乃木坂散歩道 第51回「『ガールズルール』ってどんなルール?」

 この記事のメインは乃木坂46のことではない事を、先におことわりしておきます。

 乃木坂46の6枚目のシングル、「ガールズルール」を初めて聴いた時、僕はこの曲の世界には全く入り込んでいけませんでした。理由はわかっています。『ガールズルール』=『女性特有の決め事』への違和感を常々持っていたからです。

 私事で恐縮です。僕の職場は女性の比率が非常に高いです。男性対女性=1対5位です(ガールの割合は低いですが……)。そのため、会社という組織とは別に、女性は女性の組織が出来上がっており、『暗黙の了解』ともいうべき縛りが職場内にはびこっています。例えば、男性はたとえ上司の仕事が終わっていなくても、自分の仕事が終われば帰ります。もちろんチームとして手伝えるなら別ですが。でも、女性は女性陣の仕事が全部終わらないと帰ろうとしません。上司・部下を問わず、全員が一緒に帰ります。

 僕はいつも彼女達に問いかけます、「仕事が終わっているなら帰ればいいじゃん?」と。でも、彼女達は帰ろうとしません。一人だけ『組織』から外れることを極端に嫌がるのです。誰が言い始めたわけでもなく、また口にすることのないこの集団心理、僕にはなかなか理解できないのです。

 
 『ガールズルール』なんて知らなかった時代、とある女性に仕事上の打ち明け話をしたことがあります。お悩み相談ですね。ただ、広めて欲しい話でもなかったので、最後に彼女に口止めをしたのです、「誰にも言わないでもらえる?」って。そうしたら、その返事が「誰にも言わないけど、〇〇さんには話すね」というものでした。正直、まったく理解できませんでした。僕は「言わないで欲しい」と言っているのに、何故その話に無関係な第三者に話す必要があるのか? 結局、固く口止めをして事なきを得たのですが、これは参りました。

 乃木坂46の「ガールズルール」を聴いた時、この時の事を思い出しました。そして、改めて彼女の発言を理解してみようと思い立ち、その女性に質問してみたのです。「何故、言わないで欲しいという事を〇〇さんに話そうとしたのか?」と。その答えは、「〇〇さんは、言いづらいような事まですべて私に話してくれる。だから、自分も何かを言わないと申し訳ない気持ちになる。全てを話すことで、二人の結びつきをより深いものにできる、特別な存在になれる」でした。また、こんなことも言っていました、「誰かと仲良くなろうとする時、なかなか言いづらいような事を打ち明けるというのは、仲良くなるための一つのきっかけになる」と。

 少し話が変わります。職場内でお付き合いをしている方たちがいました。男性の方はその関係を隠しているようでした。でも、職場の同僚は全員知っていたのです。しかも、いつ、どこで、どんなデートをしているのか、そんな情報まで筒抜けでした。なぜそうなっていたのか。この流れでは想像に難くないと思いますが、お相手の女性が近しい友人に話していて、その友人が△△さんならいいよね、△△さんが××さんならいいよね、という構図でどんどん広がり、気づいたら共通の話題になっていたのです。唯一、当事者の男性だけが隠し続けています。二人だけの秘密だと思い込んで……。

 『秘密の共有』は確かに親しくなるきっかけになるだろうし、関係を深め、より強固にする要素になると思います。しかし、一方で出回るはずがない情報が出回ってしまう事にもなります。最近世間を騒がせた「元・モ〇ニング娘。」のメンバーの事だって、なんでこんな情報が出回るんだろうって思うわけですが、これもきっと『ガールズルール』の破綻が原因の一つとして思い浮かべられるわけです。

 『諸刃の剣』、これが僕の『ガールズルール』のイメージです。僕の周りの『ガールズルール』は、なんだか薄汚れているのです。

 
 社会に出て仕事をする中で、僕は人間の汚い部分を沢山見ることになりました。仕事を始めて間もなくは正義感を持って理想を追い求めていましたが、時が経つにつれ、ビジネスと割り切って、淡々と作業をこなすようになってしまいました。人の心の闇を沢山見過ぎてしまったのです。

 乃木坂46の「ガールズルール」は、僕にとって違和感があります。染まり過ぎた僕にとって、彼女達の姿があまりに真っ白で、眩しすぎるのです。彼女達の『ガールズルール』は曲のイメージそのままの、夏の眩しさにあふれています。
 自分には手の届かない高嶺の花、自分には眩しすぎる清廉さ、僕が彼女達のファンになったのは、自分とはあまりにもかけ離れすぎた存在で、僕がとうの昔に無くしてしまったものを、彼女達が大事に持っているからなんだと気が付きました。

 「ガールズルール」、僕には違和感があるのだけれど、その違和感(=羨望)があるがゆえに、僕はこの曲が大好きです。

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筆者プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENTS

  1. 僕は乃木坂平均より少し若いのですが、彼女たちの存在には錯覚かもしれないけれど相当昔を思い出させてくれる何かがあるんですよね 今までの経験した事と重なる部分が多く、戻れないからこそそれを体現してまた綺麗な思い出を呼び起こしてくれるグループで、ここが他のグループと違うところで惹きつける力は凄いと思います

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