乃木坂46を好きになった時は、箱推しだったのだけど、それから齋藤飛鳥のことが圧倒的に好きになった。
さて、それ以外に気になるメンバーを挙げるとすれば、橋本奈々未と西野七瀬と北野日奈子だろうか。橋本奈々未は考え方に、西野七瀬は内面に、北野日奈子は外見に興味がある。
雑誌「BUBKA(ブブカ)」の2016年4月号の巻頭が橋本奈々未のインタビューだった。そのインタビューを元に、橋本奈々未について書いてみる。
橋本奈々未の魅力は、思考力の高さにある。それは、インタビューでの言葉の断片からでも充分に感じられる。
思考力というか、恐らく内側に、真っ直ぐな芯があるのだろう。常に自分の中で、あらゆる物事を、その芯からの距離感で捉えているような印象がある。だから、どんな事柄に対しても自分なりの意見を言える。
以前読んだ「乃木坂46×プレイボーイ2015」の中に、「乃木坂工事中」(テレビ東京系)の構成作家三人の座談会が載っていた。そこで一人の放送作家が橋本奈々未に対してこんなことを言っている。
『橋本さんはすべらないなと思ってます。スタジオでコメントを急にふられても、必ず何かしらの“橋本っぽいこと”をちゃんと言う。恥ずかしいことになってるのを見たことがない』
自分の芯からの距離感で物事を捉えることが出来るのに加えて、恐らく、常に何かを考えているのだろうと思う。どんなことを考えているのか、それは分からないのだけど、日常的に思考を続けていないと、それだけの瞬発力はなかなか身につかない。
「考えること」と「悩むこと」は、全然違う。世の中の多くの人は、考えているつもりでただ悩んでいるだけ、ということも多いはずだ。悩むというのは、「どうしよう」と繰り返すことだ。それは思考になっていない。考えるというのは、そこにどんな問題があり、どんな展開が想像でき、どんな解決策がありうるのかなど、対象となる物事を分解して具体的に捉えていくことだ。意識的なのか無意識的なのかそれは分からないけど、橋本奈々未は「考えること」が習慣になっているのだろうと思う。
思考の基準となるまっすぐな芯がちゃんとあるということは、自立や独立も促す。何かの価値観や特定の誰かに依存することなく自分を保つことが出来る。
これは現代ではなかなか得がたい性質だと僕は思っているのだ。
現代では、自分のプライバシーなどをネット上で晒し続けることで、自分の存在の一部をある種他人に預けてしまうような、そんなあり方が当たり前になっている。自分の存在の一部を誰かに委ね、同時に誰かの存在の一部を自分に取り込んで、「一個の人格」を超えた複雑な依存関係によって人々の存在が成り立っている、そう印象を僕は持っている。
それは、自分の存在の一部を預けられる他人の存在なしに、自分を存続させられない、ということでもある。
橋本奈々未からは、そういう雰囲気を感じない。自分のあり方を誰かに合わせすぎることもないし、自分が周囲からどう見られるかにも過剰には反応しない。自分の内側にある真っ直ぐな芯を揺らがせずに、真っ直ぐ立っている。しかしそれは柔軟性に欠けるという意味ではなく、受け入れるべきものはきちんと受け入れる。そんな印象がある。乃木坂46の中では年上メンバーであるとは言え、まだ23歳。その若さにしては実に落ち着いていると思う。
『――なるほど。では橋本さんがアイドルになって手に入れたものって何ですか? 普通に生きていたら手に入れられなかったものも手にしたと思うんですよ。
橋本 得たものは、良いものを見る機会が多くなったので、「なにが良いもの」で「なにが不十分なもの」なのかを見極める力を養わせてもらっていることですね』
「BUBKA」のインタビューからの抜粋だが、こういうことをさらっと言えるのは凄いなと思う。目の前の仕事をただこなしているだけでは、こういう発想は出てこない。橋本奈々未にとって、目の前に現れるすべてのものが、何かを学べる可能性のあるものとして映っているのかもしれない。
観察力の高さ、これはある種思考力と関係するものではあるが、それも橋本奈々未の魅力の一つだろう。観察力というのは、観察対象に対して仮説を立てた上で観察することによって身につくものだと思うので、思考力が必要だと僕は感じている。思考力の高い橋本奈々未が高い観察力を持つのも当然だろう。
「BUBKA」のインタビューでメンバー評をしているが、捉え方が面白い。特に、インタビュアーも驚いていたが、西野七瀬評は非常に面白かった。思考力や観察力の高さだけではなく、それをアウトプットする言葉や表現力にも長けているのだろう。
僕は、誰かと関わる時に、「価値観が合うかどうか」は重視しない。その点は、割とどうでもいい。それよりは、価値観が合おうが合わなかろうが、色んな事柄に対してお互いの考えていることを言い合って、お互いの言葉でより深いところまで掘り下げられることに魅力を感じる。そういう意味で、橋本奈々未とは、色んなことについて話してみたいなと感じる。共感できる事柄でも、反発する事柄でも、楽しい会話が出来るような気がする。そう思わせてくれる知性に、魅力を感じる。
(文・黒夜行)
※本稿は、筆者が2016年3月に投稿した記事を再編集したものです。
関連黒夜行のブログ
コメントはこちら