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ノギ・コーデ(仮)番外編 ~16人のプリンシパルtrois~

2014年5月30日から6月15日まで全22公演が行われた乃木坂46キャスティング参加型演劇「16人のプリンシパルtrois」。

雑誌でも特集が出始めてきましたが、今回はノギ・コーデ(仮)番外編として本公演の第二幕「レッツゴーっ!ポリン姫」で使われていた衣装を紹介したいと思います。

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本記事における画像は批評を目的として以下の記事から引用しております。
松井玲奈、乃木坂46プリンシパルは「楽しむことに注力」
乃木坂46、笑いと貪欲に向き合ったプリンシパル公演終了

本題に入る前に、「ファッションデザイン」と「衣装デザイン」の違いについて説明しておきます。文字だけ並べてみるとそれほど違いがないように思われるかもしれませんが、これらの区別においてはデザインする際の出発点から到着点まですべてが異なるのです。「ファッションデザイン」はより日常的で、デザイナーのパーソナルな感情が(例えば、こういう服が好きだ。こういう服に憧れがある。またはコンプレックスなど)服に宿っています。それに対して、「衣装デザイン」は舞台・脚本ありきのデザインです。それ単体でどれだけ素晴らしいものを作ったとしても作品に寄り添ったものでないと意味がないのです。だから、すごく派手で過度な目立ち方をしていても、または地味だったりダサくても、一つひとつの衣装にはすべて舞台・脚本上の狙いがあるのです。

では、今回の第二幕に出演した16人が演じた中から第一幕で配役が争われる、10役と呼ばれるメインのキャラクターたちの衣装をご紹介したいと思います。

ヌビア星のキャラクター衣装解説

ポリン姫を演じた生田絵梨花

まずは主人公、ポリン姫(写真真ん中)。写真では生田絵梨花さんがモデルとなっています。写真などで見たら、他のメンバーが着ても似合っていたのですが、僕が見に行った5月30日の公演ではポリン姫役を勝ち取った生田さんはすごくお似合いでした。

このポリン姫はヌビア星のお姫様だけど「やんちゃなゲームマニア」であり、上品なお姫様というよりも少しお転婆な女の子というキャラクターです。冠や衣装の所々の縁の部分が金色だったり、ラインストーンのようなものでゴージャス感を出してはいるのですが、オーガンジーのような生地でマントを纏わせ、お腹を出すことでセクシーというよりも活発さをイメージしているように見せたり、ヒールのある上品な靴ではなく膝下まであるロングブーツで戦う女性像を作り上げています。また生地が部分部分で全く違い、ベロア(布生地)を使ったりエナメルを使ったりしていてとても凝っています。これが日常のシーンであれば違和感が生まれますが、今回は舞台であり、ストーリーを考えると、主人公であるポリン姫の衣装はそれに沿って作られていて素晴らしかったと思います。

ロザリオを演じた生駒里奈

次は今回の舞台で唯一の男役であるロザリオ。クリスティーヌの夫でありポリン姫の父親という役です。

衣装デザイン独特の過剰な装飾とテーラードジャケット。この後ろ側の丈が長くなっているジャケットは紳士さを表現し、袖の部分や金色のボタンでこちらもゴージャス感を出しています。縦に3つ並んだ赤い蝶リボンはアクセントとして全体の雰囲気を引き締める役割を果たす反面、演じるメンバーによっては可愛さや幼さが出てしまいます。この衣装は身長が高ければ高いほど似合うので、斎藤ちはるさんがこの役を演じたときには宝塚歌劇団の役者さんのように見えたほどです。

クリスティーヌを演じた深川麻衣

ヌビア星の女帝、クリスティーヌの衣装は一目でわかる女王様衣装です。色はピンクでそれぞれ色分けし、フリル、オーガンジー、そして輝く宝石を思わせるアクセサリー。真っ赤な衣装に派手なアクセサリーをあしらった娘のポリンとは対照的に、ドレスへの装飾は少なく、肩出しやフリルで落ち着いた大人の女性らしさを表現しています。

どこか気品のある衣装は乃木坂メンバーに似合う衣装だったので、写真の深川麻衣さんはもちろん、この役を演じたメンバーはみなさんお似合いでした。

エルザを演じた桜井玲香

ヌビア星の副総統であるエルザはどこかしっかりしていて、正装でありながら星を護る紳士と戦士の間のようなイメージでしょうか、スリムなパンツに上は豪華な装いとなっています。また、白のロンググローブや肩まわりにあしらわれたフリンジ(紐のようなもの)とバラのアクセサリーからは気品が感じられます。

遠くから見ていたら只の青いエナメル生地に見えたのですが、こうして写真で見てみるとブロック状の凹凸があり凝っているなという印象を与えてくれます。写真ではハッキリした顔立ちの桜井さんがモデルとなっていますが、とても似合っていると思います。

キャサリンを演じた白石麻衣

ヌビア星軍司令官のキャサリンは軍司令官らしい装い、帽子などのアイテムを身につけています。劇中に登場したパロディからも想像されるように、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するマチルダ中尉がモチーフなのでしょう。

僕が関心をもったのは上に着ている衣装のグレーの部分の模様。はっきりと見てみないとわからないのですが、王室の護衛のイメージをした模様なのでしょう。こういうイメージから模様を持ってくるのが衣装制作では大切です。エルザの衣装にある青い凹凸の生地のディテールもそうです。それをも自然に取り入れていかなければならないので、衣装は難しいのです。

ベルを演じた松井玲奈

ポリン姫のしもべであるベル・マキア・パム・メグ・エリザベートは色が違うだけで同じフォルム・生地でしたので、ここではベルの衣装を着た松井玲奈さんの写真を用いて解説させて頂きます。

この衣装はしもべらしく……と言ったら誤解がありそうですが、他の役のような過度の装飾を省いたシンプルな作りとなっています。衣装の定番として使われるエナメルの生地を使用し可愛らしくまとめています。スカーフの作りがちょっと雑なのは残念ですが、ヘアバンドと合わせるスタイリングは良いと思います。

海王星のキャラクター衣装解説

ルイーダを演じた若月佑美

海王星の女帝、ルイーダの衣装はなかなか面白いもので、薄い水色のスカートにマントと深紫の衣装、そしてドクロの髪飾りや腰に添えてある紫色の花。紫と言えば乃木坂46のイメージカラーですが、このルイーダの衣装はまた違ったダークな紫です。劇中、ラストシーン直前までルイーダは悪役でしたので、悪役を演じる乃木坂46メンバーをイメージして紫を使ったのではないかと思わせるような悪役衣装でした。

ルイーダの衣装の生地のディテールもとても面白く、ワニ皮のようなゴツゴツした生地感がうかがえます。この役を演じた若月佑美さんや橋本奈々未さんのような、普段からカッコいいクールなキャラクターのメンバーだけではなく、生田絵梨花さん、星野みなみさん、井上小百合さんのような可愛らしい顔立ちのメンバーにも似合っていたのはすごく良かったと思います。

エステルを演じた永島聖羅(左)

エステルは正直どう捉えていいのかわからない部分があったのですが、舞台を振り返ってみるとエステルはポリン姫とそのしもべ一行が海王星に向かう途中、ジュピター石油というガソリンスタンドに立ち寄った時に登場します。そこでポリン姫たちと戦うので、宇宙戦士をイメージしたんじゃないかと思っています。スリムなシェイプと巧みな色使いではありますが、どこか宇宙感があります。衣装が独特だったのですが、エステルは出番が少なかったことは残念でした。

侍女を演じた松村沙友理

アンサンブルとして4人に配役された侍女ですが、衣装はミニスカートにニーハイソックスに和柄模様で、くノ一を思わせる和風でありながらも可愛らしい衣装でした。リボンのカチューシャもアクセントになっていて、特に写真で用いらせて頂いた松村沙友理さんなどはお似合いでした。

総括

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最後に総括ですが、3回目とあってか衣装のクオリティは確実に上がっています。今回目立ったのは、細かいところで役ごとのイメージを瞬間的にオーディエンスに理解させることが出来たというところです。例えば、侍女役にある「和」のイメージを想像させるのはルイーダと侍女の登場シーンで『月の大きさ』をパフォーマンスしたことに関連しています。ファンであるからこそ、わかることではありますが、『月の大きさ』と言えば、時代劇がテーマのMVでメンバーは和服を着ていたので、このシーンと重ねて想起することが出来ます。

またベルトをアクセントとしている衣装が多かったことが印象的です。キャサリンの緑色のベルト、エステルの紺色のベルト、しもべの白色のベルト、そして侍女の和柄の巻き物。大きなベルトでアクセントを付けるのはファッションデザイン的にもよくあることだし、大きなベルトをすることで衣装のシェイプが変わったりするので、とても使い勝手が良いです。

靴も、演じる役によって都度履き替えているのではなく、ヒールのない黒いパンプスにシューズアッパーというそのまま被せれば別の靴のように見えるアイテムを用いて、舞台という早着替えが求められる時に適している、舞台衣装アイテムらしいものもありました。

一番残念なのが、それを写真でしか伝えることが出来ないということです。プリンシパル公演の衣装については何度かメンバーも言っていたように可愛いものであったり、着てみたいと思わせるようなものだったと思います。それがホール会場で見ているオーディエンスには伝わりにくいディテールだったり、アイテムだったりしていたのです。せめてどこかのタイミングで衣装展示があればなと思っております。

ですが、このコラムで少しでも「16人のプリンシパルtrois」の衣装がクオリティが高く、舞台の文脈に沿ったコスチュームデザインであったかを知って頂けたら幸いです。感想や質問などはコメント欄及び、Twitterで随時受け付けておりますので、お気軽にお寄せください。

次回からはメンバーの私服を紹介する通常のノギ・コーデ(仮)に戻りますので、よろしくお願いします。

筆者プロフィール

MACABRE
ファッションが大好きで、個人のコレクション制作、プレスのお仕事、ディレクションなどをしています。
現代アートなど、言葉にできないモヤモヤした現象・表現も好きです。
乃木坂46 x ファッション を表現として探求しています。
Twitterでファッションについての質問や取り上げて欲しいメンバーを募集しています。是非お声掛けしてください。
ファン歴は短いですが、皆様と記事やコラボを通して乃木坂46の活動を楽しみたいと思います。

COMMENT

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. ぜひとも。ねねころ特集お願い致します!!

  2. コーデの記事の更新が途絶えて久しいですが執筆者の方の都合でしょうか?

    大変楽しい記事で楽しみにしているのですが

    是非の復活を切望します!ファッションには人柄はじめ色々な主張が表れて
    興味深いですが、変な理屈より可愛い女の子が可愛いさを主張する姿を見せ
    てくれるのは周りを幸福にしてくれると思いますのでね

    よろしくお願いします!

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