今回の散歩道は、前回の記事『乃木坂散歩道・第152回「ファミコン風にやってみたDeux」』の続きです。
これからする話はちょっと前の出来事になります。
2014年8月2日、都内で開催された乃木坂46のイベント会場で「ファミコン風にやってみた」の作者である、べっしーさんを紹介していただく機会に恵まれました。実は以前からネット上での交流はありましたが、実際に会ってお話をするのは初めてのことです。長身のナイスガイ、伊藤寧々さんを推している、物腰の柔らかい方でした。
その際、今年の3月に書かせていただいた最初の『ファミコン風』の記事(乃木坂散歩道・第108回「ファミコン風にやってみた」)の話の流れで、べっしーさんからオリジナルの『伊藤ちゃんずタオル』を作ったので、それをNogizaka Journalで紹介してもらえないか?という依頼を受けました。僕が昨年末に書いていた、ファン自ら乃木坂46をより楽しむために行なっている能動的な活動を紹介した記事を知っていてくれたのです。僕はタオルだけじゃ記事として弱いから、ファミコン風の新作を3つほど作ってもらえたら、その作品とともに『伊藤ちゃんずタオル』を紹介します、という約束をしたのです。その新作が前回の「ファミコン風にやってみたDeux」で紹介した楽曲たちになります。
ただ、残念な事に、『ファミコン風』の制作途中、また、記事の作成途中でもあった2014年9月12日、乃木坂46の公式サイトで『伊藤寧々さんが卒業』という発表があったのです。
僕の乃木坂ファン歴はたった二年ではあるけれども、その間に卒業していったメンバーのファンを何人も見てきました。その時の心境を聞かせていただいたこともありました。推しメンが卒業していくファンの気持ちは計り知れないものです。
そこで、記事の方向性を少し変えることにしました。やはり『ファミコン風』と分けて、伊藤寧々さんを語る記事にしようと。
推しメンの卒業は、推しメンとの永遠の別れと思っています。以前は、アイドルって雲の上の存在でした。一般人の日常にアイドルは存在しません。その距離感を埋めて、現在のアイドルシーンを創り上げた、まさにブレイクスルーの役割となったのが『握手会』です。
乃木坂46にも握手会があるので、ファンは簡単にメンバーに会って話すことが出来ます。でも、一度メンバーが乃木坂を離れてしまったら、アイドルを辞めてしまったら、芸能界で活動を続けたとしても、今のように『会いに行く』ことは難しくなるのかなと思っています。遠くから応援するという、以前のスタイルになるのかなと。
ですから、推しメンの卒業というのはファンにとっての一大事です。推しメンの卒業に合わせてファンも卒業する、そんなケースも多いのではないでしょうか。
今回、伊藤寧々さんが卒業します。寧々さんの卒業について、そしてご自身のこれからのファン活動について、気になるところをべっしーさんに伺うことにしました。
9月某日、べっしーさんと熱く語り合ったその一部を紹介させていただきます。
Okabe:卒業の一報が流れた時、べっしーさんは何をしていましたか?
べっしーさん:12日正午に解禁された「何度目の青空か?」を聴いた後は、部屋で寝そべっていました。その内に友人からLINEで乃木坂46公式サイトのスクリーンショットが送られてきて、それが寧々ちゃんの卒業を知ったきっかけです。ただ、友人の悪戯や、ネット上での誤報なども頭に浮かんだため、自分で公式サイトを確かめたのですが、一番に「伊藤寧々 卒業のお知らせ」の見出しが目に入ってきて、『思考が停止』しました。
しばらくして、ナタリー等のニュースサイトを見て回ったりしていました。その時に押し寄せてくる感情は、『もう、寧々ちゃんを見ることが出来なくなるのかな、という寂しさ』でした。
ただ、落ち込んでいる暇はなく、翌13日に京都の個別握手会で集める予定になっていた、『生誕メッセージカード』を急遽『卒業メッセージカード』に差し替える仕事に取り掛かりました(べっしーさんは元々伊藤寧々さんの生誕委員として活動されていました)。なんとか一晩で仕上げ、別の生誕委員の方に託して京都まで送り届けてもらいました。
Okabe:乃木坂46では定例公演の「16人のプリンシパル」に参加しなかったメンバーが卒業する傾向にあります。僕自身は一時期、(病欠とはいえ)プリンシパルを全休した寧々さんはその気配があるんじゃないかと思ったことがありました。その後、アンダーライブでの活躍を見てその考えは無くなりましたが、べっしーさんはモバメ、握手会、ブログ等から寧々さんの卒業を予期していましたか?
べっしーさん:プリンシパルという乃木坂においての大きなイベントを全休したことは、大きな痛手ではあると思いましたが、出演できない理由が僕らにもしっかりと伝えられていたので卒業には結び付きませんでした。ただ、8月9日の寧々ちゃんのモバメで、「自分の中で整理がついた」、「自分で決める」という文があり、元々哲学的なメールが届く寧々ちゃんでしたが、このメールを見た時には『卒業』という言葉が一瞬だけ頭をよぎりました。
Okabe:べっしーさんが寧々さんを知ったきっかけは?
べっしーさん:乃木坂の最初の入り口は2年前の夏、ちょうどその頃に発表された「走れ!Bicycle」でした。楽曲が気に入って興味を持ち、それから「乃木坂って、どこ?」を見るようになりました。最初は推しメンなどはいなくて、しかも、フロントメンバーくらいしか知りませんでした。
2012年のパルコ劇場でのプリンシパル3公演目を観に行った時、初めて寧々ちゃんを意識しました。16人に選ばれたわけでもなく、特にはっきりした理由があったわけではないけれども、一幕のオーディションをなんか頑張っているなっていうのと、実際に見てみると良い意味でプロフィール写真とは違っていて、気になり始めたんです。
Okabe:べっしーさんが思う寧々さんの魅力は?
べっしーさん:本人も同じような言葉をよく言われると語っていますが、「真面目」で「誠実」なところです。それが悪く出てしまうのは『バラエティ』的な場面。握手会等ファンとの交流の場でアイドル的な『釣り対応』はしないし、出来ません。でも、その代わり「聴き上手」で誠実な返答をしてくれます。また、イベントやライブ、応援してくれるファンに真摯に向き合う姿勢など、そういう部分に尊敬の念や共感を覚えました。
Okabe:では寧々さんを一言で表現するとどんな言葉になりますか?
べっしーさん:“真(まこと)”です。
握手会で直接話したり他の人の話を聞いてみて、自分のことを変に良く見せようとしない子なんだと思いました。
もちろんアイドルであり人間ですから、信頼していてもファンには言えない事もありますし、言いたくない事もあると思います。けどやっぱり彼女の中には誠実さ、真面目、まさに“真(まこと)”というべきものが柱、土台としてあるような気がします。
Okabe:推しメンの卒業を一言で表現すると?
べっしーさん:“新たな旅路”。
自分が一番応援していた、元気をもらっていたアイドルともう会えない、もう見られないと思うと自分の生活の柱が一つ無くなった感じがします。でもこれで終わりではなくて、グループ、推しメン、自分の道はそれぞれ続いてるんですよね。
もしかしたらまた推しメンが人前に立つことがあるかもしれないし、たまたま道端でばったり会うかもしれません。そんな前向きな気持ちになって、この言葉です。
Okabe:べっしーさんにとっての寧々さんのベスト写メを教えて下さい。
べっしーさん:伊藤寧々公式ブログ「ねねころぐ(´・_・`)*272」、1枚目の万理華ちゃんとの2ショット写メです。伊藤ちゃんずだから選んだというわけではないですが、「乃木坂に入って良かったね」って言いたくなる写真の中の1枚です。
伊藤寧々公式ブログ 2013/3/21「ねねころぐ(´・_・`)*272」より。©乃木坂46LLC
(このブログ、お時間があれば是非読んでみて下さい。ちょっと泣けます。)
Okabe:べっしーさんの記憶に残る寧々さんのベストシーンを教えて下さい。
べっしーさん:2013年9月1日の「ガールズルール発売記念京都個別握手会」です。僕にとっての初めての握手会でした。
寧々ちゃんは浴衣を着ていました。握手レーンで、笑顔で温かく迎え入れてくれた寧々ちゃんの姿が今でも忘れられません。
Okabe:充分に応援し尽くせましたか?
べっしーさん:タオル、動画、握手会、生誕祭など、やりたいことはやってきました。でも、今後もやりたいこと、アイデアは有ったので、それが出来ないのは残念です。
心残りがある要因としては、『終わりが見えないところでやっているからではないか』と思っています。応援し始めたときから終わりが見えていれば100%応援し尽くせると思います。でも、終わりが見えていたらつまらないでしょうけれど。
こちらが『伊藤ちゃんずタオル』。伊藤寧々さん、伊藤万理華さんにも運営を通してプレゼントされ、二人の手元に届いているそうです。
Okabe:握手会等で寧々さんと卒業後の話などはしましたか?
べっしーさん:先日の全握では卒業の話はしませんでした。同じ話を何度も振られても困るだろうと思って。ただ、寧々ちゃん推しの仲間内では『芸能界には残らないんじゃないか』って話はしています。僕らが勝手にそう思っているだけで、寧々ちゃんが明言しているわけではないのですけれど。
Okabe:べっしーさん自身はどうするつもりですか?
べっしーさん:乃木坂の楽曲は好きなので、CDは今後も買うと思います。でも、そこまでですかね。これまで、「寧々ちゃんがでるから見に行こう、応援しに行こう」という思いがイベントやライブに参加する大きな動機になっていましたが、卒業後はそれがなくなります。寧々ちゃんがいなくなるから意識的に距離を置くというよりは、僕の生活の中で中心近くにあったところから少しずれて、自然と乃木坂との向き合い方、関わり方が変わっていくんだと思います。もちろん、今まで見てきた分、他のアイドルよりは多少の思い入れがありますから、面白そうなイベントや大きなライブがあれば行きたいです。
お話しした中で、ちょっと意地悪な質問をべっしーさんに投げかけました、「負の感情を抱かなかったか?」という問いです。『負の感情』とは今まで応援してきた自分自身への『虚しさ』であったり、ネット上で良く言われている、『飼い殺し』と表現されるメンバー間の格差に対する怒りの感情のことです。この時のべっしーさんの返答が印象的でした。寧々さんに対する想いは温かい一方で、アンダーメンバーとして多くの時間を過ごさざるを得なかった境遇に対しては、非常に冷静に受け止めていました。選抜だろうがアンダーだろうが、いついかなる時も、べっしーさんが寧々さんを応援する気持ちに変化はなかったのです。
アイドル界隈において、『メンバーとそのファンが持つ雰囲気は似る、似た雰囲気の人が集まる』なんて言われることがあって、よくメンバーのブログにも書かれていたりします。伊藤寧々さん推しのべっしーさんは、やっぱり何となく真面目で誠実な方でした。
数多存在するアイドルの中から、奇しくも同じ時期に乃木坂46という共通の応援対象を見つけ、取材などを通じて親しくなり、せっかく面白い交流が出来ていたのに……。べっしーさんは別の場所で、また活躍されることだと思います。でも、やっぱり残念でなりません。
僕はまだ乃木坂という『青空』を見上げて行くけれども、べっしーさんは別の『青空』を探しに行くんですね。
乃木坂散歩道・第154回「別の『青空』へ」に続きます。
乃木どこで卒業回やって欲しかった。
兼任回やら選抜発表回に時間を割くくらいならなぁ~。
研究生の2人はコメントすら流してやらないで終わりかい。
頑張ってきた仲間じゃないか。寂しすぎる。
泣けました。
こういう方が本当のファンだと思いました。
ありがとうございました。
いい記事をありがとうございます。私も、ねねちゃんの誠実さに惹かれました。選抜常連メンバーの握手会での長蛇の列を横目に、ねねちゃんに会いにいくと、いつもすごく真剣に気持ちを真正面から受け止めてくれて、しっかり話を聞こうとしてくれる姿勢や、いきなり話をふるとうーんとね。って感じで一生懸命考えて答えてくれる。ねねちゃんを知って推して2年、ねねちゃんからとっても素敵な2年という時間をもらいました。
私にとっては、卒業を発表してから初めての、そして最後の握手会。困るようなことは聞かない、けど涙をこらえられるのか今から心配です。明後日は千秋楽夕方公演見に行きます。ねねころ卒業公演、初めてのそして最後の本当に最後の公演です。
ねねころにたくさんの幸せが舞い降りるように祈ってます
ねねころ部のみなさん、卒業委員のみなさん、ほんとに同じ女の子を最後まで応援できて幸せでした
ありがとうございました。
記事を拝読しました。秋元康氏よりずっと年上の男性の乃木坂ファンです。
べっしーさんは、心から寧々ころちゃんを推してらっしゃる。その思い入れ、「たかがアイドル」というなかれですよね。タオル、いいデザインですね。ライブ会場で良く目立つと思う。
私も、突然の卒業発表で驚いたファンの一人です。乃木坂公式ウエブの彼女の個人ブログでも、卒業が公表されると同時にそれを惜しむたくさんの書き込みがありました。私も書き込みさせてもらいました。彼女が読んでくれたかどうかわかりませんが。
彼女が抜ける乃木坂の損失は大きいと思います。「伊藤寧々のような子は、この世で二人といない。」というのがジャン・アレチボルト氏のウエブ上の批評で、私もそう思います。
ちいさな体に、あの超まじめな「普通の」人格、ファンを驚かすアクロバットの才能、そして、涼やかな眼差し。
「涙がまだ悲しみだった頃」のセンターは実に良かった!ダンスのはじめにピョコンと飛び上がるシーンがありますが、ほかの子より滞空時間が妙に長い。運動神経の良さを物語っています。
一直線にマジ告して失恋してしまう一途な飛鳥を、彼女が励ます姿も心あたたまる名演技でした。
彼女がなぜ卒業するのか、具体的な理由は、結局よくわかりませんが、彼女は、芸能界を離れてしまった方が幸せになれるような気がします。やりたいことが具体的になんなのか公表されてませんよね。
人生は山あり、谷あり。寧々ころちゃんの未来に幸多かれと心から祈りたいです。
あの涼やかな眼差しは忘れられません。
松村の不倫騒動、大和の飲酒、畠中の彼氏発覚、などで今大騒ぎですが、なおさら彼女が惜しまれます。あの子はきっと本当に卒業まで「まじめ」だったと思います。
「生活の中で中心近くにあったところから少しずれて、自然と乃木坂との向き合い方、関わり方が変わっていく」最近自分の気持ちがモヤモヤしてたんですが、何かこの言葉で少し落ち着けそうです。どうもありがとうございました。