(c)Marina Cast.

　現在、乃木坂46のファンを騒がせている事の真偽は僕にはわかりようがありません。でも、悲しんでいるファン、不信感を抱いているファンがいることは間違いのない事実です。このままうやむやにされるなら、それは今問題となっている食品偽装と同じではないでしょうか？　

　いくらか待ってもなんら公式の発表が無いので、一部メンバーが言及したところで、一ファンとして声をあげようと思った次第です。不親切を自覚しながらも、あえてここでは何が起こったかについては言及しません。

　食品偽装、その根底にある大きな問題は「どうせ素人にはわからないだろう」という考え方だと思います。『わからなければ何をしてもいい』ということです。確かにわかりません。クルマエビとブラックタイガー、養殖と天然、消費期限や賞味期限の真偽。これらは生産者と消費者の信頼関係、いわば暗黙の了解によって成り立っているものです。

　ちょっと例え話をさせていただきます。ワインといえばフランスです。世界一の生産量と名声が兼ね備わっています。でも、１９世紀にはやはり産地偽装が横行していました。実際のところは、他の産地のブドウを混ぜた方が美味しかったそうです。でも、今ではそういうことは無くなりました。どうしてか？　それはワイン生産者の「自分自身の仕事に対するプライド」があったからです。
　自分の仕事に対し、自信と誇りを持つためには、『偽り』はあってはならないのです。彼らは偽りを排し、自分たちの仕事に自信と誇りを見つけました。そして、現在、ワインというただの農産物は、農産物としてはあり得ない価格で取引されています。それは、彼らの誇りの産物が『芸術』と認められたからなのです。

　「どうせ素人にはわからない」、そんな偽りの気持ちでやっている仕事はしょせん二流止まりです。騙し騙しやっていても、いずれ消えていく運命。

　いずれにしても、自分は、自分たちはどこを目指すのか？　それをもう一度考え直した方が良いと思います。自分たちの活動は『仕事』なのか、それとも学生の部活動やサークルレベルでいいのか。仕事の中でも、自分たちに誇りを持って一流を目指していくのか、相手を騙して誇りも持てない二流止まりでいいのか。

　集団が大きくなれば、意思統一も難しいかもしれませんね。でも、それをやるのがプロでしょう。ただのサークル活動を高い金銭を出してまで見ようとは思わない。
　それとも、サークル活動しかできない人たちの集まりで、無理矢理仕事をしようとするからゆがみが生じるんでしょうか？　ファンとして活動を見守ってきた身としても、そういう偽装ではないことを祈りたいです。

　一方で、過剰にバッシングしすぎるとどうなるか？　そんなお話もさせていただきます。

　また例え話をさせていただきます。『救急車のたらい回し』、忘れた頃に何度も繰り返される話題です。でも、実際に報じられるのは氷山の一角だそうです。何故、『救急車のたらい回し』が起こるようになったのか？　その一つの理由に「萎縮医療＝サボタージュ型医療崩壊」というのが挙げられます。

　重病で救急搬送される⇒病院で懸命に治療が施される⇒それでも残念な結果となる⇒『訴訟』という結末。
　　
　訴訟社会となり、実際に上記の流れがあるそうです。故意による不確かな医療であったり、明らかに初歩的なミスが無くても、結果が悪ければ訴訟のリスクになる。これが、現在の医療が抱える問題点です。そうなると現場の医師は、「結果が良くなければ訴訟になるなら、１００％の自信のある症例だけを扱おう」⇒「１００％なんてありえないから、救急車による患者を診るのはやめよう」となってしまったのです。訴訟というリスクを負いたくないが故の展開です。訴訟なんて、誰だって嫌ですものね。
　しかしながら、市民にもマスコミにも司法にも、医療を追い込んでいるという自覚はありません。だから、いつまで経ってもこの問題は繰り返されるわけです。

　日々、一生懸命に頑張っていても、時に良くない結果が出たり、思いもよらない出来事に遭遇することもあるでしょう。それが『故意に』とか、『悪意をもって』でなければ、あまり追及しすぎてもいけない気がします。
　当該メンバーへのバッシングは、その他のメンバーにも届いてしまいます。今回議論を呼んでいる出来事のうちの一つは、ファンサービスと思ってしたことが（自覚が足りなかったとはいえ）ここまで騒がれるわけです。ファンサービスへの委縮が起こりかねないと思うのです。もっと言えば、ファンを怖がってしまうメンバーも出てきてしまうかもしれないのです。
　不信感を抱かせたそもそもの原因がメンバーにあったとしても、『気付かないうちに』追い込んでしまって、メンバーがファンに不信感を持つような事があってはさみしくないですか？　「救急車を診るのはやめよう」＝「活動外でのファンサービスはやめよう」になってしまうと思いませんか？　こうなってしまってはメンバーとファンの関係の崩壊です。

　これはあえて大げさに書きました。でも、実際に批判される方は過剰な反応になってしまうことがあるのです。それが、医療においては『たらい回し』になったわけです。
　過剰な批判は委縮を招きます。処分が必要なのであれば、それは運営に任せましょう。運営が、起こった問題とそれへの対処から起こるであろう結果をよく吟味し、判断を下せばよいのです。僕達ファンは「悲しい」、「嫌だ」、「こういうことはやって欲しくない」など、そういう声をあげればよいと思います。

　
　まとめます。『仕事』をしたいのなら、メンバーには襟を正してほしい。運営にはちゃんと公式見解を出していただきたい。まったくの言いがかりならまだしも、本件のような出来事を誤魔化して終わらせることは、食品偽装と同じ。そんな二流止まりのグループに先はない。
　ファンの皆さんは嫌なことは嫌としっかりと声を上げて良いと思います。一連の騒動から起こった議論は、メンバーの意識に一石を投じました。活動が３年目に入り、２期生も表に立ち始めた大事な時期なのに、意識が低い、と。ただ、一方で、『故意、悪意、一線を越えたもの』以外は、温かい目で見守りませんか？　あまり追及しすぎると、メンバーが委縮してしまいます。

　「ファンあってのアイドル」とメンバーに言ってもらえたら、ファンとして幸せです。でも、今のこの状況はどうでしょう？　自己保身のために、ファンの存在、気持ちがないがしろにされていると言わざるを得ない、僕はそう感じるのです。だから声をあげることにしました。皆さんはどう感じていますか？