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齋藤飛鳥の自然体と「自然体」~『乃木坂46の「の」』伊藤万理華×齋藤飛鳥回を聞いて~

齋藤飛鳥が出ている『乃木坂46の「の」』第154回を聞いた。齋藤飛鳥は、どうやら一年以上ぶりの登場だったようだ。ブログにも、マネージャーにも、ラジオに出たいとアピールしてたのに全然呼んでもらえなかったから、「これは本格的に番組から嫌われたんだな」って冒頭で言っていた。齋藤飛鳥のこのキャラはやっぱりいいなと感じる。

僕が乃木坂46のメンバーを見るのは、主に『乃木坂工事中』という番組だけだ。しかし齋藤飛鳥は、ここ一年ぐらいで選抜に定着し始めたメンバーなので、選抜メンバーを中心に構成されるこの番組ではまだそこまでフィーチャーされることがない。また、『乃木坂工事中』という番組は、基本的に大人数でやってるので、齋藤飛鳥がフィーチャーされるとしてもやはり一部という感じになる。

その点、今回のラジオは、伊藤万理華と齋藤飛鳥が二人で話す、というスタイルだったので、齋藤飛鳥を存分に堪能することが出来てとても良かった。

テレビで見る以上にラジオを聞いて感じたのは、齋藤飛鳥は「力の抜け具合」がいいな、ということだ。これは、テレビで橋本奈々未を見て感じることでもある。

アイドルって、僕のイメージでは、全力で頑張る、みたいな部分がある気がする。笑顔も全力、手を振るのも全力、何事も全力。そういうアイドルが、ファンからも支持され、人気になっていくようなイメージがある。それがすべてではないにしても、そういう風潮がある以上、アイドル側も、自分の本来のキャラクターがどうであれ、全力投球する感じで見せていく意識になっていくように思う。

ただ齋藤飛鳥から、そういう雰囲気を感じない。

これは、齋藤飛鳥が全力でやっていない、ということを言いたいわけではない。齋藤飛鳥が自分の意識の中で、自分の努力をどう評価しているのか分からない(僕のイメージでは、自分は全然努力なんて出来てない、という自己評価なんじゃないかと思う)。しかし、努力しないでここまで人気が出ることはないわけで、自分がどう感じているかに関わらず、齋藤飛鳥は齋藤飛鳥なりに全力でやっているだろうと思う。

でもそれが、あまり外側から滲み出ない。なんとなく、肩の力を抜いてやっているような雰囲気を感じる。そこがいいなぁ、と思う。

それを可能にしているのが、齋藤飛鳥が自分で認識している自身の特殊性なんだろうな、と勝手に思っている。

齋藤飛鳥は、このラジオの中でも言っていたが、「めんどくさい性格なんですよ」という発言を頻繁にしている。齋藤飛鳥の性格そのものを僕が捉えきれているとは全然思ってないが、彼女が自身のことを、周りとは違うと感じていることは分かる。例えば先ほどの「めんどくさい性格なんですよ」という発言も、周囲を「普通」と認識し、その周囲の普通との差異を「めんどくさい性格」と捉えている、ということだろう。

彼女の特殊性が、先天的なものなのか後天的なものなのか、それは僕には分からない。僕は、変人には二種類あると思っていて(僕は齋藤飛鳥が変人だから好きなのです)、本人的には「普通」にしているのに周りとズレてしまう先天的な変人と、周囲と交じり合わないために敢えて変人らしく振る舞おうとしている後天的な変人だ(ちなみに僕は、後天的な変人であろうと日々努力している人間だ)。

齋藤飛鳥がどっちの変人でも別にいいのだけど、ここで大事なことは、齋藤飛鳥が自身の特殊性をきちんと認識している、ということだ。周りと差がある、と認識しているだけではなく、恐らく、どの程度周りからズレているのかという部分もある程度認識できているのではないかと思う。

だからこそ齋藤飛鳥は、「そのままの自分」を「自然」に出すことで周囲と差別化出来るのだと認識しているのではないかと思う。だからこそ、全力でやるアイドルという形を自分の中で作らなくてもオリジナルな立ち位置を獲得できているのではないかと思う。どこまで戦略的だったのか、それは分からないが。自分の「自然」を出してみたら、案外受け入れられたから、じゃこれで行こう、みたいに思う経験があったのかもしれない。

「そのままの自分」「自然」とカッコで括ったのは、僕は齋藤飛鳥から、「『自然体』という演技をしている」という雰囲気を感じるからだ。何故そう感じるのかと言えば、齋藤飛鳥の本当の自然体は、きっと、アイドルとしてテレビに出たり人前で歌ったりする感じではないだろうからだ。

2月に放送された『乃木坂工事中』の「5年目を迎える今だからこそミンナに伝えたい授業」の回で齋藤飛鳥は、「いちごミルクが好きというキャラで行こうと思っていた」という話をしていた。それはうまく行かなかったらしいが、アイドル的な可愛い感じの路線がいいだろう、と初期の頃考えていたようだ。

それは齋藤飛鳥にとって、「『いちごミルクが好きなキャラ』という演技をしている」という状態だっただろう。

そこから今の、物事をナナメから見るようなアイドルらしくない方向に進んで行く。もちろんどのアイドルだって、本来の自分とアイドルとして見せている自分にズレはあるだろう。アイドルに限らず、テレビに出ている人はきっとそうだろうと思う。

ごく一般的な芸能人の場合、さっきの「いちごミルクが好きなキャラ」のような、何らかの自分とは違うキャラを身にまとっている感じがする。でも、齋藤飛鳥に対して感じるのは少し違う。齋藤飛鳥は、「本来ならテレビに出るような感じではない私の自然体が、もし本当にテレビに出たらどう振る舞うだろうか」という思考を一回挟み、それを自分の「自然体」として見せている、そんな印象がある。本来的な自分の自然体が絶対にやらないことを、もしやるとしたらどうなるだろう、というifの自分を想像して演じている、そんな感じがする。そういう部分も、齋藤飛鳥が自分のことを「めんどくさい性格」と評する部分なのかなと感じたりもする。

だから齋藤飛鳥がアイドルとして見せている姿は、決して嘘ではないけど本当でもないという、絶妙な雰囲気を漂わせているのではないかと思う。そういう部分が気になるんだろうなぁ、と思っている。

 
こういうことを書き始めるとなんだか書きすぎてしまうので、ちょっとはラジオの話も書こう。

一番興味深かったのは、ファッションの話だ。

伊藤万理華が、モデルになる以前の齋藤飛鳥の服装のダサさについて語っていた。齋藤飛鳥は初期の頃、お兄ちゃんのお下がりの、白と紺のラインのカーディガンをよく着ていたそうで、伊藤万理華がそれを凄くダサかった、と語っていた。

齋藤飛鳥はどこかで、自分の顔が別にそんなに好きでもないし、容姿なんて年齢と共に崩れるんだから、みたいな発言をしていた。お兄ちゃんのカーディガンを着ていた話と合わせても、昔は自分を着飾ることに関心がなかったのだろう。

けど、モデルをやるようになって、ファッションに対する姿勢が変わったようだ。伊藤万理華は、乃木坂46の中でもセンスが抜群だと知られているが、その伊藤万理華が、最近は飛鳥と対等にファッションの話が出来るようになってきた、と言っていた。齋藤飛鳥も、乃木坂46イチのセンスの持ち主である伊藤万理華に褒められるのが一番嬉しい、と語っていた。

伊藤万理華は、齋藤飛鳥の昔と今の違いを問われて、「性格が全部違う」と答えていた。色んな要素はあるだろうが、モデルとして活動し、ファッションに関心を持つようになったことも大きな要因の一つだろう。女性誌のことはよく分からないが、齋藤飛鳥は、「CUTiE」というより若い世代のファッション誌の休刊に伴って、「Sweet」というちょっと大人な雑誌のモデルとして活動している。齋藤飛鳥は、「CUTiEさんとは違ってSweetさんでは、大人っぽく見せることを、子供っぽい部分を出さないことを意識してる」と言っていた。伊藤万理華は、クリエーター的な人と関わることが多いが、その経験から、「Sweetみたいな大人っぽい雑誌でモデルをやるようになってから飛鳥が大人びてきた」と言っていたし、齋藤飛鳥自身も「影響されてる」と語っていた。

クリエーターとモデルという、違う業界で活躍している話をする中で齋藤飛鳥は、「この業界は興味本位で顔を広くしたりするのはあんまりだけど、でも必要な部分もあるじゃないですか」という発言をして伊藤万理華を驚かせる。伊藤万理華からすれば、齋藤飛鳥からそんな積極的な発言が出てくることが驚きだったようだ。「性格が全部違う」という評価は、そういう部分も込みでの発言なのだろう。『乃木坂46時間TV』での「齋藤飛鳥のラジオ体操」の話の流れから、「知らないって恥ずかしいことだと思ってる」という発言をしていて、そういう部分からも齋藤飛鳥の積極性を感じる。まあそのすぐ後に、「そんな面倒くさいことしないよ」と、齋藤飛鳥らしいことも言っているのだけど。

「今、楽しい?」と聞かれて「それなりに……」と答えたり、「一年振りに出て、最後に言い残したことは?」と聞かれて「いや、ないよ」と答えたりする齋藤飛鳥はやっぱり面白いなと思う。

もしかしたら齋藤飛鳥って、「まだ17歳で若いのにこういう雰囲気で面白い」みたいな受け取られ方をしているのかもしれないが、齋藤飛鳥みたいな子が、自然体でも「自然体」でもどっちでもいいけど、年齢を重ねてもああいう感じで生存出来るといいなぁ、と願っている。

(文・黒夜行)

※本稿は、筆者が2016年3月に投稿した記事を再編集したものです。

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プロフィール

黒夜行
書店員です。基本的に普段は本を読んでいます。映画「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」を見て、乃木坂46のファンになりました。良い意味でも悪い意味でも、読んでくれた方をザワザワさせる文章が書けたらいいなと思っています。面白がって読んでくれる方が少しでもいてくれれば幸いです。(個人ブログ「黒夜行」)

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