アイドルの魅力、とりわけその多様性、多面性を形容する言葉は多くある。「ギャップ」だとか「振れ幅が大きい」という言葉がそうだ。しかし、このアイドルの魅力を表現するにはこれらの言葉では不十分だ。
堀未央奈がセンターに抜擢された7thシングルにおいて、表題曲「バレッタ」やカップリング曲「月の大きさ」で見せたクールでミステリアスな雰囲気と、同じくカップリング曲である「そんなバカな・・・」で見せた弾けるような笑顔。これらは「ギャップ」や「透明感」と表現できるかもしれないが、こと乃木坂46においてはメンバー誰しもが持ち合わせているものだろうから、これを結論とするのはやや早計だろう。しかし、堀の魅力の根幹がここに位置しているのもまた事実であるように思う。
MVや個人PVなど、映像作品のイメージが強い堀ではあるが、「乃木坂って、どこ?」をはじめとしたテレビ番組での活躍も多くの人にとって印象的だろう。その代表例が同番組で発掘された「血みドル」である。肝試しを苦手とする堀が、「スプラッター映画が好きなんです」と言って残酷なシーンを笑いながら観ているのだ。他にも姉に明太子を横取りされた思い出話で号泣したり、妄想企画では男役を演じる白石麻衣を相撲部員にしてしまったりと、単に面白いだけでなく、その全てで強烈なインパクトを残していく。
そもそも、「ギャップ」や「振れ幅」というのは基準のようなものがあって初めて成立するはずの言葉である。しかし、2期生の中では一番の活躍を見せているにも関わらず、どうやら堀からはその基準が見えてこない。あるいは、その強烈なキャラクターが、映像作品で見せる独特の空気や表情、弾ける笑顔といった堀の根幹ともいうべきものを惜しみなく全て吹き飛ばしてしまっているとも考えられる。いわば、いい意味でそれらを「台無し」にしているのだ。
そんな堀の「ぶっ飛びっぷり」が見事にフィーチャーされているのが10thシングルの個人PV「ゆるす!」だ。堀が演じる女子高生は、「不思議ちゃん」と呼ぶにはあまりにも強烈で、むしろ「狂気」のようなものを帯びた難しい役だと思う。しかし、強烈なキャラクターが頭に焼き付けられているからなのか、「血みドル」から「狂気」のようなものを垣間見るからなのか、不思議と「あぁ、堀ってこんなことやってるかも」と絶対にありえないことを思ってしまう程に、役と見事にシンクロし、自分のものとして取り込んでしまっているのだ。
何色にでも染まってしまいそうな「透明感」と、何色にも染まらず、どんなテーマでも、どんな役でも自分の色に染め上げてしまう、色であれば「黒」に近いイメージ。これが「ギャップ」であったり、「振れ幅」であるかといえば、そうなのかもしれないが、堀を見ているとやはりこの一言で済ますことはできそうにない。
堀未央奈のセンター抜擢は乃木坂46に大きな嵐を呼んだ。あの時、誰があのポジションに立つべきだったのか正解はわからないが、堀は嵐の中を生き延び、与えられたチャンスをモノにしながら、少しずつ正解にしてきたと思う。
ポジションを見れば、今は3列目となった。センター抜擢から一年が経った今、ある意味ではここが本当のスタート地点とも見ることができるだろう。これから堀未央奈はどのような物語を紡いでいくのだろうか。期待とほんの少しの怖いもの見たさが渦巻いている。
かなり共感しました
うーーん、
いままでのバースディコラムの中でも
いちばん苦しんでらっしゃる。
disるつもりは毛頭ないのでそのつもりで。
どーも、この子の魅力、ポテンシャルは
表現しにくいですね。
ギャップ、振れ幅、・・・・
とくに意識するものでもないなあ。
プリンシパルの1幕の臨み方にヒントが有るような気がする。
小器用に、打ち手を変えてくる。
場の空気を読める。
でも、繰り出してくる手に爆発力はない。
センスはあっても、場数を踏むべき子なんですよ。
だから直感的に3列目になって祝福した。
けど3列目じゃなく、センターラインだった。
エキセントリックなところも飼い馴らせば魅力になるって
ことを考えると、まりかが育ったようなプロセスを踏まないと
砂上の楼閣になりかねないよ。