乃木坂46デイリーコラム 第20回・金曜特集「自由の彼方」

乃木坂46デイリーコラム 第20回・金曜特集#04「自由の彼方」

乃木坂46の1stアルバム「透明な色」に収録されている「自由の彼方」は、10thシングル「何度目の青空か?」のカップリング曲「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」のアンダーメンバーと研究生によって歌われており、井上小百合がセンターを務めている。

この曲はベルギーの劇作家モーリス・メーテルリンク作の童話劇「青い鳥」をモチーフに書かれていると考えられる。「青い鳥」は二人兄妹が、幸福の象徴である青い鳥を探しに行くが、結局のところそれは自分達の最も手近な所にある鳥籠の中にあったというストーリーである。より良い職場、より良い結婚を求めて転職、離婚を繰り返す人を青い鳥症候群と呼ぶが、近年そのような人が増えているのが事実だ。冒頭から、「なぜ鳥は逃げた」と問いかけるこの曲は、青い鳥症候群になりがちな現代人に疑問を投げかけているのだろうか。

曲は全体として暗い曲調とされるハ短調で進んでいくが、サビでは一時的にハ長調に転調している。冒頭でピアノからエレキギターに切り替わるタイミングは絶妙で、不思議な感覚に襲われる部分である。終盤の展開部では映画「007」のSkyfallの音楽を想起させるような壮大さを見せている。

歌詞は「ありふれた愛じゃ 君は充たされはしないのか?」など、ストレートなメッセージが多く盛り込まれ、聴く者にダイレクトに訴えかけている。メロディーと歌詞の連動性が素晴らしく、聴いていて全く違和感がない。

「自由の彼方」というタイトルについては、「青い鳥」という話を想定すると、この曲は自由よりも幸福や愛がテーマになっているため、「幸福」という言葉が必要ではないかと考えた。しかし、「鳥は逃げた」の行為などを自由という言葉と関連づけることは出来るため、あくまで解釈によるのかもしれない。

文学作品を題材にするというのはアイドルグループの曲として新鮮であり、素晴らしい発想であると筆者は思う。今回紹介した「自由の彼方」はメッセージも非常に明快で、知性を感じさせる名曲と言えよう。

https://www.youtube.com/watch?v=7NZUAiGlYAo
*MVがありませんので、YouTubeよりピアノ独奏による「弾いてみた」をご紹介します。

筆者プロフィール

ななみん教授助手歴773年
医師とチェリストによる異色のコンビが、乃木坂46メンバーや彼女たちの物語を研究・分析。全国の乃木坂46ファンの皆様との情報の発受信はもとより、Nogizaka Journalを訪れる全ての皆様に、乃木坂46についてより深く知っていただくお手伝いが出来ればと思います。

COMMENTS

  1. 興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。
    アイドルというよりも、普通に音楽を聴く感覚で、耳の肥えた音楽好きの人にも聴いてもらいたい。そんな曲をこれからも伝え続けることが、乃木坂の長期的な競争力の源泉となると思います。

  2. ほんとにいい曲ですよね。
    この曲を聴きたいがためにAll Live Nipponに足を運びました。もちろん3rdバースデイライブでも生で聞きました。
    乃木坂46が単なるアイドルに終わらない普遍性を持ったアーティストだと証明する曲の一つだと思います。

  3. この曲、プレイボーイ増刊号のアンケートでも生駒ちゃん、ななせまる、ななみんの3人が好きな歌に選んでいて、自分も好きな歌です。

    曲だけでなく、アンダーライブ2ndシーズンからアンダーライブ2ndシーズンファイナル、そしてAll Live Nipponへと続く10枚目アンダーライブメンバーの成長の集大成とも言えるダンスも素晴らしいと思います。

  4. 大好きな曲!披露する機会が少ないのが残念(ー ー;)
    ALL LIVE NIPPONで観た時は感動したなあ。(*^^*)

FacebookでシェアTwitterでシェア