高山一実は、いつも笑っているイメージがある。
アイドルというのはそういうものだ、とも言えるが、そういうことではない。なんというか、笑顔以外の表情がイメージ出来ない、という印象なのだ。こういう言い方は失礼かもしれないが、何故か悩んでいる姿が頭に浮かばない。齋藤飛鳥や西野七瀬や生駒里奈が悩んでいる姿は容易に想像できるのだが、高山一実の場合そう簡単ではない。
そういう意味で、高山一実は、いつも笑っているイメージがある、と感じる。
もちろん、高山一実だって悩むこともある。
「私は元々可愛い人が好きで、そんな理想像に憧れてアイドルになったから、『自分みたいなアイドルを応援したいのかな』と思ったことがあるんです。推しメンのタオルとかうちわを掲げるなら、お笑い担当みたいな子より可愛くてスター性のある子のほうがいいよなって。はっさん(※向井葉月)は割り切れてるかもしれないけど、私は好きなアイドル像と自分を重ねてしまったんです。(中略)私は入って半年から3年くらいは悩んだ時期だったから」(「月刊ENTAME」2017年6月号/徳間書店)
僕は初期の乃木坂46を詳しく知らないが、ドキュメンタリー映画「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」(2015年公開)で見た限りでは、初期の頃は高山一実が圧倒的な人気を得ていたはずだ、と思う。明るいキャラクターと喋りの面白さで、ダントツの人気を獲得していたという場面を映画の中で何度も見かけた記憶がある。
しかしそんな彼女も、入って3年くらいは悩んでいたという。この悩みは、大人数グループで活動するメンバーには付き物なのかもしれない。
例えば、若月佑美が雑誌のインタビューでこんな発言をしていたことがある。
「たとえば、乃木坂46はピアノを習っていたメンバーが多いんだけど、いくちゃん(生田絵梨花)がうますぎて誰も言えなくなっちゃう。歌やダンスも自分より秀でている子がいるから、『自分はどの枠を埋めればいいんだろう』って悩む時期はみんなあると思うんです」(「EX大衆」2017年3月号/双葉社)
圧倒的な何かを備えている人であれば、こういう悩みとは無縁でいられるのだろう。乃木坂46で言えば、若月が例に出した生田絵梨花や、その美しさで圧倒的な人気を誇る白石麻衣などはそういう立ち位置だろう(もちろん、今挙げた二人にも悩みはあるだろうが)。しかし、誰もが圧倒的な何かを持っているわけではない。そういう時、大人数グループの中で、他のメンバーと被らないどんな枠を自分が埋めることが出来るのか……。そういう悩みに、誰しもがぶつかるものなのだろう。
高山の悩みも、同じだろうと思う。自分が乃木坂46の中でどんな枠を埋めることが出来るのか、という悩み。しかも高山には、理想のアイドル像がある。いわゆる「THEアイドル」に憧れて乃木坂46に入った高山は、そこに近づけない現実に直面する。
彼女が持つ理想のアイドル像と、彼女自身が埋められそうなアイドルの枠に、大きなギャップがあった。「アイドルというものを職業として捉えている」と発言する秋元真夏のように、自分が果たすべき役割を割り切ることが出来ればまだ楽だったかもしれないが、彼女にそれは出来なかったのだろう。いつも笑顔でい続けているように見える彼女も、そういう葛藤を抱え続けてきたのだ。
「乃木坂46の選抜メンバーは個人仕事が多いコがたくさんいるじゃないですか。モデルさんも何人もいますし。そんな中で私が『選抜にいても大丈夫だな』ってメンタルを保てているのは、『ミラクル9』と『しくじり先生』のおかげなんです。それだけありがたい番組に出させていただいているんです」(「BRODY」Vol.4/白夜書房)
こういう発言からも分かるように、今高山は、自分のアイドルとしてのあり方を受け入れられているのだと思う。自分が理想とするアイドル像とは大きく違うけれども、それでも自分はアイドルとして、そして乃木坂46のメンバーとしてきちんと立てている。バラエティ番組できちんと成果を残すことで、彼女はそういう風に思えるようになったはずだ。
そして、バラエティ番組で成果を出すことは、彼女自身のアイドルとしての捉え方だけではなく、自身の役割にも影響を与えるようになっていく。
「逆に『乃木坂って、どこ?』や『NOGIBINGO!』では、バランスを考えて全員が目立てるように、『私が!私が!』みたいな考えはやめました。乃木坂46はライブの場が少ないので、テレビが、メンバーを知ってもらえる貴重な場所だから。より多くのファンの方に『乃木坂46、やっぱいいなぁ』と思ってもらえるための場所づくりを考えていますね」(「日経エンタテインメント!アイドルSpecial2015」/日経BP社)
乃木坂46には、他のメンバーを目立たせるために自分がどう振る舞うか、という視点から物事を捉えるメンバーが結構いると思うが(生駒里奈や松村沙友理、秋元真夏などにそういうイメージがある)、高山一実もその一人だと思う。自分だけが目立つのではなく、メンバー全員がきちんと表に出ることで、乃木坂46全体が強くなる。そのために自分に何が出来るのか。そういうことを考えることが出来るのだ。
「私の役目はもしかしたら、選抜メンバーとしてミュージックビデオに少し映るより、『バラエティに出ることで乃木坂46を知ってもらうためにあるのかな』と、最近になって思ったんです。これからも笑顔を作るために、それを手助けできる立場でいたいですね」(前出「アイドルSpecial2015」)
グループのために、と発言するだけなら簡単だろうが、実行を伴うのはなかなか難しい。モデルなどで女性誌に登場するメンバーは多いが、乃木坂の番組以外のバラエティ番組に出ていってきちんと役割を果たせるのは、秋元真夏、生駒里奈、そして高山一実ぐらいだろう。自分に出来ることで乃木坂46のためになることをやる、という意識は、乃木坂46全体で共有されていると思うが、彼女はその意識をアイドルとしてのアイデンティティの根幹にしている数少ないメンバーではないかと思う。
「本来は自分をアピールするのが苦手なタイプなんですけど、『乃木坂46をもっと知ってもらいたい』という気持ちで今までやってきています。だからアイドル以外の芸能界に執着はないんです」(「日経エンタテインメント!」2017年2月号/日経BP社)
乃木坂46は、自分が自分がというメンバーが多くない印象の強いグループだ。自分を乃木坂46という建造物の部品と捉え、組木のようにお互いに支え合うことで全体を強くする、そういうグループだからこそ、高山一実というアイドルは輝けるのではないかと思う。
乃木坂46のメンバーのインタビューを読んでいると、高山一実の名前を見かけることが結構ある。
秋元真夏が堀未央奈との対談の中で、以前こんな発言をしていた。
「(堀未央奈に対して)『私、かわいいんで』とか『この帽子、絶対入るから』と、自分からボケた時には確実にツッコミをいれてくれるという信頼感はあります。未央奈と生駒ちゃんの前ではボケ放題(笑)。かずみん(高山一実)はいい人すぎて、帽子が入らなくても『大丈夫。帽子が小さいだけだよ~』と慰めてくれるから、芸人としてはスベった形になるんです」(「EX大衆」2017年5月号/双葉社)
また、西野七瀬はこんな風に語っていた。
「番組で『グループ内の友達は』と聞かれると、『「仲がいい」と言っていいのかな』とすごく考えてしまって。ただ、かずみん(高山一実)は話がしやすくて一緒にいると楽しいので名前を挙げやすいんです」(「日経エンタテインメント!アイドルSpecial2017」/日経BP社)
こういうエピソードから、彼女の良い人感が凄く伝わってくる。テレビで見ていても、「悪いことが出来なそうな子だな」「嘘がつけなそうな子だな」と感じる。振る舞いや佇まいから、育ちの良さが感じられるのだ。
高山自身も、こんな発言をしている。
「特に社会人になると、先輩や上司に頭を下げる必要はあると思うけど、過剰なまでのゴマすりだったり、自分をよく見せるために相手のことを悪く言うのは一番嫌いなんです」(前出「EX大衆」5月号)
確かに彼女は、冗談でも誰かを悪く言うようなイメージがない。信頼感のある関係性で悪口を言い合うことは、誰にでもあり得ると思うが、高山一実にはそんなイメージを抱くことも出来ない。
それはある意味では、窮屈な性格だろうとは思う。適度に嘘をついて、その場を適当にやり過ごす方が賢明な場合だってあるはずだし、悪口が潤滑剤となることもあるだろう。でも、たぶんだが、高山にはそれが出来ない。その点もまた、彼女の魅力の一つとなっているだろうとは思う。
とはいえ、高山はこんな発言もしている。
「かりんちゃんに言われたんですよ。『人当たりはいいけど、距離が縮まらない』って」(前出「EX大衆」5月号)
良い人であるが故に、他人にあまり踏み込まないようにしている、という可能性はある。嘘をついて適当にやり過ごせない以上、深入りすれば窮屈さを感じるようになってしまうことだろう……などと書いて勝手に彼女の闇を作り出そうとしているわけではないが、僕の中では笑顔以外の姿を想像しにくい人物なので、無理をしていないことを願うばかりである。
おそらく能條さんと並んで一番メンバーに人気のある人でしょうね。のぎ天2で川後が控室での席順みたいなものを簡単に書いてきてヲタを喜ばせていましたが高山・斎藤ちはる・能條・川村のチームDが4人掛けのテーブルに座ってると和田まあやと樋口日奈の二人が椅子をわざわざ持ってきて間に潜りこむんだそうです.それに高山氏に助けられた人って本当にたくさんいるって思う。有名な「デビューシングルキャンペーン」で京都で泣いたなあちゃんへの慰めの言葉。「実は顔に注射したことある」っていうなあちゃんのドッキリの嘘を信じてスタッフにその部分は絶対に放送しないでくださいって懇願したり、あの後なあちゃんがどうかずみんに誤ったのかはわからないけど本当に信用できる人になったんだろうね。あと忘れられないのが8枚目選抜は発表の翌週の「列ごとの食事会」で三列目のかずみんは真夏と新しく選抜に入ったまひろとまあやとひなちまと二期生の北野を連れて月島のもんじゃやに行ったんだけどその時にまひろが
「二人は選抜の常連じゃん。それについてはどう思ってるの」って聞いてきた。真夏は自分が4枚目で復帰した時を思い浮かべて
「私はあの時自分の力であの席にいったなんておもってなかった。一回福神からおとしてもらって自分の本当の力でまたあの席に帰りたい」って話してるとかずみんが懐かしそうに
「あの時・・・私となあちゃんかな、福神の席を狙ってたのは。そのタイミングで私たちの前に真夏が来たからさ、後ろからの目怖かったんじゃないw」真夏も笑って「ちょっと思ってた」って笑ったら
「真夏は何にも悪くない」って若い4人の前でおおきく断言してくれたんだよね。間違いなく真夏のあおりで3列目だったかずみんが。「真夏だからあの席に行けていまだってここにいられるんだよ」
このVのあとになあちゃんも今まで話したことのないことを語ってくれた。4枚目の発表のあと実家に電話で報告してたらふいに自分だけが福神から落ちたことに気づいて「家に帰ります」って叫んでスタジオを飛び出そうとして羽交い絞めで止められたこと。すぐそばで聞いてる真夏が青くなりそうなことをまるで思い出話をするような顔であっけらかんと話していた。(そうか。かずみんはとっくにふっきれてたんやなあ)って思ったんだと思いました。そして2014年2月22日のあの「真夏おかえり」
あの事件にかずみんが少なからずかかわってたのかなって思ったら本当に乃木坂ってすごいグループなんだと改めて思わずにはいられません。
僕は、ホントにファン歴は短いので、こういうエピソードがパパパッと出て来るのはいいなぁ、と思います。
僕は高山一実をちゃんと追っているわけではないんですけど、「自分はいいから…」というような姿勢が凄く見えるなぁ、と思います。
そういうメンバーもいるからこそ、乃木坂46というグループが存在しうるんだなぁ、と思いました。
筆者殿の最後の文章は正にそうだと思います。
真夏の全国ツアー2015の高山のオープニング映像の中で、家で一人でいるときが一番落ち着くと言っていると西野が紹介してましたね。
誰とでも仲良くできるのはすごい気を使っているか、何も考えていないかのどちらかでしょう。もちろん彼女は前者ですね。
あとドキュメンタリーの円盤の特典映像のなかで高山が単独インタビューで、乃木坂は歌番組では少ししか歌わせてもらえない、もっと何曲も歌っていろんなメンバーがカメラにたくさん写ってほしい、自分はそんなに写らなくてもいいから、みたいなことを寂しげな表情で語っていたのが印象に残ってますね。
やっぱり、そんな雰囲気を感じてしまいますよね。
見ていて、凄く気を使う人だろうなぁ、と感じてしまうので、
ちゃんと自分らしくいられるような場が、僕らファンから見えない部分にちゃんとあって欲しいなと思います。
すごい逆ですね。私は悩む姿が目に見えて浮かんできます。
僕も、「悩む姿」が目に見えて浮かぶのは、好きだからだと思います!
それは貴方が高山さんの事を本当に好きなんだと思います