8thシングルに引き続き、9thシングルでもセンターを任されることになった西野七瀬。乃木坂46の中でも指折りの人気メンバーであり、最近では「乃木坂って、どこ?」や8thシングル『気づいたら片想い』Type-Cの特典企画「乃木坂の4人」でもフィーチャーされるなど、その人物像に関しては十分に迫った感がある。それでも西野には、どこかミステリアスで、掴みどころの無さを感じさせる不思議な魅力があるのだ。メンバーからの「推し率」も非常に高く、ファンのみならずメンバーの心をも掴んで離さない西野七瀬という人物について、微力ながら今一度考えてみたい。
9thシングルの選抜発表で再びセンターを務めることへの不安を涙ながらに語ったように、西野は時に見ている側が戸惑ってしまう程にネガティブな発言をすることがある。これに関して、今年3月に「乃木坂って、どこ?」で放送された企画「新センター・西野七瀬を掘り下げよう!」にて、メンバーの若月佑美は「西野は完璧主義であるが故に、ネガティブな発言をすることもあるが、それは自分を奮い立たせるためである」と分析していた。「高い目標があるからこそ、自分に対して厳しくなる」。向上心と表裏一体の感情だ。乃木坂46にはこういった考えのメンバーが非常に多い印象だが、西野のそれは圧倒的に我々の目を引く「何か」があるのだと思う。
では、その「何か」とはなんだろうか。1stシングル『ぐるぐるカーテン』のPR企画として行った「全国ティッシュ配り」で通行人に声をかけられずに流した涙、初めてのエピソードトークで涙ながらに「太った鳩」の話をする姿など、今でこそ“一番組一涙”のイメージがある乃木坂46の中でも、とりわけ西野はそのイメージが大きかった。結成初期から現在まで見れば、「他のメンバーより若干多い(イメージがある)」くらいで、決していつも泣いてばかりいるわけではない。それでも、そういったイメージが焼きついているのは、周囲が思わず「そこ!?」とツッコミを入れたくなるようなタイミングで涙を流してしまうことが多いからなのかもしれない。
さらに、マカオタワーからのバンジージャンプだ。我々の予想を超える号泣ぶりは多くのファンの琴線に触れたに違いない。個人的には、「乃木坂って、どこ?」の映画プレゼン企画も非常に印象に残っている。グループでも抜群の画力を誇っていながら、4つのシーンのチョイスや、プレゼンの仕方があまりにもハチャメチャだったのだ。これは、帰宅したら靴下を放り投げてしまうような雑さから来るものなのか、あるいは荒削りなセンスを垣間見たのか、現状では判断しかねる。
西野は我々に、「もどかしい」という一言では言い表せない感情を抱かせる。この感情を苦し紛れに表現するならば、「なんとかしてあげたい」になるのではないかと思う。
独特の感受性をもっているからなのか、泣くタイミングも独特。バンジージャンプを断念しようかというほどの号泣ぶりを見せたかと思えば、センターを務める責任感からか意外とあっさり飛んでしまう度胸を見せつける。西野の感情は我々の予想を超えたところで動くのかもしれない。さらに、「どいやさん」という謎のキャラクターを生み出したと思えば、「稲川淳二」や「ビッグダディ」、「ジョジョ立ち」など、アイドル以前に一人の女の子がするには少々マニアックなモノマネまで照れ笑いをしながら、時に堂々とやってのけてしまう一面もある。ライブではそのマニアックさ、シュールさとはかけ離れたアイドルっぷりで笑顔を見せつける。このようなエピソードは挙げればキリがない。
西野のこういった一面を「ギャップ」の一言で片付けてしまうのは少々安易な考えだと思う。デビュー以来すべてのシングルで選抜メンバーに選ばれ、「福神」としての経験もあり、紆余曲折を経てセンターを務めるまでになった。そうして実に2年以上にわたってメディアに露出し続けているにもかかわらず、未だに底が知れていない。そう、西野七瀬は「わからない」のだ。
ここまで、筆者の独断ではあるが、西野七瀬を象徴するシーンを見てきた。そのほとんどに共通点があるように思う。人見知りでありながらも、メンバーの支えを受けてティッシュ配りをやり遂げた。先のトークでぐんぐん上がったハードルに怯え、涙を流しながら語った鳩の話は、蓋を開けてみれば爆笑のエピソードだった。地上233メートルの恐怖に打ち勝ち、マカオタワーから飛び降りた。そして8thシングルのセンターという大役を見事にこなし、結果を出した。
西野の前に大小様々な壁が立ちはだかる度に、西野はその高さに怯え、不安を感じてきた。それゆえに、ネガティブな言葉を口にし、時には涙を流すこともある。しかし、西野が壁を乗り越えられなかったことは一度もないのではなかろうか。そして、その度に我々に新しい西野七瀬と晴れやかな笑顔を見せてくれる。9thシングルは2作連続のセンターであること、乃木坂46が今まで経験してこなかった流れの中にあることを考えれば、個人にとってもグループにとっても最大の壁であると思う。9thシングルのスタートである選抜発表で、西野はその壁の高さを本能的に感じていたからこそ、様々な感情が渦巻くあの場でさえも涙を流したのだと思う。
既にたくさんの涙を流し、不安を口にした。その想いはみんなで共有している。あとは前を向くだけだ。今度も西野七瀬は壁と正面から向き合い、乗り越えるに違いない。そして9thシングルの活動が終わった時、その顔には自信に溢れた微笑みが浮かんでいるはずだ。
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