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乃木坂散歩道 第64回「社説・組織論」

 「人材を大事にしない組織は顧客も大事にしない」。これは最近、私の所属する組織で言われ始めた言葉である。長年、職員をこき使い、疲弊させ辞めさせる。人材を育てようという意識が皆無であった。脱落する人材は切り捨て、新しい生贄を採用する。この使い回しのツケが経営陣の高齢化、次世代を担う中堅の不在という形で露呈し始めた。我々下っ端のスタッフは、「泥船に乗った気でいよう」と冗談を言っている。
 このような状況下で、顧客への影響が顕著になってきた。顧客の要望に応えられない事例が増えたのである。しかし、残念ながらすぐに立て直すことは不可能である。人材は促成栽培できるものではないからだ。

 次回10月6日の「乃木坂って、どこ?」(テレビ東京)で乃木坂46の7thシングル選抜発表が行われる。選抜発表においては明暗が大きく分かれ、複雑な感情が入り乱れ、メンバーのこれまでの活動の内面的縮図が見られる。
 選抜といシステムのメリットは、『切磋琢磨』、『緊張感』にある。この選抜というシステムを今さら否定するつもりはない。選抜というシステムは乃木坂の特徴であり、それを否定することは今までの活動の否定につながる懸念があるからである。

 しかし、この明暗が分かれるシステム、どうしても歪みが出てしまうのもまた事実である。最新の『ガールズルール』までのシングル6作品中、現在乃木坂46に在籍するメンバー32名の中には、全作で選抜メンバーに選ばれ選抜常連と呼ばれる者が10名、一度も選抜経験の無いメンバーが8名。過ぎた格差には批判が集まるのも想像に難くない。
 
 『今』売れることだけを考えれば、これでいい。34人の1期生から、ものになるメンバーを抽出。デビュー1年足らずで2期生を募集し、そしてまた、ものになるメンバーを抽出。これを3期、4期と続けていけば、選抜メンバーは、それはそれは素晴らしい『選抜』であろう。
 果たしてそれでいいのか? そんなやり方では、我が組織と同じではないか! 『泥船』ではないか?

 
 一方でこんな考え方もあるかもしれない。8月18日放送の「乃木坂って、どこ? プレッシャー自己紹介!」(テレビ東京)では、お笑い芸人の出川哲郎が乃木坂メンバーの名前を当てるという企画だったが、大変遺憾な事に、共演もしている乃木坂の前センター、現センターの名前すら覚えられてはいなかった。そんな状況で、選抜を大きく変えるのはデメリットではないか? であるならば、6thシングルまでの小規模な入れ替えのみの選抜方式を継続すべきで、それによる格差は仕方が無い。
 こういう考え方も間違っていると断罪はできない。

 それでも私は言いたい、「人材を育てることは、組織の未来を育てること」。「『すべての』人材が、その組織の未来を握っている」。
 組織において、人材を育てるとはどういうことか? 大事なのは立ち位置を作る(あるいは作らせる)ことである。

 7thシングルの選抜は既に決まっている。この状況下で立ち位置を作るというのはどういうことか? 私からの提案は『インフォームド・コンセント』である。「情報を提示し、それに同意して、契約する」、そんな意味合いである。選抜されたメンバーは、そのチャンスを大事にして頑張ってもらいたい。選抜という立ち位置に不満はあるまい。もしも、初選抜メンバーがいるならば、その才能を、キャラを大きく花開かせて欲しい。

 問題は選抜されなかったメンバーである。何故、選抜されなかったのか? アンダーで何をやるべきなのか? あるいは、もっと大きく、乃木坂46におけるアンダーの役割、存在理由などを説明を受け、そして、自分がアンダーであることを同意し、受け入れ、活動する。自分のアンダーとしての立ち位置を見つけること、それが『選抜を目指そう』というモチベーションの再スタート地点と考える。
 ヒントも与えられず、疑問を持ちながらの活動は『不安』、『不満』、『誤解』、『失敗』をまねく。そのような状態は不幸であり、不本意な結末をまねきかねない。そして、それは、そのメンバーを推しているファンの不幸にもつながる。
 『インフォームド・コンセント』の最大の目的は『納得すること』。納得出来た心はブレない。まっすぐに前へ進める。

 選抜メンバー発表は運営方針のもっとも端的な要約である。ただ、要約だけでは伝わらない事も多い。それゆえ、運営陣は、短期、中期、長期、それぞれの指針を明示し、納得できる未来をメンバーに提示できるか? そして、結果としてファンを納得させてくれる選抜であるか? 乃木坂46という組織は、アイドルグループというビジネスである。ビジネスであるがゆえに、組織を確実に育てて欲しい。

 私は今後、誰も辞めない事を望んでいる。辞めないということは、『納得して活動出来ている』ことの一つの指標であるから。私達ファンはメンバーの心理までは知り得ない。であるから、結果で判断するしかないのである。
 
 「みんな仲良しで、メンバー思い。メンバー全員が乃木坂46というグループのために一丸となって活動している」。そんな組織作りを乃木坂運営陣に期待したい。『泥船』ではなく、『宝船』と呼ばれるような組織作りを期待する。そういうアイドルグループを推すことが出来たなら、ファン冥利に尽きるというものである。

筆者プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENT

  • Comments ( 9 )
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  1. 運営に納得したことはないが確実に登ってきてる。
    2期生も1期生に早く追いつけ!

  2. 泥舟でしたね
    ファンには顔もまだろくに見せ終わってないメンバーがセンター
    非選抜に何を改善しろと言うのでしょう

  3. 井上・白石の陥落が全く理解不能???
    結果出したのに何がダメなんだろうね~

  4. 秋元康を初めとする乃木坂や48グループ運営の人間達に
    この文章を読んで欲しい。
    理解できるかどうか分からないが。

  5. アンダーメンバーにも二期生にも「私も頑張れば」と希望を持たせることができる
    組織的な総論で言うと、むしろアリな『人事』かと思います。
    おれの一推しはアンダーになってしまったけど、最近は乃木どこにアンダー出してくれるようになったし、
    大きく変わった体制でどんな活躍をしていくのか、堀の育成で先輩方がどう輝きを見せていくか、楽しみです。

  6. 運営にはこの文章を読んで、考え方を少しでも改めて頂きたい。
    話題作りは結構ですが、メンバーやファンの気持ちを無視したようなやり方には賛同できない。
    取って付けた様な運営からの手紙、到底納得できるものではありませんでした

  7. 運営にとって、乃木坂は将来にわたり育成すべき組織なのか、収益あげることを目標とする商品なのか。
    前提はどちらでしょうね?

  8. 「世の中それが当たり前」で麻痺してる部分ってありますよね。

    「本当にこれでいいの?」の時代に何が出来るか。それが見たい。

  9. あえてこの記事に反対の意見を言わせてください。

    「情報の提示」や「説明」については『乃木坂って、どこ?』第14回の1stシングル選抜メンバー発表の時に選ばれなかったアンダーメンバーに秋元康氏本人が語っています。

    ・誰が劣っていて誰が優れているということはない。
    ・楽曲のテイストやタイアップの状況で今回はこれでいこうということになった。
    ・自分の色を見つけていって、乃木坂46にこの色か欠かせないだろうと言われるような、そういう色を出せるように頑張ってほしい。

    確かこういう内容だったと思います。

    だから、説明はすでにしていると言えます。

    その色はどうやって見つけるの?
    これについては『乃木坂って、どこ?』第68回1月誕生祭の中で樋口日奈に宛てたお父さんの手紙の中にヒントがあります。

    ・芸能界は有名になっている人もいるけど、ほとんどの人は夢半ばでいなくなる世界。
    ・その中で夜遅く勉強をして朝きちんと学校に行く日奈を見て、その意気込みがわかった。
    ・仕事として始めたからにはまっすぐに意志を貫き突き進んでほしい。

    こういった内容だったと思います。
    メンバーはガンバっています。それはファンである皆さんもよくご存じのはず。あなたの推しているメンバーは説明を受けないとモチベーションを保てないような弱い存在でしょうか?そんなことはないでしょう?

    僕は乃木坂メンバーは自分で自分の色を見つけてそれを表現する力は持っていると思うし(それができないならそもそもオーディションに受かっていないでしょう)、運営スタッフもその色を最大限舞台やテレビ画面で伝わるよう構成していると僕は思います。そしてファンも、その色に惹かれて推しているのでしょうし、ブログコメントや握手会でその色を引き出せるよう褒めたり励ましたりしているんじゃないでしょうか?

    ただ、チャンスは平等でないように思います。7thの時点で未選抜が5人、1回だけ選ばれてからアンダーを続けているメンバーが5人いるというのは運営には考えてほしいと思います。
    最近は『乃木坂って、どこ?』でもアンダーの出る機会が増えているのでぜひその姿勢は続けてもらって、あとはファンがブログにコメントを書いて、握手会に参加して、チャンスをもらえるよう運営にアピールしましょう!メンバーを励ましましょう!もちろん、CDを買って、ライブを見に行って、乃木坂46を応援しましょう!!

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