ネタバレ注意です!
この記事は6月12日の「16人のプリンシパル trois」第17公演目に関して書きます。折り返し地点を過ぎていますから、ネタバレになることも書いているのでご注意ください。
初日から5公演目まで、9、11、12、13、15公演目の記事は「乃木坂散歩道」のアーカイブをご参照ください。
2年前のパルコ劇場での16人のプリンシパル、1幕のオーディションのテーマを一言でいうと『自己表現』じゃないでしょうか? 去年のプリンシパルdeuxは『本格的演技への挑戦』と言えると思います。『天の声』が無茶ぶりという形の『設定と台詞』を与えてくれた上での演技でした。
では今年はどうでしょう? プリンシパルtroisで課されたオーディションは、コント形式で競われる『笑い』がテーマです。メンバーに与えられるのは役と台詞のみ。しかもこのコント、立候補者の人数ごとに用意されているお題がいくつもないので、一回の公演中に何度も同じコントを演じなければなりません。与えられた役を、台詞を、どう表現するかは、すべてメンバーに任されています。そのため、観客を飽きさせないためにも、演じるキャラの設定が非常に重要です。メンバー自らが必死に考える、その姿、その悪戦苦闘っぷりが今年のオーディションの特徴なのかなって思います。
これは許されているかどうかはわかりませんが、キャラ設定が行き詰まったら、次に注目されるのは台詞の変更じゃないかと思います。たとえば「ステーキ屋さん」のコントで、「肉は誰にが焼きますか?」というセリフでは、「バイト、皿洗い…」を思いきってメンバーの名前にしてみたりとか、そんなことも始まったら面白いですよね。いずれにしても、これはメンバー自身が考えるもの、創り出すもの。2幕の台詞を覚えるだけじゃダメなのが、今年のプリンシパルの大変なところである一方で、ファンにとっては見所の一つです。
ポリン姫役:高山一実さん決意表明「ポリンをやる決心がついた。どんなポリンになるか(わかりませんが)、みんなを笑顔にしたい」。
ロザリオ役:能條愛未さん決意表明、「能條の男役、これは、相当、カッコいいぞ!」。永島聖羅さん「(本日公開の9thシングルの)ジャケ写、わたし写ってなかったでしょ」。秋元真夏さん「ジャケ写、3枚写ってた♡」。伊藤純奈さん「ジャケ写、撮影すらしていません(他の3人に慰められる)」。コントは『結婚式』で、花嫁役の能條さんが倖田來未のマネ。「それは言わへん約束やで~」、似ているうえに、台詞も倖田さん用に変える工夫をしています。
クリスティーヌ役:7人(5人と2人に分かれる)の激戦区。決意表明をピックアップ。
『前半グループ』、北野日奈子さん「15回目でエステル役選出、エステルの“主”から脱却。でも、激戦区で左肩の幽霊がいなくなったか心配(プリンシパル期間中、なかなか10役に恵まれず、左肩が重く、幽霊に憑いかれているのではと御祓いを検討している)」。齋藤飛鳥さん「コントでやりたい役が出来るなら、新ネタ披露します」。畠中清羅さん「早起きして、頭が回っていない」、相変わらずの畠中節。
コントは『屋上』、役に格差のあるコントで、評価する方も気を使います。飛鳥さんの新ネタは『安めぐみさん』、「あの~、なんていうんだろう」、「暑い(と言ってお札で顔を拭く、東MAXのマネ)」等を披露するも、「持ち込み禁止ですよ」とつっこまれ、新ネタ不発。コント後「もう帰りたかった」と。
『後半グループ』。生駒里奈さん決意表明、「(クリスティーヌを演じるにあたり)山のおじさん、変なおじさん、小学6年生など言われるが、昨日、太ももをプルプル震わせてみたら、ちゃんと震えた。女性らしくなってきたのではないか? (私の)女性らしさを見たければ、クリスティーヌ役への投票をお願いします」。松村沙友理さん「(生駒は)誰を相手にして女性らしさを語っているのでしょう? (色気を出すために)触覚を叶美香さんの様にして来たら、(星野)みなみに『みなみみたい』と言われた。7人という激戦区で役を勝ち取れたらカッコいい」と超前向き発言が既にカッコイイ。
状況がはっきり思い出せなくて、教えていただければと思うのですが、生駒さんと松村さんのコントで、今日一番の笑いが起きた(後にも影響が出た)、
松村「お尻はセクシーだけど、お胸はありま……」、生駒「せん!!」
の状況、詳しくわかる方いたら教えてください。
エルザ役:コントは『入ってくんな』。彼女役になった白石さんが、ディラン・マッケイ&キャサリン(なだぎ武さんと友近さんのコント)のキャサリンを演じます。しかし相手役の桜井さんがこのネタを知らなかったのか、白石さんをキャサリンとは呼ぶものの、ディラン・マッケイを演じることは出来ず。乱入してくる他人役・和田まあやさんはそのままの天真爛漫系、だけど、変顔のインパクトが凄かった。
キャサリン役:井上小百合さん決意表明、「みんなからは、さゆにゃん、って呼ばれてます」。コントは『不動産屋』。井上さんがヤンキー女子、新内さんが中国人男性という異色のカップル。オーナー役の中元さんは、『ひめたん』キャラ。
井上さんも新内さんも勝負かけてます。中元さんも+αが欲しかった。風は吹いています。今、注目度は高いです。みんな知っていますから、10役に入れていないことを。だから、+αの挑戦をしてほしい、10役のために。
マキア役:大和里菜さん決意表明、「今日も大和里菜です。明日は橋本奈々未になりたいです」。コントは『監督』。アレンジが入って、かなりウケました。コントでは桜井さんのマネ(?)で、ホップステップからのホイップ×2.5回(3回目はやっているのかやっていないのか、よくわからなくなりました)でグダグダに。今まで見たコントの中で、グダグダ度は一番でした。でも、仕掛けているという姿勢は、僕は評価したいです。ただ上手に台本を読むよりはいいかと思っています。
ルイーダ役:川村真洋さんの決意表明、「メンバーの母親(後で能條さんと判明)に控えめ過ぎる、もっとガツガツ行けとアドバイスされた」。伊藤かりんさん「どんな役でも悪役のルイーダっぽく演じる」。星野みなみさん「みんな色々考えて頑張っているんだね」とまるで他人事なのが星野さんらしい。「みなみのルイーダは、ちょっと、こわいぞ」。橋本奈々未さん「いじめている様は自分が一番似合う」。
コントは『結婚式』。花嫁役の橋本さんが、マトリックスの弾をよける時のブリッジをしながら台詞を言います。友人役・川村さんは『ふなっしー』です。ずっと飛び跳ねてます。かりんさんはルイーダを登場させ、みなみさんが一言「みんなキャラ濃いよー」。
エステル役:コントは『結婚式』。斎藤ちはるさんが花嫁(ゆきえ)役を演じます。生田絵梨花さん、深川麻衣さん、斉藤優里さんが新婦友人役です。コント終盤、友人3人が花嫁のゆきえをけなし始めるのですが、けなしたその名前が何故か『ゆきえ』ではなく『いくちゃん』に。部屋が汚い『いくちゃん』、牛乳をゴルゴンゾーラにしてしまう『いくちゃん』。ちはるさんがぼそっと一言「私は一体、誰?」。そして、気になるのが、あのコントは『いくちゃん』の部屋が実は汚いっていう暴露話だったのでしょうか?
今回の公演ではラッキーガール(立候補者が一人で2幕確定)が二人出ました。一人目はパム役の西野七瀬さん、「ラッキーガールとは言うけれど、いざここに立つと寂しい」。そして、ラッキーガールのオーディションは相手役を一人指名することになります。そこで会場から色々な声が飛びます。「乃木坂って、どこ?」(テレビ東京系)のバレンタイン企画で両想いになった生駒里奈さんなどの声がある中で、西野さんが選んだのは、不仲説が氷解した秋元真夏さん。秋元さんを推す観客の声が一番大きかったです。この話は舞台裏からの生中継に続きます。
素敵な組み合わせの二人でしたが、ベストバウトには若月さんがラッキーガールとなったベル役オーディションを挙げたいと思います。若月さんが指名したのは相棒の桜井玲香さん。若月さんはラッキーガール3度目の正直で、桜井さんにひざまずいてのお願いをしていました。通常、ラッキーガールのオーディションは、結果が出ているからなのか、あまり大きな動きが無いコントになりがちですが、今回は違いました。
『映画のPR』のコントで、桜井さんが司会進行役を務めるのですが、『荒ぶる』と評判のはじけたキャラで、ハリウッドのアクション映画を彷彿させる刑事を演じました。様々な角度に銃を向けて、索敵しながらの司会進行です。
若月さんはラッキーガールという事で、油断していたかもしれませんが、このオーディションでの桜井さんは、今回のプリンシパル百戦錬磨の若月さんの存在がかすむほどの大活躍でした。女優役の若月さんが(間違えて)自分が犯人役であることをバラしてしまうと、桜井さん「お前が犯人か!」と銃を向けるのです。
本来のオーディションではないところでの、桜井さんのこの大活躍に、本日のベストバウトを差し上げたいと思います。
秋元さんからパム役オーディションの話がありました。「1年前だったらお客さんヒヤヒヤのオーディション」、「なーちゃんとのヒストリーがある」。以前に噂だった秋元さんと西野さんの不仲説。その噂は遠からず事実であったわけですが、今となってはネタになっています。こういう雰囲気が乃木坂らしさの一つかなとも思うし、観ていて嬉しい瞬間でした。
この役は立候補してなれるわけではない、アンサンブル②の役です。出番は短いのですが、強烈なインパクトのある役です。「彼氏の携帯チェック」、「『愛してる』のノルマは1日50回」、「二人でごはんを食べるときはゼクシィを読みながら」等々の強烈な台詞がある、精神的に重い女キャラです。今回の公演では星野みなみさんがエリザベートを演じたのですが、完全にノックアウトされました。実にみなみさんらしいエリザベートで、バイバイのしぐさの可愛らしさといったら……。ポリン姫から「わかんなくて良いけど」と言葉を投げかければ、みなみさんの決め台詞(?)「わかんなーい」と。アドリブのセンスも素晴らしかったです。
不適切であることを覚悟で発言します。星野さんをルイーダにという票が意外に多く、アンサンブル選出を何度も勝ち取っています(ルイーダ役にはなれていません)。星野さんはルイーダに立候補し続けていていますが、「台詞を4割しか覚えていない」なんて発言もあり、10役に選ばれていいのだろうかと思ったこともありました。にもかかわらず、今日のエリザベートを見てしまうと、星野さんのルイーダも見てみたいという気持ちが強くなりました。星野票が多い理由に今日初めて気が付いた気がします。星野さんはただ可愛いだけじゃない、うまく説明できない+αがあるのです。
今回のプリンシパルではパロディがちりばめられているのですが、その一つの象徴が「颯爽たるシャア」が流れる宇宙空間のシーンです。ポリン姫一行が乗る宇宙船にズゴックもどき、百式もどき等が接近します。その中でメンバー扮するR2D2やC-3POもどきも登場します。スター・ウォーズに登場するキャラ達です。ちなみにR2D2はこんなキャラです。
StarWars.comより引用。
このキャラのかぶり物をして、ステージ上に繰り出すのですが、誰がやっても同じだろうというR2D2、でも、今日のR2D2はなんか違ったのです。ロボット特有のぎこちなさと、そのぎこちなさからくる可愛らしさ、その辺を上手く表現していたのが生駒里奈さんでした。偶然だったのかもしれませんが、まさかR2D2役が似合うメンバーが現れるとは予想していませんでした。ちなみにR2D2はアンサンブル⑤が演じることが出来ます。
ポリン姫を高山一実さんがやるということで、どんな高山ワールドが繰り広げられるのか、楽しみでした。まず最初にはじけてくれたのは、井上小百合さん演じるキャサリンでした。2幕序盤にあるキャサリンとエルザのアドリブでの掛け合い、エルザ役が白石さんということで、井上さん『ハフーン』を連発します。それに白石さんものってきて、最後は高山さんも含めての3人でハフーンです。これでだいぶ場が温まりました。
しもべ5人の登場シーン。暗算のベル役のシーンで、暗算が少し難しくなると、ファンが客席から答えを教えてくれるのですが、どんな問題でも『46』と嘘を教えちゃうファンがいるみたいで、井上さん「またいるのか、お前は!」と。マキア役の衛藤美彩さん、三日間食べ続けたものは「ちん、げん、さい」。こういうネタを持っているのは強みですね。堀さんなら『明太子』、星野さんなら『メロンパン』、深川さんなら『オムライス』、秋元さんなら『マカロン』、若月さんなら『アイス』などなど。
そして、この公演での最大の見せ場は白石さんが作ってくれました。多分裏で打ち合わせをしたと思うのですが、そうじゃなかったとしたら脱帽するしかありません。宇宙船がとある星に着陸して給油をするというシーン。ガソリンスタンドの店員役として白石さんが登場するのですが、この役を高山さんのモノマネで演じます。それだけであれば、よくある出来事かもしれませんが、その後登場するガソスタの店員全員で高山さんを演じます。白石さんが仕掛ける『高山ワールド』です。この仕掛けにマキア役の衛藤さんものっかり、高山さんのマネでマキアを演じると、病弱なパム役の西野さんも「高山アレルギーが……」とのっかってきます。ジュピター石油高山支店は今回の公演の名シーンでした。
エステル登場シーンでは、エステル役(生田絵梨花さん)をポリン姫、ベル、パムの3人で褒めちぎるというアドリブシーンがあります。その一幕で、ポリン姫役高山さんのアドリブが尽きて、困り果てて披露したエピソードを紹介します。
高山さんの家族と生田さんの家族がライブで一緒になることが多く、仲良くなったそうです。そして、高山さんの誕生日に、生田さんのお父さんから高山さんのお父さん宛てに、高山さんのハッピーバースデイのメールが届いたというエピソードです。
で、『これのどこが生田さんを褒めてるの?』っていうボケをかます高山さんでした。
小ネタです。ミイラとポリン一行が追いかけっこをしている時に、ルイーダの城の上で、ルイーダとその手下(キャサリン役)が会話するシーンがあります。ルイーダ役の橋本さんが、手下役の井上さんに強い口調で命令をするのですが、それに応えて、井上さんは「仮面ライダーのショッカー」風に手を挙げて「ハッ!」てやってました。でも僕は、ヒーロー好きな井上さんなら「ヒー!」と言って欲しかったなと思いながら観ていました。
高山さんにとっての最大の見せ場、ルイーダ討伐のためのアイテム『正義の剣』を取るシーン。この剣を取る時には、前振りがあって、それぞれのポリン姫が、オリジナルの動きをしていいのですが、高山さんが選んだのは『制服のマネキン』のサビのダンス。指を目の前に持ってくる、あの決めポーズまでちゃんとやってくれました。
そして、ルイーダに切りかかるシーン。ここは若干わかりにくかったのですが、多分、剣道の経験を生かして、剣道風に切りかかったものと思われます。胴での打突のあと、残心まで表現してくれていました。
賛否両論あると思いますが、僕が今日、MVPをあげたいのは松村沙友理さんです。台詞が飛んでしまうのは褒められたものではありません。今回も残念ながらラストシーンのクリスティーヌ役で台詞が飛んでしまいました。でも、松村さんは2幕で必ずアドリブを入れてきます。その場の勢いのアドリブもありますが、それだけではなく、ちゃんと準備してきているアドリブです。僕はこういう攻める姿勢に好感をもちます。プリンシパルの舞台の最初でも出てくるじゃないですか、『舞台にいるのは勝者でも敗者でもない、挑戦者である』と。
ラストシーンでの松村クリスティーヌの第一声、(両手で詰めた胸を持ち上げながら)「ポリン、巨乳のママを救ってくれてありがとう」。1幕からの流れを使ったアドリブです。今日一で笑いすぎ、涙が出ました。
プリンシパルは何度見ても良いというシステムです。一度で十分という舞台ではありません。リピーターがいることが大前提の舞台です。その舞台を面白くするためのアドリブへの挑戦、僕は素敵だと思います。勿論、台詞も完璧なうーえーに、演技も完璧なうーえーに、アドリブも完璧だったなら、理想のプリンシパルだと思います。でも、観たことないから知ーらーねー。
♯18に続く
P.S.今日は『13日の金曜日』、3幕のライブに期待しちゃうのは僕だけじゃないはずです。
昨日のまっつんコントはあちこちで絶賛されているようで
見に行きたかったーーー!!!
台詞もろくに覚えてないのにMVP ?
アドリブを準備してくる前に台詞をまず頭に叩き込むのが本当じゃないの!
同意です。
この公演を実際に観ていましたが、特にクリスティーヌの最後のシーン
の台詞が飛んじゃったのは興ざめだった。MVPはあり得ない。
12日公演観ました。
それをよしとするかどうかはともかく、この日の公演で「一番印象に残った」のは間違いなくさゆりんでした。
1幕の生駒ちゃんとさゆりんのくだりは、
最後の「なんと、バーキンが・・・」のところで、
「なんと、セクシー(「セクシーな私」だったかも?)がついてきます。お尻はセクシーだけど、お胸はありま・・・」「せん!」
という感じだったと思います。
生駒ちゃんのR2D2は私も気になりました。
1幕の一本調子のキャラ設定の続きだったのでないでしょうか。
そのまま受けましたjけど、あのR2の赤はアナライザー(宇宙戦艦ヤマト)入っているのかな。
大和のグダグダ感は観ててイライラしました。大和のせいでコントは全然進まず、他の二人はアピールがほとんどできない状況で可哀想でしたよ。1幕はオーディションでもあるので、一人でやるならまだしもいっしょにやるメンバーのチャンスを潰しちゃいけないでしょう。昨日のみさみさはその点少ないチャンスをものにしてました。
まっつんの2幕はあくまで台本の台詞を読んでる松村沙友理。役柄による演じ分けなんてないし、役柄になりきってないのでそりゃ台詞はしょっちゅう飛ぶよね。自分の言葉じゃなくて他人の言葉だもん。
2幕をコントとしてみるなら面白いと捉えることもできますが、演劇という観点では評価はできないと思いますよ。
あと、形状からいって百式じゃなくてあれはガンダムもどきですね。