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乃木坂46デイリーコラム第55回・金曜楽曲特集「制服のマネキン」

乃木坂46デイリーコラム 第55回・金曜楽曲特集 #11「制服のマネキン」

乃木坂46の4thシングル「制服のマネキン」は、前作までの明るいフレンチポップス風の曲調から一転し、アップテンポのマイナーキーでクールさが強調された曲である。この曲で、デビュー以前から続いていた七福神は初めて八福神に変わっている。

歌詞は、感情を抑えて守りに入るのではなく、勇気を持って行動しようと訴えている。“大人”が制限しようとしている若者の恋を応援しており、卒業を待ってからではなく、今アクションを起こそうと語りかける。「僕の両手に飛び込めよ」といった歌詞からは、“僕”は男性で“君”が女性であると考えるのが自然であるが、僕が女性を指している可能性も否定できない。また、「大人に邪魔をさせない」など、“僕”は“大人”に対して反抗心を抱いているが、ここでの“大人”は学校の先生や親よりも、社会そのものを指していると考えることもできる。
多様な解釈が可能な歌詞だが、今行動しようというメッセージは一貫しており、「制服のマネキン」というタイトルとのつながりも明確に示されている。

MVは学校が舞台となっており、体育館、教室、廊下などでメンバーがパフォーマンスを見せる。全体を暗い背景とし、歌が終わった後の昼の教室の明るさとコントラストを作っている。タイトル通りメンバーは制服を身にまとっており、選抜メンバーは白、アンダーメンバーは黒の制服を着て踊るが、選抜メンバーのうち数名がセーターを腰に巻いているのは何か意味を持たせているのだろうか。メンバーは全員が終始笑顔を封印して踊っているが、特にセンターの生駒里奈のにらみつけるような表情はこの曲の挑戦的な歌詞の内容と合っていて清々しい。
また、体育館でのスピードのあるカメラワークはこの曲のスピード感を表現するのに貢献している。ダンスは少ない動きから始まり、徐々にダイナミックな動きへと変わっていく。サビの振り付けは斬新であり、体を左右に揺らしながら両腕を捻る動きや、横を向いて走るような動きなど、インパクトのある動きを見せる。テンポの速い中でこれらのハードな動きを全員が合わせているのは見事としか言いようがない。

曲はニ短調から入り、サビの前でヘ短調に転調する。前奏では風が吹き抜けるような効果音を用いており、高揚感を増す効果を生んでいる。サビは短めで、音程はあまり上がらず、比較的狭い音域内に収まっているが、速いテンポの中で高い音程を要求するよりも、歌いやすい音程で独特のリズムを強調する方を優先したのかもしれない。2番に入ると1番の時と伴奏のサウンドが変わっており、曲が単調にならないよう工夫がなされている。終盤で短い間奏が入るが、ここで現れるソロギターの哀愁漂う旋律は秀逸で、この曲の芸術性を高めていると言っても過言ではない。

テンポ、曲調ともに前作までと一変させたこの曲は、乃木坂46の新たな可能性を打ち立てた。クールな乃木坂46を味わうのに最も適した曲と言えるだろう。

筆者プロフィール

ななみん教授助手歴773年
医師とチェリストによる異色のコンビが、乃木坂46メンバーや彼女たちの物語を研究・分析。全国の乃木坂46ファンの皆様との情報の発受信はもとより、Nogizaka Journalを訪れる全ての皆様に、乃木坂46についてより深く知っていただくお手伝いが出来ればと思います。

COMMENT

  • Comments ( 3 )
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  1. 生駒の存在感、表現力、躍動感、そして訴求力・・・。

    「アイドル」の域ではない。

    白石ですら霞んでしまっている。

  2. タイトル、曲、歌詞、振付、MV、どれも非の打ち所ない最高の1曲ですね。
    プロミュージシャンも高評価した曲です。
    秋元真夏のサプライズ福神復帰という運営の戦略も良かったですね。
    歌詞1番最初の「君」は僕の恋の相手、それ以降の「君」は自分自身+視聴者、時系列は2番→1番だと私は勝手に解釈していますが、いろんな解釈ができますね。

  3. 乃木坂ってどこが始まった最初から番組を見ていたが正直それほど乃木坂に肩入れはしてなかった。もちろんブログを見るなんてこともしなかったし動画を見るなんてこともしなかった。秋元復帰も見てたけど「あいかわらずサプライズで気をてらった安易なことしやがって」って笑ってた。でもあの日BSでの2012年12月22日の「FAMILYMARTpresents MUSIC FOR ALL ALL FOR ONE」での制服のマネキンを見て一気にどはまりしてしまいました。オープニングから最後までの圧巻なライブパフォーマンスとそれを逃さず各メンバーの一番いい顔を逃さずにおさめたカメラワーク。すべてが奇跡の連続のようなステージだった。それまで買いそびれていたCDはもちろんその日中にアマゾンに注文したし、今でも買い続けています。

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