Nogizaka Journal

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フタバ図書が見据える乃木坂46と地方の未来「広島のぎざ化計画」特別インタビュー

futabatosho-mainフタバ図書

従来の形にとらわれない柔軟な発想で、進化し続ける『未来型複合専門書店』を謳うフタバ図書。様々な事業を展開する中、この一年半ほどで知名度を上げているのが、本拠地・広島県で乃木坂46の認知度向上を目指す「広島のぎざ化計画」だ。同プロジェクトでは、メンバーアンケートや握手会の取材レポートも実施する独自のWEB企画に始まり、広島への冠番組誘致およびスポンサー受諾、ラジオの公録イベント誘致等々、乃木坂46との傑出したコラボ企画を次々に打ち出し、話題を集めている。乃木坂46が「ライブ」というアプローチで再び地方開拓に着手し始めた今、同社の動向は、ファンのみならず業界からも、「企業×乃木坂46」の可能性を開拓するパイオニア的存在としてますます注目されるところである。

継続的な冠番組のネット環境さえ無かった広島から、どのようにして現在の動きが生まれたのか、広島には今どれだけ乃木坂46が浸透し、今後何が必要となってくるのか、そしてフタバ図書は今後どんな展開を見せるのか。フタバ図書の事業精神を探るとともに、「地方と乃木坂46」、ひいては「広島とアイドル」という観点から、「広島のぎざ化計画」のリーダー・吉賀真悟氏に同社の事業戦略を訊いた。

取材=ポップス/管狐 編集・構成=管狐

「フタバ図書がすすめるなら、どうやれば実現できるか」

ーー今でこそ、「広島にフタバ図書あり」というのが乃木坂ファンに広く知られるところとなりましたが、2014年晩秋に1stアルバム「透明な色」発売記念“10福チェーン初売り合戦”(※1)の参加法人として発表された当時は、ピンと来ないファンも多かったのではと思います。広島といえば、メンバーの中元日芽香さん、和田まあやさんの出身地ではありますが、冠番組の放送も知らず知らず打ち切りになっている状況でした。そんな中で、どういった経緯でフタバ図書に「10福チェーン」参加の打診があったのでしょう? ソニー・ミュージックの方から熱心にアプローチされたそうですが。

吉賀真悟氏(以下、吉賀):最終的な理由はソニー・ミュージック様しか分かりませんが、純粋に弊社の販売力(特に西日本方面への)を意識されたのだと思います。全国的には知名度がまだまだですが、弊社のような大型の複合書店を複数展開している法人は少ないと思います。(2016年4月1日現在の店舗数は全国で62店舗。広島市近郊に30店舗、関東に16店舗、他にも九州や愛知県でも展開。)

ーー「10福チェーン」参加以降はフタバブックス(同社ネットストア)で公開している乃木坂46のWEB特集ページ(以下「のぎざ化計画」)を中心に、「フタバがすごい」と度々ネットで話題になり、フタバ図書の乃木坂46に関する取り組みが、ファン以外の目に触れる機会も増えたと思います。WEB企画の他に、店頭のPOP展開などもされていますが、企画する上で意識していることはありますか?

吉賀:単純に「ここで終わるのはもったいないな」と感じて特集ページを作成しましたが、先々でどういう取り組みをするかは詰めていませんでした。これだけ素晴らしいコンテンツがあるのに、プッシュしないのはおかしいと思いましたし、せっかくいただいた縁ですから大事にしたかったです。

 店頭ですと昨年の12月から「乃木坂工事中」(広島ホームテレビ放送分)のスポンサーを弊社でやっているということもあり、そちらの宣伝をしています。

 店頭のPOP展開については、現場スタッフのやる気に任せている部分もありますので、”フタバじいさん”こと今村(※2)がおりますMEGA中筋店(広島)では目立った訴求をしているはずです。ただ、やりすぎないように……とは言っています。といいますのも、私はファンの裾野を広げることが目的なので、ディープなファンが喜ぶことだけやれば良いとは考えていません。興味を惹いて、棚を見てもらってなんぼの世界ですから。乃木坂ファンではない、乃木坂ファン予備軍も大切にしたいです。

 番組誘致もそうですし、HPの構成や書き方も同じように意識しています。先日、メンバー3人を迎えて広島でラジオの公録イベントがありましたが、初めて生でメンバーを見た方もたくさんいたようで、本当に実現できて良かったと思います。

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*フタバ図書MEGA中筋店でのPOP展開(写真提供:フタバ図書)

*次の写真は今年3月に広島県で行われた、広島エフエム「5COLORS」公開収録での一枚。広場を埋め尽くすほど大勢のファンが集まった。

ーー裾野を広げると言いますと、乃木坂46は今まさに、アンダーライブの全国ツアーに繰り出して、再び地方開拓に乗り出していますね。「のぎざ化計画」では「乃木坂46のファンをフタバでしかできない方法で、純粋に増やしていけたら」という思いも綴られていますが、ファン開拓の余地が多分にある地方ならではのブルー・オーシャン戦略のような一面もあるかと思います。これまで様々な取り組みをされていますが、手応えはありましたか?

吉賀:首都圏がレッド・オーシャンだからという意識はしていないです。弊社が力を入れる前から、乃木坂を推していた法人はたくさんありますし。「良いものをすすめる」というのは小売では当たり前な事ですが、それを実践するにあたり、顧客の奪い合いをするような戦略はソニー・ミュージック様も乃木坂LLC様も望まないと思うんですね。「良いからすすめたい。じゃあフタバ図書がすすめるなら、どうやれば実現できるか」というのを詰めていくと今の形になりました。

 手応えは確かにあります。1年前と比較すると、ネット販売だけで見た場合ですが売上枚数が数百倍になっていますし、全国的にも販売枚数は数%づつ上昇していると思いますが、フタバ全体の成長率はそれを遥かに超えています。ただネットの売上も関東・関西圏のユーザーが多いので、ファンの裾野を広げることに関してはまだまだかなと思います。

 今後の伸びしろにも繋がりますが、結局のところフタバだけが頑張っていてはダメで、他にものっかってくる他企業(テレビ局や、地方の大手企業)が増えていかないとなかなか難しいのではないかと思います。

「裾野を広げるにはメディアに露出させるのが一番」

ーー社内ではファンを公言する方が増えたり、最近では社外の反応も大きいそうですね。

吉賀:圧倒的に社外の反応が大きいです。音楽業界の関係者からも電話をいただきましたし、全く別件でお会いしたシステム会社の営業の方から御礼を言われたり……。逆に社内といいますか、広島県内の反応はまだ薄いですね。想定内ですが。

 ネットから知名度があがってきた「のぎざ化計画」ですが、いまだに「乃木坂工事中」は広島で見ることができないと思っている方もいますし、「のぎざ化計画」のWEBページは1年以上前から運営してますが、最近になって私が書いていると知った社員もいます(苦笑)。本当にまだまだだなぁと思います。

ーー「のぎざ化計画」のページでは、吉賀さん自ら乃木坂46を知り、ライブや握手会を体験し、応援していく過程を伝えています。乃木坂46の魅力について、ファン、ビジネスの両面からお話を聞かせてください。


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吉賀さんが運営する乃木坂46の特集ページ

吉賀:これまでの「アイドル」がたどってきた歴史というものがあります。AKB48が生まれていなければ、今の乃木坂は生まれていないと思いますが、乃木坂46の「清楚で品がある」という雰囲気と、楽曲の良さは、幅広い方に支持されやすいと思います。それは企業としても「推しやすい、CMなどに起用しやすい」という事です。

 自分で自分の事を「乃木坂ファン」だとは正直名乗れないですね(苦笑)。ビジネス目線で見ているので、純粋に好きで推しているファンと一緒にするのはファンの皆さんに大変失礼なことです。

 乃木坂の事を勉強したり、ファンの考えを学んだりするのは、ビジネスとして当たり前のことではないでしょうか。最終的に会社に何かしら還元できるかどうか、というのは大前提ですが。自分が売り込む商品の事を全く知らずに、営業活動が満足にできますか?というのと同じことです。

ーー「乃木坂工事中」のスポンサーになられたのは乃木坂46を応援したいという想いもあると思いますが、同時にビジネスとしての課題も常についてまわるものと想像します。経済効果があるとなれば、同じ広島であったり、また別の地方からもフタバ図書に続く企業が出てくるかもしれません。

吉賀:結局ファンの裾野を広げるにはメディアに露出させるのが一番早いですし、裾野が広がれば、地方でも関連商品が売れるのではないかと思いました。

 ただ乃木坂の知名度があがれば、フタバ以外の会社でも商品は売れるわけで、スポンサーになったのは、その中でもフタバ図書でより経済効果が高くなるように動いた結果なんです。そういうところでは先頭に立っていきたいなと思います。経済効果自体は、投資すればするだけあると思いますが、乃木坂サイドから地方へ歩みよっていく姿勢もないと、まだまだ難しいのではないかと思います。

ーー握手会の広島誘致や、乃木坂46を起用したコラボCMを希望するファンも多いですが、現実的にはまだ遠い目標なのでしょうか。

吉賀:お金と時間があれば何でもできると思いますが、CMは別として握手会の誘致をしても、おそらく社内の人間はピンと来ないと思います。番組を誘致するのも「それでいくら儲かるの?」って言われましたしね(笑)。それは企業として当たり前の反応だと思います。

 どうすれば実現できるかという具体案は、いくらでも考え付きますが最終的に判断するのは、乃木坂サイドになりますので、やっと地方に目を向けるのかな?という状況で、握手会をどう考えてくれているかは正直分かりません。

 ファンの方からは、広島での「乃木坂工事中」の放送時間を早めたり、キー局との遅れを縮められないかという相談もよく頂きます。一番手っ取り早いのは、広島にテレビ東京系列のテレビ局を1つ作るか、「乃木坂工事中」を全国ネットで放送してもらうか……ですね(笑)。それくらい難易度が高いことだと思っていただければ。(編集注:現在広島では水曜深夜2時15分〜、5週遅れで放送中)

※1「10福チェーン初売り合戦」
2015年1月に行われた、1stアルバム「透明な色」の発売記念イベント。参加した10チェーンで、アルバムの売上枚数を競った。前年12月には、各チェーンの応援団を決める「運命の推しメン会議」が行われ、指名とくじ引きの結果、フタバ図書の応援メンバーは生駒里奈、佐々木琴子、鈴木絢音、山崎怜奈の4人に決定した。

※2「“フタバじいさん”こと今村」
上記の「運命の推しメン会議」に出席したフタバ図書代表スタッフ。当日は佐々木以外のメンバーが欠席だったため、その後行われたチェーン対抗のクイズ大会では今村さんと佐々木がテーブルに2人きりという光景が話題に。その姿がお爺さんと孫のようであったことから、一部ファンの間では“フタバじいさん”と呼ばれている。また、去年の全国ツアー広島公演の会場外で行われた即売会では握手を求めるファンが殺到し、周囲のスタッフから“レジェンド”と呼ばれるように。

筆者プロフィール

管狐
乃木坂46に関する情報発信の場として、2012年に当サイトを開設・運営。ライターとしてはビジネス・エンタメ・スポーツを中心に寄稿も。ご依頼はコンタクトの専用フォームよりお問い合わせください。情報提供・取材案内もお待ちしております。

COMMENT

  • Comments ( 8 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. 推せる。アルバム、ふたばさんから買います。Aは流石にあそこですがw

  2. フタバ図書のインタビューはいつかやってくれるんじゃないかと思ってました!
    フタバ図書さんも乃木坂ジャーナルさんも素晴らしいインタビューありがとうございます!
    凄い効果あったみたいで地元民としては嬉しいですね。
    握手会は今すぐは難題かもしれませんが昔イオンでやってた様な小さいイベントでもいいので地方でもまたやってくれると嬉しいですね!

  3. 「私はファンの裾野を広げることが目的なので、ディープなファンが喜ぶことだけやれば良いとは考えていません。」すばらしいね。

  4. 遅れている地方を盛り上げようとするフタバ図書さんの取り組みは素晴らしいです。
    ライブの後にコンサートDVDで違う角度から
    観るのが楽しいのですが、広島の人はそういう機会が少ないと思います。
    TIF広島観に行きます!
    地元のライブ楽しみです!

  5. By 通りすがりG

    いつもおもしろいインタビューありがとうございます。今回も楽しく読ませていただきました!
    失礼ながら自分はずっと東京なのでフタバ図書さんは1stアルバムの時に初めて知ったんですが、ネットなどを見てすぐにファンになりました。今回もフタバ図書さんでアルバム買います。
    勝手ながら、次のインタビューも期待して待っています。

  6. 透明な色お渡し会からフタバ図書さんでも購入するようになりました。
    最近は琴子推しが薄くなって寂しいですが(笑)これからも乃木坂とフタバ図書さんを応援させてもらいます。

  7. アンダーライブ全国ツアーも東北シリーズからスタート、これから地方からの伸びがカギだというのは確かにそうですよね。私の住む県はメンバーに悔しい思いをさせてしまいました。中国シリーズもいずれ企画されるとなれば広島はもとより他の5県での認知度アップも急務と思いますので、フタバ図書さんのお知恵もお借りしつつ広がって行ってくれたら良いな、と思います。かくいう私も遠き地よりささやかながらフタバさんにはネット通販でおつきあいを始めさせていただきました。

  8. By どんな企業でも利益

    どんな企業でも利益を追求するのが当たり前、そうでなければそんな企業は辞めてしまえ。
    世界的企業トヨタがAKB48チーム8を全面的にバックアップするのも同じ。
    CoCo壱番カレーはSKE48とコラボして販促効果が1200%アップした。
    はっきりしている事、やってみないと誰には分からない。
    偉大とか、凄いとか言われる秋元康だが40年以上やってもレコード大賞は2回で
    CD売れ上げがトータルで僅か1億枚、4000曲以上あるのに売れたかな?曲は
    僅か400曲に満たない、打率は1割以下、プロ野球選手なら即クビ。

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