Nogizaka Journal

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乃木坂散歩道 第8回「走れ!Bicycleの二面性」

 皆さんにとって「走れ!Bicycle」はどんな曲ですか? 私は乃木坂46の表題曲の中では一番好きな曲です。アップテンポの曲で、夏の風、恋の始まりの輝きを感じさせてくれる素敵な曲ですね。初めて参加した握手会も「走れ!Bicycle」の全握幕張会場でした。個人的に思い入れのある曲です。沢山聞いた曲だからこそ、気になるところがあるんです。

 明るい曲調、弾む恋心、眩しいくらいの光景の中に、突然出てくる陰性のニュアンス。

「言葉に出来ない 心のひとりごと 誰もが見過ごして 大事なその人失うんだ」

この言葉だけを素直に受け止めると、独り、死を選ぼうとしている人間の姿が見えてしまうのです。なぜ夏を思わせるアップテンポの陽性の曲に、この陰性のフレーズが入っているのか? この違和感がこの記事のスタート地点です。今回はこのフレーズの存在意義について考えたいと思います。

     
 楽しい事しかない人生は本当の意味で楽しい人生か? 答えはNoです。苦しい試練を乗り越えて得られたものほど、感動だったり喜びが大きいものです。苦しみを経験するからこそ、楽しみが輝きます。マイナスがあるからこそ、プラスがよりいっそう輝きます。
 それに、プラスだけでは単調なものも、そこにマイナスを加えることにより、複雑性、重厚さ、深みのようなものが加わってくれます。
 「言葉に出来ない~ 」のフレーズは意図的に「走れ!Bicycle」に二面性を持たせようとして加えられた歌詞だと思うのです。そう思ってこの曲を聴いてみると、所々に「裏Bicycle」の存在が見え隠れするのです。

 
 裏Bicycleを陰性のニュアンスと仮定して、この曲をもう一度見てみます。まず、MVの冒頭に出てくるフランス語、とあるサイトから「お知恵」を拝借して紹介します。

 ◇君に僕の全てを知ってもらいたい
 〇全てを知るのは怖いわ
 ◇愛って、まず全てを見せること
 〇でも人を好きになったら、もう何も見えなくなるわ
 ◇僕のむき出しの真実を
 〇自分のことを知りたくはないわ
 ◇赤…それは僕の心の色
 〇青…私の秘密の色
 ◇一緒に笑おう。愛をもって笑おう。
 〇一緒に秋元康の歌を歌いましょう
 ◇君は…僕だ
 〇私は…あなた
 ◇愛、それは僕のハーモニー
 〇愛、それは私のメロディ

 フランス語で男女が会話をしています。この内容は表裏一体を表している様に思えます。「君は僕だ」がわかりやすいですが、全体として表と裏の関係を提示しています。赤=僕の心の色=さらけ出すこと。青=私の秘密の色=隠しておきたいこと。(単純に前田敦子さんのシングル曲「君は僕だ」を隠しただけであれば残念なことです。) 

 次に、MVでのメンバーの衣装。二つの衣装が用意されています。他の曲では無い試みです。なぜ衣装が二つなんでしょうね? 二面性と結びつけるには無理がありますか?  

 歌詞の内容に移りたいと思います。裏Bicycleを「独り、死に向かって歩いている人への呼びかけ」と仮定すると、別の側面が見えてくる言葉があります。「どうしてお前が気付いてあげないんだ?」「よそ見していて」「胸がざわつく」「南風」「先を歩く運命を振り返らせてみたい」「君の名前をここから呼んでみる」「今さら どんな顔をしようか?」「時の針 巻き戻し」「君と向かい合おう」「言葉に出来ない~ その人失うんだ」「終わる夏」「出遅れた愛おしさは 君に追いつけるかな?」。

 いくつかの言葉について、コメントしたいと思います。「胸がざわつく」という表現は、印象として不吉な事を想起させます。この言葉も明るい曲調の中では陰性のニュアンスです。「南風」、通常は暖かい風の表現ですが、一方で天気が急変する風とも言われています。先日の北海道での暴風雪はこの南風が原因でした。「先を歩く運命」、同年代の異性の運命が先を歩いていると感じることがありますか? 「運命が先を行く」という表現は「死」の遠回しな比喩です。

 裏Bicycleは「独り、死に向かって歩いている人への隠された呼びかけ、メッセージ」であると思います。この陰性の裏Bicycleのカードを、眩しく輝く陽性の表Bicycleのカードの裏に張り付けることで、「走れ!Bicycle」というカードをワイルドカード(特別な役割の札)へと昇華させるのです。

 
 人は死を意識した時、生の輝きが増します。マイナスの要素を曲に入れたところで、その曲が持っているプラスの要素が大きければ、打ち消されることなく、よりプラスが際立つはずです。「走れ!Bicycle」に陰性のニュアンスを入れることで、夏の輝き、爽やかな風、恋のドキドキ感を際立たせ、この曲を歌う乃木坂46メンバーのあふれ出る魅力をより強調していると思うのです。  

 私たち乃木坂ファンは、メンバーの涙を沢山目にしてきました。今でも、沢山の涙を流していることでしょう。だからこそ、彼女たちの笑顔には輝きがあります。笑顔の陰に隠された涙を知っているからこそ、彼女たちの笑顔は私たちファンにとっては無敵の笑顔なのです。   

 
 陰性のフレーズの存在意義。

 陰性のフレーズは、乃木坂メンバーの涙、悲しみ、苦労の象徴であり、でも、そのつらさがあるからこそ、彼女たちの輝きは眩しいわけです。彼女たちが輝けるように、もっと高いところまで行けるように、「走れ!Bicycle」がより一層の輝きを増すために、そのために必要なものとしての陰性のフレーズなのではないかと思うのです。

 これが、私の思う陰性のフレーズの存在意義です。
 

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プロフィール

Okabe
ワインをこよなく愛するワインヲタクです。日本ソムリエ協会シニアワインエキスパートの資格を持ちます。乃木坂との出会いは「ホップステップからのホイップ」でした。ファン目線での記事を書いていきたいと思います。(ツイッター「Okabe⊿ジャーナル」https://twitter.com/aufhebenwriter

COMMENT

  • Comments ( 3 )
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  1. 僕は乃木坂全曲の中でバイシクルが一番好きです。
    語訳お疲れ様です^^

    表も裏も考えたことがなかったので
    単に夏の青春ドラマのような感じにとらえていました。

    ドキッとしたのが
    まさかこの曲に「死」の比喩表現があったこと。
    胸がざわつきますね。

  2. はじめまして!
    毎回読ませてもらってます!
    僕もハシバイ1番好きです!
    ハシバイのカップリングもいいですよね!

    毎回思うのですがすごいですね!
    憧れます(◍•ᴗ•◍)

  3. いつも感心しながら読ませていただいてます。
    今回も、すごいです。
    考えたこともなかったです。
    MVのフランス語、全然気にしてませんでした。
    唯一、止まれバイシクルって歌詞が気にはなってたのですが、いつのまにか聞き流してました。
    そのへんのもやもやがスッキリした気がします。
    でも、少し怖くなりました。
    1stから5thまで、そしてこれからも、物語が続いていくようなイメージをしました。
    今後も乃木坂散歩道を楽しみにしています。

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