ネット通販や音楽配信が盛んになり、音楽に触れる形が多様化している昨今、実店舗ではお客さんに楽しんでもらうための「店づくり」に一層力を入れるお店が増えてきました。ここ一年で乃木坂46のPOP広告を展開するお店も増え始め、それを目的に足を運ぶファンも多く見られます。今回はその中でも多くの注目を集めるお店の一つ、「楽しいお店」をテーマとする新星堂アトレ吉祥寺店でアイドルコーナーを担当する久保さんと梶原さんに話をお聞きしました。
場所=新星堂 アトレ吉祥寺店(東京都武蔵野市吉祥寺南町 アトレ吉祥寺本館2F)
―――吉祥寺店では9thシングル『夏のFree&Easy』(14年7月発売)からオリジナルのPOPを店頭に出し始めたと思うのですが、お二人が乃木坂46に興味を持ったきっかけは何ですか?
久保さん(以下、久保):結成時からある程度関心がありましたが、本格的に興味を持ったのは8thシングル『気づいたら片想い』のヒット祈願で、西野(七瀬)さんが新センターとしてマカオタワーのバンジージャンプに挑んだのを見てからです。すごい可愛いのに世界一の高さから飛び降りる姿に衝撃を受けました。
梶原さん(以下、梶原):僕はもともとアイドル全般に関心があって、乃木坂46に関してはライトなファンでした。1stアルバム発売の頃に、秋元(真夏)さんに興味を持ち、『乃木どこ』(※1)や『NOGIBINGO!』を見て一気にハマりましたね。それからは知り合いに頼み込んで、今まで世に出たテレビや雑誌などあらゆる媒体に目を通しました。短期間で一気にのめり込んだ感じです。
掲示されているPOPにも「まなったんがきっかけです」「ぜんぶ真夏のせいだ」の文字。
―――吉祥寺店では日々様々なPOPが作られているようですが、推しメンはいますか? 理由もお聞かせ下さい。
久保:私の推しメンは西野さんです。バンジージャンプで見せた姿に惹かれたのをきっかけに応援していて、写真集のお渡し会にも行きました。目の前にいる西野さんは笑顔がとても魅力的で、これは「好きになってしまうな」と思うほど輝いていました。あと、テレビ番組のワイプを見ていると結構大人しいんですけど、それも自然体で逆にいいなと思いますね。個人的に、「西野×動物=最強」です。
梶原:一推しは深川麻衣さんです。テレビ番組で見せる素のリアクションが可愛くて、クシャっとなる笑顔から人柄や愛嬌の良さが伝わってきます! 他にも色々あるんですが、上手く言葉にできないところも含めて深川さんの魅力のように思います。
―――西野さんと深川さんが一推しなのですね。伊藤万理華さんや中元日芽香さんのPOPも目立ちますが、二人についてはいかがですか?
梶原:一番応援したいと思っているのは、伊藤万理華さんです。しっかりと自分の方向性を定め、モバメやブログでは前向きで強い意志を表に出しているところに強く惹かれます。これからどんな道を歩んでいくのかが非常に楽しみなメンバーです。
未来への大きな一歩となった主演映画『アイズ』のPOPの一部。
梶原:中元さんは、最初は単に高校卒業と11thシングルのアンダーセンターをお祝いするためにPOPを出したんです。ところが、アンダーライブで中元さんのパフォーマンスを見て、どんどん引き込まれていきました。それから色々と調べていくうちに、気づいたら猛烈に推していました(笑)。今では他のお店にも負けないくらいの推し方ができていると自負しています。あと、中元さんのPOPは反響が大きくて、いつも驚かされますね。
(※以下、中元さんのPOPの一例。)
―――ここからはPOPについてお話を伺いたいと思います。POPを制作する上で意識していることや、工夫していることはありますか?
久保:言葉や歌詞、ライブパフォーマンスなど、アーティストやジャンルごとに何をフィーチャーしてPOPにすべきかは大きく異なるところですが、アイドルに関して言えば「顔」だと思っています。特に乃木坂46は全員が本当に可愛いので、そこには自然と気合が入ります。店舗の外からでも見えるように、大きさだけでなく見え方まで考えています。
梶原:商品の情報に加えて、見所などを紹介するのは多くのお店が取り組んでいることだと思います。これは実際に効果が大きくて、POPとCDを一枚ずつ見て選んで買って下さる方も多く、作っている側としてはとても嬉しいです。ただ、そこから一歩抜け出すために何をすべきか常に考えています。自分が感じたことを大切に、自分の言葉で個性を出すように意識しています。
12thシングル「太陽ノック」の収録タイトルが見やすくまとめられています。
極めつけは「万理華目線」。この表を見れば、伊藤万理華さんに興味がある人はどれを買えばいいか、ひと目で分かります。
―――これまで様々なPOPを制作されたと思うのですが、その中で印象的なものは何でしたか?
久保:5月に出した西野さんの聖誕POPですね。1stアルバムの企画(※2)で新星堂が西野さんを応援メンバーに獲得できたこともあり、「これで全力で推せる」と息を巻きました。推しメンの誕生日ということで、気合を入れて1ヶ月も前から準備していました。ハトだらけのPOPにしようと決めていたので、色々なハトの写真を集めては印刷し、切り取ってを夜な夜な続けて…。実際に完成したものを見てみると、衝撃的な内容で賛否があったので少しやりすぎたと反省しました。
梶原:全てのPOPに思い入れがありますが、『乃木のの』(※3)の「プク顔選抜」のPOPは特に印象に残っています。放送の2日後に作ったのですが、「仕事が早い」とか「気合入ってる」という声が多く、思わずスイッチが入りました。「好きな声選抜」はその勢いのまま、放送から数時間後に作ったのですが、インターネット上の反響はいまいちで少しヘコみました。あと、中元さんの聖誕POPでは、色々なメンバーの「びーむ」の写真と一緒に、『乃木どこ』や『バナナムーンGOLD』で話題になったミートボールの写真も使いました。ミートボールのメーカーは自分で中元さんの「日記」の画像を拡大して調べたんです(笑)。
☆☆なぁちゃんHAPPY BIRTHDAY☆☆
— 新星堂 アトレ吉祥寺店 (@ssd_kichi) May 25, 2015
本日5/25は乃木坂46 西野七瀬さん21歳のお誕生日です(*^▽^)/★*☆♪ なぁちゃんが大好きだーーーーっ!! ずっとずっと応援してます!! #西野七瀬生誕祭 #乃木坂46 pic.twitter.com/9CQicqdMg9
【#乃木坂46】
予約コーナーを作った関係で引っ越しならぬひめっこしをしましたー(´ω` )/ #nogizaka46 #ひめたん pic.twitter.com/DBLdW3caIa
— 新星堂 アトレ吉祥寺店 (@ssd_kichi) 2015, 5月 2
―――CDショップ店員として見た乃木坂46はどんなグループに映っていますか? 特別に好きな楽曲やPVなどあれば教えてください。
久保:良い曲が多いというのが前提ですが、本当にメンバー全員好きなんです。二推しは常に10人くらいいて、決められないんですよ。テレビやラジオ、舞台、ライブなど様々な機会で「この子いいな」と思わされるような新たな発見がありますから。本当にひとりひとりが魅力的なグループなんだと思います。楽曲は『別れ際、もっと好きになる』と『立ち直り中』が特に好きです。特典映像だと、堀(未央奈)さんが出演している個人・ペアPVはどれもオススメですね。
梶原:やっぱり個人PVとペアPVが特徴ではないでしょうか。豪華な制作陣とこんなに可愛いアイドルが主役を務める映像がほぼ毎シングル制作されるのって乃木坂46だけなんじゃないかと思います。内容もバラエティに富んでいて、芸術性の高さに驚かされますね。具体的なところだと、9thシングルの『夏のFree&Easy』はPVやジャケットを含め全体的に一番好きです。曲で言うと『音が出ないギター』みたいにギターがかっこいい曲、『魚たちのLOVE SONG』や『月の大きさ』みたいな短調の曲も好きですね。
―――最後に今後の方針や読者へメッセージなどあればお願いします。
久保:新星堂アトレ吉祥寺店ができて以来、テーマは一貫して「楽しいお店」です。特に用事がなくても、つい足を運んでみたくなるようなお店にしたいと思っていますので、よろしくお願いします。
梶原:CDが売れにくくなってきているところに通信販売が盛んになったこともあり、ただCDを並べているだけでは多くのお客様に足を運んで頂けません。「お店を選ぶ時代」になってきているように思います。そんな中で、声を掛けて下さる方や、遠方から写真を撮りに来て下さる方がいて本当に嬉しい限りです。これからもそういうお店でいるために、オリジナリティ溢れるPOPを追究していきたいと思っています。
※1 「乃木どこ」
テレビ東京で放送されていた冠番組『乃木坂って、どこ?』の略称。現在は同時間帯の日曜24時より「乃木坂工事中」が放送中。
※2 「1stアルバムの企画」
1stアルバム『透明な色』発売にあたって行われた「10福チェーン初売り合戦」のこと。このイベントに先駆けて参加チェーンごとの応援メンバーを決めるドラフト会議が行われ、新星堂は西野七瀬、伊藤万理華、斎藤ちはる、中田花奈の4人を獲得した。
※3 「乃木のの」
文化放送ほかで放送中のラジオ番組『乃木坂46の「の」』の略称。
これはいい記事
伊藤万理華推しとしてこういう情熱を持って展開してくださっている店舗の存在はとてもありがたいです。