Nogizaka Journal

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激動の乃木坂46でも桜井玲香は変わらない

 これまで、ひとりのメンバーをピックアップする形でいくつか記事を書いてきた。どういう巡り合わせか、そのほとんどがアンダーメンバーとしての活動が長いメンバー。「もっと多くのメンバーの良さを知っていただけたら」という半ば思い込みのようなモチベーションだった訳だが、今回取り上げるのは桜井玲香だ。結成当初から中心メンバーのひとりとして活動し続けているメンバー達を今更この場で取り上げる必要があるのかと疑問に思うが、まずはやってみた上で今後の方針を決める参考にしたいと思う。

キャプテンとしての桜井玲香

 桜井玲香について考えるならば、彼女が担う「キャプテン」という役割について考えない訳にはいかない。桜井本人もたびたび語ってきたように、彼女は集団の先頭に立ち、強烈なキャプテンシーを発揮して引っ張っていくタイプではないというのは多くの人が知るところではなかろうか。そもそも、今年2月にデビュー3年目の活動に入ったばかりの乃木坂46は、ファンでさえグループ全体としての活動の少なさに疑問を感じるほどキャリアが乏しい。そんな状況では圧倒的なカリスマ性を持ったメンバーなど出てきようがないのだろう。生駒里奈や白石麻衣といった話題の中心になりやすいメンバーでさえも、いまだその域には達していないのだから。

 では、今現在、桜井はどのようなキャプテンなのだろうか。私が桜井に抱くイメージを一言で述べるならば、良くも悪くも「スキがある存在」だろうか。その「スキ」故に、身近な存在に感じ、時に後輩からもイジられ、ファンから「ポンコツ」と呼ばれることもある。さらに、これは賛否が分かれるところかもしれないが、『乃木坂46の「の」』第29回で語られた「真夏の全国ツアー2013 FINAL」でのエピソードのように、時に人前で感情や弱さをさらけ出してしまうのだ。

 これは「ポンコツ」というイメージ通り、頼りないという一面ではあるのかもしれない。しかし、その不器用な生きざまがメンバーの心を震わせ、ライブなどの重要な局面において乃木坂46というグループをひとつにまとめているのではないだろうか。桜井からよく名前が挙げられるメンバーに、生駒里奈、橋本奈々未、そして相棒の若月佑美がいる。控えめなメンバーが多い中、先陣を切って主観的な意見をぶつけるのは生駒だ。とりわけ客観視に優れた橋本は行き過ぎた主張を制し、絶妙なアドバイスを送る。桜井はその中立をはかり、舵取りを担う。裏では若月が支える。そういう形で団結できる乃木坂46がたまらなく好きだというファンは多いはずだ。

 同時に、桜井は歌やダンスといったパフォーマンスに優れている存在でもある。それだけに、自分たちのパフォーマンスについても真剣に考えているという実にキャプテンらしい一面もある。周りに有無を言わさぬ強烈なスペックを見せつける一方で、立場に関わらず対等な関係を築き、時に弱さを覗かせる、そんなアンバランスさが桜井玲香の人間としての魅力であり、これこそが桜井の独特のキャプテン像を形成しているのではないだろうか。

乃木坂46において変わらないもの

 昨今の乃木坂46は、今まで経験してこなかったような大きな変化の途中にある。内部ではセンターを中心にポジションの変化があり、激しい選抜メンバーの入れ替えに加えて2期生の台頭もある。外部からは交換留学という形で、新たな存在が加わることがついに現実となった。しかし、激動の乃木坂46において唯一変わらないことがある。それは「桜井玲香が乃木坂46のキャプテンである」ということだ。今後どのポジションに動いたとしても、何があったとしても、桜井はキャプテンであり続けると思う。これは他のメンバーより注目される機会が多くなる反面、時に大きなプレッシャーとして桜井にのしかかる。8thシングルの選抜メンバーに選ばれた際の桜井の言葉に対して、多くのファンが何かを感じたはずだ。

桜井:「私はポジションがずっと変わっていなくて。ずっと一番右端っていうので、嬉しいような、成長できてないのかなって。(桜井は)キャプテンだから『福神』に入れてるんだって、いまだに言われるので。頑張りたいなって思います。悔しいので、そういう風に言われているのが」

「乃木坂って、どこ?」8thシングル選抜メンバー発表より

 しかし、大きな流れの中にある今だからこそ、不変の役割である「キャプテン」として、そしてアイドルとして今まで以上に輝けるのではないかとも思う。その道のりは決して楽なものではない。何かあればグループの代表として意見を述べねばならないことも多々あると思う。時に批判を受けることもあるかもしれない。センターと同じか、それ以上に中心人物として見られる。良くも悪くも、それが「キャプテン」という存在なのだと思う。9thシングルでは2列目の真ん中、文字通り「中心」のポジションになった。桜井はここでどんな魅力を見せてくれるのだろうか。

 ステージに立てば優れたパフォーマー、でも普段はどこかフワフワしている。そんな桜井の「キャプテン」としての見せ場が訪れているのかもしれない。しかし、悲観はしていない。桜井が人を惹きつけるのは自身の在り方そのものだから。カリスマが醸し出すオーラや迫力といったものはまだないが、桜井が発揮する独特のキャプテンシーの背景には、メンバーやファンを中心に多くの人からの「愛」が存在しているように思う。ひとりで先頭に立つ必要はない。支え、励まし、叱ってくれる、たくさんの仲間がいるのだから。乃木坂46全員で、この曲がりくねった急坂を上り切って欲しい。

筆者プロフィール

助六
音楽が大好きでバンドを組んだりしています。乃木坂は楽曲も大好きです。今のところ「他の星から」が一番です。ファン歴はそこまで長くないですが、皆さんと一緒に楽しめる記事を書けたらと思っています。

COMMENT

  • Comments ( 2 )
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  1. キャプテンが「ネガティブ」って言ってたヤツは、ネガティブじゃなくて「意識の高さ」なんですよね。

    根がしっかりしている人だと思うし、絶妙なバランサーです。ウチの会社に一番必要なタイプだな〜。

  2. キャプテンシーを発揮してグイグイ引っ張っていく
    というスタイルは管理職に必要な要素のひとつでしか
    ありません。
    むしろ、グイグイ行くタイプは今時の会社だと
    評価が低いほうかも知れませんね。

    むしろ桜井さんのように、ふわっと内包するというか
    他メンバーにとって安心感のある存在(弄りやすい)であることも
    最近の管理職には必要な要素。
    そういう意味では乃木坂というグループの
    特徴ともマッチしており、絶妙な人材配置とも思えますね。
    年長では無いってのも大きいと思います。

    そう考えると、お姉さんメンバーのそれぞれの
    組織内の立ち位置や距離のとり方が面白いですね。

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