7thシングル「バレッタ」のDVDに収録されている個人PVを、これから何作か考察させていただきたいと思います。まず、個人PVとは何でしょう? PVとはプロモーションビデオのことですから、個人を売り込むためのビデオという事になります。乃木坂46の新規のファンには、メンバー個人に興味を持ってもらうために。そのメンバーを推しメンとするファンには、新たな一面、新たな魅力の発見のために。そして、なおかつエンターテイメントでなくてはならない。それぞれの監督の方は、頭を悩ませたことでしょう。
そういう意味において、素直に素晴らしいPVだったのは深川麻衣さんや生駒里奈さんのPVだと思います。深川さんのPVは、深川さんの身体のパーツを紹介していくという、シンプルかつディープに深川さんの『紹介』になっています。生駒さんのPVは、生駒さんの心象風景を自ら考えたダンスで表現するという難しいものですが、完成に至るまでの過程も収録されているので、わかり易くなっています。それでいて、生駒さんの『苦悩』みたいなものもわかって、ファンとして見応えがありました。
さて、そんなPVの中から、僕が最初に考察してみたいなって思ったのは、Type-Aに収録されている林隆行監督作品、和田まあやさんの「アメオンナ ワダマアヤ」です。
第一印象は『芥川賞』です。芥川賞は日本の純文学の最高峰です。読書好きとして、受賞作品を何冊か手に取ったことがあるのですが、どれもこれも、わかりにくい。生駒さんのダンスも、過程の様子が無ければ、同じ印象を受けたかもしれません。
和田さんのPVも正直わかりにくいです。彼女の魅力にあふれているとは思えないし、ちょっと暗い雰囲気。第一印象はこんな感じでした。
考察するにあたり、まずはメンバー全員のPVを複数回見ました。そして、和田さんのPVを2回目に見た時に、やっと気付くことが出来ました、このPVは和田さんの心象風景なんだと。
“和田さんはアメオンナ、いつも雨。昨日も、今日も、明日もずーっと、雨。”
この「いつも雨」を『いつもアンダー』と読み替えてみると、このPVの見え方が変わってきます。
「雨」=アンダーという解釈でもう一度、和田さんのPVを見てみましょう。暗く沈んだ音楽、不協和音、決して心地よいものではありません。「私は、和田まあや。嫌いな天気は、雨」。雨は嫌いなのに、「今日も雨、昨日も雨、明日も雨、ずーっと雨」です。そりゃ暗くもなります。
「雨は私を離さない」、アンダーという現実が、いつどこにいても和田さんにまとわりつき、そして、問いかけられます。「それでいいの? 和田まあや」、「覚悟はあるの? 和田まあや」。
このPVには象徴的な道具が出て来ます。『傘』です。雨に当たるのが嫌だから傘をさす、自分を守るために傘をさす。どうやら、傘という道具は『アンダーという現実から目を背けるためのもの』のようです。
中盤、「好きな天気は雨。だって、傘をさせるから、本当の自分を隠せるから」と続きます。傘は、例えば『言い訳』でしょうか。以前、メンバーのブログに和田さんはいつも褒めてくれる、という内容がありました。だから「愛されまあや」と呼ばれているんだろうと思います。メンバーを褒める事、それは決して悪い事ではない。でも、自分がアンダーでいる事への言い訳だとしたら? それを『カラフルな傘』と言っているのでしょう。
でも、雨に問いかけられます。「自信が無いの? このままでいいの?」。
そして、画面一面にコンプレックスが書き出されます。良く言えば「仲間想い」、でも、裏を返せば「自信が無い」。
「そろそろ本気で向き合おう、この雨に、この雨に」。傘を手放し、「ずぶ濡れの十五歳」。これは確かに「和田まあや」です。和田さんの心象風景を映像化した作品、僕はこのPVをこんな風に解釈しました。
SMR (2013-11-27)
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某掲示板とかではまあやのPV意味わからないって人もいたけど
私も雨って言葉にアンダーって意味を感じてました
あの文字で覆い尽くされた画面
全ての言葉を書きとってみて
今のまあやの状況を表していることがすぐにわかりました
まあや自身はどう感じているのだろう
彼女の本当の気持ちを聞いてみたいです
まあや推しですが、全く同じ解釈でした。本人がどう思ってるか分かりませんが、本人にそうした事を言わせるなんて、見ててちょっとヒリヒリしました。
いつも読ませていただいています
本当に読みやすい文章ですよね 特に今回は感じました
自分の考察を文章で表現するのは大変楽しいです