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乃木坂散歩道 第30回「人はなぜ走るのか? 5月9日プリンシパル・レポ」

 「人はなぜ走るのか?」、個人的に乃木坂の曲で一番好きな曲です。メロディーも歌詞も、MVも全部好きです。この曲は「16人のプリンシパル deux」で重要な使われ方をしています。ウォーミングアップのダンスシーンで使われるのですが、なぜこの曲が選ばれたのか? そこにはやっぱり理由があると思います。この曲の歌詞は非常にメッセージ性が強いです。何かをひたむきに頑張る人、何かを目指している人、成長しようともがいている人、そんな人達へ向けたメッセージが込められています。そしてそれはそのまま、今の乃木坂メンバーへのメッセージになると思うのです。

「鳥のように空は飛べないけれど 大地を蹴ったら 昨日までの僕より遠く行ける」
「人はどうして夢見始めたんだろう? できないことをやってみたかったんだ」
「あの空を見上げれば きっと今日の僕より背伸びできる」

 今日も彼女達の頑張りを見るために、赤坂に向かいました。オーディションのセリフが変わっていたりして、リピーターを飽きさせないようにしているのが伝わります。その分、彼女達の負担は大きくなるわけですが。
 この公演の最初にナレーションが入ります。「この演劇において、ストーリーや謎解きは重要ではない、大事なのは彼女達のパッション、テンション、個性、大きな声」、そんな内容です。実際に観て、その意味が良く分かります。ストーリーを楽しむのではなく、彼女達の演じるということへの情熱、努力、苦しみ、迷い、そして、彼女達の成長を観て欲しいという事なんだと思います。何度も足を運ぶうちに、彼女達がどれだけ努力しているかに気付かされ、その頑張りを少しでも沢山見てみたいと思うようになりました。

 
 そんなわけで、本題に入ります。5月9日の「16人のプリンシパル deux」レポです。今日は観に行けて本当に良かった。推しメンが役に入ったかどうかは関係なく、今日行った人達はみんなそう思っていると信じています。
 昨日から「天の声」は若干の改名をされたようです。そして、一段と要求がエスカレートしています。メンバーは大変でしょうが、観ている方はだいぶ笑いが増えたように思います。

 今日の名勝負は栄役のオーディションでした。「天の声」のムチャぶりは「童話・桃太郎さんを演じろ」でした。永島聖羅さんが「トレンディドラマ風に」というお題だったのですが、永島さんの世代は「トレンディドラマ」って知らないそうなんです。そういえば最近「トレンディ」って聞きませんね。
 桜井玲香さんは「2時間サスペンス風に」で、見事に演じきったのですが、1分という時間のうち15秒余らせてしまいました。その後「こぶとりじいさん」の話を始めた機転は素晴らしかったです。
 能條愛未さんは「ハリウッド風に」でした。素の演技はかなり注目度が高かったのですが、「天の声」への対応は、ちょっと力を出しきれなかった感がありました。能條さんらしくなかったかな。
 最後の若月佑美さんは「どろどろした昼メロドラマ」でした。1分の時間を完璧に使いきった見事な演技でした。「鬼と結婚する」という、確かに昼ドラらしいオチもつけての演技でした。
 結果は若月さんが選出され、桜井さんが女中4でした。演技としてもエンターテイメントとしても楽しめた対決でした。

 続いては名勝負というよりは名シーンの紹介です。明田川役のオーディションです。明田川役はキザでカッコつけるというのがポイントですが、西野七瀬さんはなんとジョジョ立ちを決めました! 橋本さんはカッコつけたときの仕草が素晴らしく、帽子やジャケットが似合いすぎて黄色い声援が飛んでいました、メンバー内から(笑)。中田花奈さんを中心に完全にキュンキュンしていました。

 沢村役のオーディションが今回はハードルが高かったのかもしれません。「トリオ漫才をして、ひたすらツッコミをせよ」でした。
 和田さんはツッコミが出来ず。でも、それが彼女らしいって思いました。
 生田さんだけがしっかりとツッコミを出来ていました。相手役がボケられなくてもツッコんでいく姿から、「生田無双」の背景を感じずにはいられませんでした。演技も素晴らしいです。彼女はいろんな役にトライしていますが、どれも、観てみたいと思わせるキャラをしっかり作ってきます。

 今和洋子役の立候補者は齋藤飛鳥さん、畠中清羅さん、大和里菜さんの3人でした。畠中さんチャンスだなって、会場みんな思ってたみたいです。演技としては3者横一戦、ムチャブリへの対応が勝負の分かれ目でした。「さよならがテーマの曲を歌いながらミュージカルを作る」というお題です。なかなかなムチャぶり様です。齋藤さんはオフコースの「さよなら」を指定されて、相手役二人をナンパして、一人を「さよなら」を歌いながら振るという演技でした。
 畠中さんは山口百恵さんの「さよならの向う側」を指定されて、見事、一人芝居を繰り広げたのですが、時間が余ってしまい、その時間にしっかりやり切っていない感を出してしまいました。かなり良い線いっていて、あともう少しだったのに。
 大和さんは田原俊彦さんの「バイバイ哀愁デート」でした。どの曲も古すぎてメンバーは多分わからない曲だらけでしょう。大和さんは残念ながらちょっとパニクってしまった感がありました。
 結果は齋藤さんが選出されました。彼女は「マグロ」の台詞を言いたいという希望がありました。それと、今和洋子役の見せ場、「海流の島よ」のソロは、オリジナルメンバー初の快挙です。人気の高い役ですから、もしかしたら最初で最後かもしれません。

 「天の声」のムチャぶりにうまく対応できているメンバーに共通して言えることは、その役の裏の設定を自分なりに十分に作り上げているということです。表向きの台詞を覚えているだけでは出てこない世界を、ムチャぶりの中でもしっかり出せているメンバーが選ばれる傾向にあると思いました。勿論、誰がどの役に立候補するかなどの運も大きく作用していますけどね。

 さて、今日のMVPは誰でしょう? メンバーみんな頑張った、それは十分に伝わってきています。でも今日だけは、MVPは観客と思いました。一幕最後、配役発表にドラマがありました。「女中6、畠中清羅」。今日一番のどよめき、歓声、そして、拍手。畠中さんの希望する今和洋子役ではありませんでしたが、最後の女中6で畠中さんが選ばれました。真剣にメンバーの演技と向き合った末にドラマを演出した、観客の皆が今日のMVPです。
 僕たちファンは、舞台上の演劇には参加していません。メンバーとファンとの間には越えられない一線が存在します。でも、畠中さんが選出されたシーンを含めて、その時々の最高の舞台を作り上げるということにおいては、僕たちも一緒に参加していた気がします。メンバーと一緒に走っていられた、ちょっとおこがましいかもしれませんが、そう思ったのは僕だけではないはずです。

 「一人きりで走るよりも 仲間たちがいるといい 走ることが好きなやつは 集まれ!」

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筆者プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENT

  • Comments ( 6 )
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  1. 畠中が「バイバイ哀愁デート」で、大和が「さよならの向う側」だった気がしますよ。
    で、畠中はそれにかけて自分の心情を入れながら、「私はいつも振られてばかり」「私を好きなってくれる人はいるのかな」という感じの言葉を口にしたんだと思います。

  2. みてみたかった

  3. 海流の島よのオリジナルメンバー初は和田さんじゃないんでしょうか?
    和田さんが洋子を演じたときには歌われなかった…?

  4. せいたんが選ばれたっていう情報だけで泣きそうだったんで、レポ非常に嬉しいです。
    女中6しっかり演じられたんですかね?

  5.  筆者です。御指摘の通りです、今確認して、見逃している事、取り違えている事に気が付きました、申し訳ありません。
     あと、女中6頑張って演じていたのは言うまでもありません。それと、最も注目を浴びた女中役でもありました。最後の最後まで、畠中さんへの声援が多くて、本当に胸が熱くなった公演でした。

  6. By どりょく かんしゃ えがお

    okabe さんにワインを注いでもらいながら、乃木坂談義すると楽しそうだ。

    2幕が本編なんだろうけども、2幕までのメンバーの反応、表情こそがこの公演の見どころなんですね。

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