乃木坂46 7thシングル緊急企画より

１０月６日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「乃木坂46 真夏の全国ツアー2013 FINAL!」夜の部で、7thシングルの選抜メンバーが発表されました。発表が始まって早々に２作ぶりとなる初選抜入りメンバー（しかも３人！）の登場で会場が沸き、極めつけは２期生からのセンター抜擢。ファンのさまざまな感情が入り交じった声が会場にこだまする光景が記録に新しいところです。

こうした出来事の感想を記事にするというのはなかなか難しくて、あまり書いてこなかったのですが、「今回の選抜に対する見解を聞きたいです」というリクエストに甘える形で今回は少しだけ私見を書かせていただきます。ファンによって応援のスタンスも違えば、理想の形もさまざま。この記事も一つの見方として、肩の力を抜いて気楽に読んでいただければ幸いです。

ライブ当日は、アンコールの声に応えていつものようにメンバーが出てくるかと思いきや、唐突に選抜発表が始まったので驚きました。乃木坂46の選抜発表は冠番組「乃木坂って、どこ？」（テレビ東京系）での発表が恒例ですが、放送に先立ってファンの前で発表するのは、４月に京都全国握手会で行われた6thシングル「ガールズルール」の選抜発表以来、２回目です。

発表順はライブ当日の夜に放送された「乃木坂って、どこ？」の通り。前回は乃木坂46運営委員会委員長・今野義雄さんがステージに登場して口頭で発表しましたが、今回はスクリーンを使ってすべて映像で発表されました。

あらかじめ総評を一言でまとめると、「今回の選抜は面白い！」。２期生の堀未央奈さんがセンターで、初選抜にはファンの期待も高まっていた衛藤美彩さん、川後陽菜さん、中元日芽香さんの３人。おそらく、AKB48やその姉妹グループを見てきた方は、２期生お披露目後で初めてのシングルとなる今回から、２期生の選抜、さらにはセンターの可能性もあるだろうと予想していたと思います（他のアイドルグループでも新人を抜擢した例があるのでは？）。センターポジションは、デビューから５作連続で務めてきた生駒里奈さんから白石麻衣さんへ、そして今回、２期生へと託されました。

一方で、センターが堀さんという采配は内向けに置きにきたのではないかという印象も受けました。というのも、世間への話題先行で２期生をセンターに起用するとしたら、正統派と評判で伸びしろが多分にありそうな佐々木琴子さん、デビュー時のセンターである生駒里奈さんとどこか似た雰囲気のある同郷の鈴木絢音さん、元AKB48という話題性を持っている西川七海さんなど、グループ内にライバル関係を構想したり、クセがあってシンデレラストーリーを描きやすいメンバーの方が適性があったはず。堀さんは歌やダンスに秀でているようでもなく、お披露目当初から言われている「SKE48の松井玲奈似の新メンバー」だけでは少し寂しい。まだ情報が少なく、あくまで外から見た限りでしかありませんが、そうした印象から今回の起用はファン向けのサプライズを起こすと同時に、グループ加入から半年にも満たない新人を抜擢することでグループ内に競争意識をもたらすことが最大の目的ではないかと感じられました。

では、なぜ堀さんの抜擢なのかという点については、「個別握手会」の売れ行きが大きな理由ではないかと見ています。２期生は『ガールズルール』からペア握手会として二人一組で参加していますが、全１４回の受付を振り返ると、堀さんの参加しているペアが２期生最多の９部を完売しています。続く北野日奈子さんは５部で、それに続く伊藤純奈さんは３部ですが、伊藤さんは内２部が堀さん、北野さんとのペア。ここから見てみると現時点の人気は堀さんと北野さんの２人が抜けています。ブログのコメント数などを見ても、堀さんに興味を持っているファンは２期生で一番かそれに近いだけの人数がいるのではないでしょうか。個別握手会の売り上げはファンも重視する可視化された人気指標の一つなので、選抜メンバーの選考にあたり、スタッフに対しても、ファンに対しても説得材料になります。（今回完売結果が確認できるのは１３次受付まで）

そういった点を踏まえた上で、２期生のセンター抜擢が既定方針だったとすると、一つの考えとして、「話題にできる２期生」であり「ファンからの支持を最大限受けやすい（＝抜擢に対する批判を抑えやすい）メンバー」に最も当てはまるのが堀さんだったという結論に思い至ります。

とはいえ、それも外部から得られる情報で納得することを前提にした話でしかありません。あとはまったくの想像ですが、地方組でまだ上京していないメンバーは選抜としての活動は厳しいでしょうから、上京組かつ学業の面でも余裕のあるメンバーという選択肢は、初めから絞られていたのかもしれません。その他にも、ファンには見えないところで色々とあることでしょうが、ともかく秋元康さんや運営スタッフの目に留まるものがあったからこそ選ばれたんでしょう。いわゆる握手人気は選抜の選考材料であることは間違いありませんが、それが必ずしも絶対視されるわけでもなく、また数多ある指標の一つでしかありません。これから活動をしていく中で、各々の「なぜ堀未央奈だったのか？」という答えが見えてくるかもしれませんね。

２期生がセンターに抜擢された一方で、先にも挙げた通り、衛藤さん、川後さん、中元さんの３人が初めて選抜メンバー入りを果たしました。衛藤さんは昨年から、中元さんは年明け頃から、川後さんは春ごろから、それぞれ選抜入りを期待する声が高まってきていた印象があります。最近は復帰組のほうが多くなっていたので、3rdシングル『走れ！Bicycle』の時までのように３人ずつ新しいメンバーにチャンスを巡らせてきたことにも、２期生センターへの不満を和らげる効果があったのではないでしょうか。他には西野七瀬さんが初のフロント入り、このところ多く話題にあがる若月佑美さんを八福神に配するなど、センターを除けば大半のファンに支持されるような布陣になっていて、新選抜に対するネガティブなイメージを与えないような配慮がされている印象を受けます。

また、堀さんは今回、『選抜＋１』、『八福神＋１』としてフロントに立つことになります。こうした表現は今回が初めてですが、似たような形は以前にもありました。まだ七福神体制だった『走れ！Bicycle』では、福神の生駒さん、生田絵梨花さん、星野みなみさんと一緒に、福神ではない桜井玲香さんがフロントに配置されたのです。にもかかわらず、他の福神４人が２列目になったことに対して当時批判の声がありました。そして、次作『制服のマネキン』でも、当時復帰した秋元真夏さんが八福神の一人として２列目に入ったことで、西野さんが福神を外れて３列目に押し出されたという声が上がりました（実際には桜井さんも福神に入り２列目に後退）。これらの事例から、あくまで堀さんは１期生の選考とは別の特別枠であることを強調するために、「＋１」という呼称を用いたのでしょう。

そして、気になることといえば、正式な発表がない以上、堀さんはまだ研究生扱いということになります。後の手紙の件を考えると、センターを務め上げた後に正規メンバーへ昇格という予定なのかもしれませんが、一言ほしかったなと思います。（チーム制の48グループと違って、選抜、アンダーの組分けしかない乃木坂46における昇格の定義が曖昧ということもあるのでしょうが。）

さまざまな配慮が感じられるものの、気になる部分の説明が不十分だった点は惜しかったです。

ライブでの選抜発表時に堀さんからの挨拶、これまでセンターを務めた生駒さん、白石さんからの手紙がありましたが、『乃木坂って、どこ？』では乃木坂46のメンバー（１期生）に対して運営委員会からの手紙が読まれました。内容はこういったもの。

放送を観たときに思ったこととして、誰かの見ているところでこうでも言わないと乃木坂46は上手くまわっていかないのかという思いがモヤモヤと……。構成メンバーが入れ替わるグループにとって、言うまでもなく新メンバーは、あるいは新メンバーとの活動は未来のグループそのものです。しかしながら、テレビ番組という公の場で、一方的に、かつメンバーにも責任を負わせるような形での手紙というのは印象としてあまりいいものではありません。

何の意図もない演出の一部かもしれませんが。

それから、「育てる」というのなら今回はもっと選抜を崩してもよかったと思います。以前書いたように、アンダーは経験が足りないメンバーばかりでやるよりも、メディアなどでの経験も積んだメンバーが複数いるほうが、それぞれの経験をグループに還元してより大きく成長できるのではないでしょうか。もしも経験の少ないメンバーばかりで固めるのであれば、そのぶん多くの機会を与えるべきだと思います。

今回は『ガールズルール』のヒットに続く7thシングル（選抜）の成功を最優先にしていると思われるので、アンダー＋２期生のほうをどう動かしていくかにも注目していきたいです。

この記事を通して「堀さんがセンターに選ばれたのは、２期生の中で一番ファンを納得させられる可能性を持っていたからではないか」という考えを話してきましたが、これはあくまで私個人の落としどころです。たとえば、初めて選抜になった川後さんが生誕祭やその後の企画で注目されたから選抜に選ばれたのか、それらの出来事に関わらず以前から決まっていたのか、それは運営委員会でない人間には知る由もありません。握手人気を挙げてみても、あるメンバーの握手人気が高まってきたから選抜になったのか、相対的に落ちてきたから選抜から外れたのかはファンにはわかりません。ファンにとっては、それは発表された人事に対する説得材料でしかないのですから。

ぜひ、なぜ7thシングルの選抜メンバーがこのようになったのかという皆さんの考えなどお聞かせください。