。禁断の恋愛と言えば何でしょう? 例えば、格差のある恋愛、「ローマの休日」みたいなやつです。例えば、不倫もそうでしょう。そして、なんと、この映画では父娘の恋愛が描かれます。実際には血の繋がりはないので、厳密な親子ではありませんが、生後間もなくから父娘の関係であったという設定です。
父が娘に恋愛感情を抱くとき、その感情をどう抑えるのか? どう昇華させるのか? その解決法が「娘をアイドルにする」です。昨今のアイドルは『恋愛禁止』です。芸能人として非力な彼女たちが応援してもらうのに必要な、暗黙の了解です。親子だから娘に恋愛感情を抱くのは非常識、アイドルを目指す娘は恋愛禁止。そうすることで娘への恋愛感情を抑えるのと同時に、叶うことがない恋愛ならば、檻の中で守るという、歪んだ感情にもなるわけです。
この映画では3回のキスシーンがあります。非常に示唆に富んだキスシーンです。特にクライマックスの父と娘のキスシーンは、この映画のタイトルの意味につながる名シーンです。
さて、映画の本質とは別に、この映画の見所に高橋監督からの推薦コメント「自分が映っているから」があります。実際に映画を鑑賞してみて、至る所に『自分』が映っていました。自分だけじゃなく、『みんな』も映っています。自分は違うけど、いるよねこういう人という描写がいたる所にあるのです。それがとっても笑えるし(上映中に笑いをこらえるのが大変でした)、客観的に自分を眺めるいい機会かもしれません。
『ヲタク』は一つの文化となりました。主に趣味の分野において、独特の価値観を持ち、その集団の中に入ろうとするには、少し敷居の高い存在、それがヲタクです。敷居がある分、同じ価値観を共有出来たりする貴重な存在です。この映画の主人公の言葉、しぐさ、思考までもが共感できたり、共感まではいかないまでも、『あるある』だったりします。それゆえ、この映画の監督・脚本を手掛けた頃安監督には、僕達と同じ匂いを感じるのです、ドルヲタもしくは乃木ヲタという匂いを。
6月20日(金)までテアトル新宿にて、2週間限定で毎日21時20分から上映中です。上映後のアフタートークにも様々なゲストが招かれていて、本日19日は放送作家の松崎まことさんとアイドルの篠原ゆりさん(元TAKENOKO▲)が登壇予定だそうです。残り2回の上映、是非チェックしてみてください。
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