乃木坂46デイリーコラム 第50回記念・金曜楽曲特集 #10「おいでシャンプー」
乃木坂46の2ndシングル「おいでシャンプー」は、女の子に想いを馳せる男の子の切ない気持ちを歌った曲である。この曲は乃木坂46を象徴する曲の一つとも言われている。
歌詞は初々しい恋心をシンプルに表現しており、気になる女の子が放つシャンプーの香りに心をときめかす男の子の純粋な気持ちを甘酸っぱく歌っている。”半袖のシャツ”、”プール”といった言葉からは夏の開放的な光景をイメージさせるが、男の子の想いは内向的であり、”これが恋なら夢で会いたい”という歌詞からも、まだ恋なのかも分からない戸惑うような気持ちであることが分かる。また、タイトルに用いられている”シャンプー”はシャンプーそのものではなく、女の子の雰囲気を比喩的に表現している言葉と捉えることもできる。
MVでは最初にメンバーの白石麻衣が生駒里奈に何かを耳打ちし、その後生駒が白石の髪を後ろからかき上げるシーンが見られるが、この曲のキーワードの”シャンプー”を連想させるためと考えられる。メンバーが横に並んで前の人の腰を掴んで踊る“トレイン”がこの曲の最大の特徴であり、最初は少人数でトレインを組むが、最後に16人が横一列に並んでダイナミックなダンスを見せる。また、衣装のフワッとしたスカートを振り付けに生かして軽やかさを表現している。全体を通してフォーメーションの変化が早く、動きを揃えるだけでもかなりの機敏さが要求されるであろう。
ピアノとベースの華麗な前奏で始まり、サビから入るこの曲は、終始ヘ長調で進む。ドラムでテンポを刻み、要所でカスタネットを入れるなど工夫が見られるのもポイントだ。サビの「おいでシャンプー」のフレーズを繰り返すことで曲のイメージがクリアになり、さわやかさが強調されている。またサビ中の「その長い髪」の「い」や、「夏の日差し」「ざ」の部分で使われている”半減7+長三度”は和声学的にも非常に高度な和音であり、またその後の「届くまで」の「ど」の部分で使われている”半減7″和音も加えることにより、さわやかさの中にどことないメランコリーを見事に醸し出している。間奏は比較的長く取られているが、最初にドラムのソロを入れることで、高揚感を高める効果が生まれている。また、曲の終わり方にも趣向が凝らされ、間奏のようなフレーズからそのまま締め括るという独特なエンディングとなっている。
さわやかさ、シンプルさが前面に出された点はデビューシングル「ぐるぐるカーテン」と共通しているが、高度な和声法を用いることによって甘酸っぱい感情を巧みに演出し、またインパクトのあるMVと独創的なタイトルを伴って大きな変化となった。初期乃木坂46の作品として必ず押さえておきたい名曲である。
https://www.youtube.com/watch?v=NBRJ0jiyjw8
COMMENTS
コメントはまだありません。